あえて税理士資格に登録しない?登録しないメリット



税理士の有資格者でありながら、税理士登録をしない人が増えています。
税理士事務所の求人募集などでも、「税理士(未登録可)」との表現を見かけることが多くなってきました。
この記事では、有資格者でありながら税理士登録をしないのはなぜなのか、また税理士登録をしないと就職に不利に働くのかについて解説していきます。
税理士登録しない人が増えている理由とは?
未登録税理士が増えている理由はいくつか考えられますが、大きな理由としては2つあります。
1つは、税理士登録をし、即独立するという考え方が少なくなってきていることです。
20年ほど前までは税理士資格を取る最大の理由が独立開業することでした。自ら事務所を構えることこそ、税理士になる最大の理由でもありました。
しかし、近年は税理士業界の先行きが見通せなくなってきていることもあり、独立志向は薄らいでいます。
2つは、税理士法人化です。税理士法人は、2人以上の税理士によって法人化が可能になるわけですが、近年は税理士を多数抱える比較的大規模な税理士法人が増えてきています。
そして、こうした事務所では税理士という資格自体をそれほど重視しなくなっていることが挙げられます。
税理士登録にかかる費用は30万円
税理士登録するには、以下のような費用がかかります。
1. 税理士登録料 5万円
2. 登録免許税 6万円
3. 登録時研修費用 5万円
4. 税理士会入会金 4万円(入会する税理士会による)
5. 税理士会年会費 10万円(入会する税理士会による)
合計すると30万円にのぼります。
年会費以外は登録時だけですが、小さな額とはいえません。
もちろん、独立するとか、税理士法人の社員税理士になるという前提であれば、初期投資ということになると思いますが、そうでなければ多少考えてしまう額かもしれません。
また、税理士会に入会するとそれなりに税理士会による要請(たとえば税務相談など)も生じてきます。
一方で、入会することによるメリットもあります。
地域の先輩税理士と親しくなることで、さまざまな情報が得られ、勉強できることで税理士としての経験値を積むことも可能になります。
ただ、最初から大手税理士法人で働きながら資格取得を目指していた場合、事務所内規定などで「試験合格=税理士とみなす」というようなものがあれば、30万円払うことをもったいなく感じてしまうでしょう。また、そのような多数の税理士が在籍する税理士法人などであれば、地域税理士とのかかわりもそれほど重要ではなくなるともいえます。
税理士に登録しないままでは就職に不利に働くか?
税理士未登録のままの場合、就職や転職にはどんな不利が生じるでしょうか?
基本的にはほとんど変わらないといえるでしょう。
まず、一般企業の場合、そもそも税理士資格自体がそれほど就職に左右されることが少ないともいえます。
もちろん、税理士であれば、チャンスが広がる可能性はあります。
企業内税理士を必要としている企業や顧問的な役割を期待している企業もあるからです。
しかし、そのような役割を期待しているケースはあまり多くありません。
税理士事務所に就職する場合はどうでしょうか?
一般的には、きちんと登録し、税理士になっているほうが様々な就職先が考えられます。
単純にキャリアの選択肢と報酬額という点においては、税理士になっておいたほうが間違いなく優遇される事務所は多いでしょう。
特に、小規模事務所においては、今後の展開(税理士法人化など)を考えた場合、税理士がほしい事務所は多数あると思われます。
しかし、そうした事務所では基本的に報酬が少ない可能性があります。
一方、すでに税理士が複数(最低5人以上)いる事務所(税理士法人含む)では、事務所内の規定で税理士と同等にしている場合、あまり差がないことも考えられます。
そもそも税理士資格に魅力を感じていない…
税理士試験の受験者数は年々減少しています。
過去10年間で、毎年数千人規模の減少をつづけ、2014年には、7,000人以上の減少でした。
会計ソフトや申告ソフトの普及により、これまで税理士が行っていた中小企業の記帳や税務申告業務は、自社で行うところも増えています。
AIがこれからさらに発展することにより、税理士の仕事はAIにさらに代替されていくともいわれています。
税理士試験に合格するためには、まともに取り組んでも3年~5年、仕事の合間に勉強する場合には5年~10年がかかるといわれています。
それだけの時間をかけて勉強をしても、税理士数の増加とAIの発展で税理士の仕事が減るのであれば、税理士としての将来に不安を感じることももっともだといえるでしょう。
今後税理士登録しない人は増えていくのか?
ただし、今後については、税理士資格を取得するメリットは増加すると見込まれます。
なぜならば、税理士業界が全体として高齢化しているからです。
日本税理士連合会による最新の調査では、税理士登録をしている人は、60代以上が50%以上を占めています。
その一方、20代~30代の税理士は、全体の11%にも届きません。
60代以上の税理士は、遠くない将来に引退することになります。
今後10年~20年のうちに、税理士業界では人材不足が顕在化してくることでしょう。
近年でこそ、税理士の有資格者でありながら、メリットを感じないために登録をしない人が増えています。
しかし、今後については、税理士登録をする人がふたたび増えていくのではないでしょうか。
まとめ
これらのことから、税理士資格を取得したら必ずしも登録しなければ不利になるとはいえません。しかし、それなりに道が限られてしまうのも事実です。
最終的には税理士登録したほうが無難かもしれませんが、幸い税理士資格(試験合格)は1年で消滅するものではありません。
ですので、あせって登録する必要はないとしても、周囲の方と相談しながら、自分に都合の良いタイミングで登録するのが一番賢いのではないかといえるでしょう。


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