2025年02月20日

商社の法務|年収や仕事内容、転職のポイントを解説

法務の実務経験を活かして、別業種の法務に転職したいと考えている人にとって、「商社」の法務は魅力的な選択肢の一つです。
商社ではグローバルな環境で仕事をすることも多いため、世界を股にかけて活躍の場を広げたいと考えている人にとっても、チャレンジしがいのある職場といえます。

また、商社の中でも総合商社は比較的年収が高い部類に入ることから、年収アップなどを目指す人にも向いています。
この記事では、商社の法務と他業種の法務の違いに触れながら、年収や仕事内容、転職のポイントなどを解説します。

商社における法務の役割

まずは、商社にはどのような企業が該当するのか、商社における法務の役割にはどのようなものがあるのかについて解説します。

商社とは

商社の職務を一言で表現すると「橋渡し役」または「仲介役」となります。
具体的には、商品が売り手から買い手に渡るまでのプロセス全般に関わり、次のような幅広い業務に携わっています。

  • ・商品等の選定・調達
  • ・売り手・買い手間の所有権や金銭・情報の移動(商流の円滑化)
  • ・マーケティング
  • ・販路開拓 など

上記における商流とは「商的流通」の略称で、生産者から消費者までの一連の流れにおいて、商品等の売買によって所有権が移転するプロセスのことをいいます。
具体的には、「A社がB社にチョコレートを売った結果、所有権がA社からB社に移った」といった一連の流れのことを指します。

つまり、商社の仕事は「商流の管轄」となり、契約の締結を通じたビジネスの仲介や調整が、商社の主要な収益源の一つであるといえるでしょう。

商社の主な事業部

商社が手掛ける事業は、大きく次の2つに分かれます。

事業部 事業内容
トレーディング 貿易全般の仲介を行う事業
事業投資 将来的に利益が見込める事業や企業への投資・支援を行う事業

かつての商社の主な仕事はトレーディングでしたが、近年ではメーカー側が商社を介さずモノを売るようになり、それに伴い事業投資の割合も増えている状況です。

商社の種類

商社の種類は、大きく以下の2種類に分かれます。

種類 詳細
総合商社 産業の垣根なく、様々な分野の商品・サービスを取り扱う商社
専門商社 特定の分野に特化して商品・サービスを取り扱う商社

総合商社は食料品から飛行機の部品まで、多様な商品・サービスを取り扱っているのが特徴です。
その性質上、大企業が多く見られ、ビジネスの規模も大規模です。

これに対して専門商社は、半導体なら半導体、繊維なら繊維といったように特定の分野に特化しています。
その分きめ細やかな対応ができるため、メーカーなど取引先からの信頼が厚い傾向にあります。

商社における法務の役割は「リスクマネジメント」

商社における法務の役割を一言で述べると「リスクマネジメント」となり、具体的には次の2点に絞られます。

  • ・契約内容を法的観点から精査し、潜在的なリスクを予測・評価すること
  • ・商社の活動が安全かつ効果的に進むようサポートすること

契約内容の精査に関しては、その契約に有効性は認められるか、契約条項の文言が曖昧でないか、どの国の法律が適用されるのかなど、多方面から精査が必要になります。
また、商社の他スタッフの活動に対しても配慮できるよう、社内相談対応や調停・訴訟があった場合の弁護士対応など、トラブルを未然に防ぐための対応が求められるでしょう。

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商社の法務の仕事内容

商社の法務の仕事内容

次に、商社における法務の主な仕事内容について解説します。

契約法務

契約法務では、主に契約書のフォーマット作成や契約書レビューなどを行います。
海外取引の場合は、英文契約書のレビューなどにも携わります。

企業活動において、契約の締結は不可避なものですが、商社の場合はその規模も頻度も段違いです。
単純な売買契約だけでなく、機密保持や業務委託など、ミッションに応じて様々な契約を結ぶ状況が想定されます。

法律相談

ここでいう法律相談とは、取引先から持ち掛けられる相談ではなく、社内スタッフからの法律面での相談に応じることを指します。
商社にも様々な部署・業務があるため、多様な課題に対して解決策を提案できるよう、様々な分野の法的知識が問われます。

コンプライアンス業務

近年、企業の不祥事に対する世間の目が厳しくなっていることから、法務に対するコンプライアンス業務のニーズは高まりを見せています。
商社においても例外ではなく、従業員向けのガイドライン作成や研修の実施などは、法務職の管轄となるケースがほとんどです。

機関・組織法務

機関・組織法務とは、株主総会・取締役会などを運営する業務のことを指し、株式発行や子会社設立などに関する手続きもこちらに含まれます。
自社の信用を左右する業務になるため、失敗が許されないというプレッシャーの中で業務を遂行できる実力が問われます。

その他業務

その他、商社の法務が担当する業務内容としては、次のようなものがあげられます。

  • ・他部署サポート(労務サポートなど)
  • ・顧問弁護士への相談
  • ・知財管理(特許権・商標権等の出願、知財権侵害に関する対応など)
  • ・法改正への対応 など
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商社の法務は年収が高い?

当社MS-Japanが、提供する転職エージェント「MS Agent」で募集のあった法務の求人データをもとに作成した「法務の転職市場レポート2024」において、法務求人の想定年収の平均額は「663万円」という結果が出ています。

また、同調査の求人データから算出した、商社の法務求人の想定年収平均額は627万円中央値は605万円となっています。
なお、他職種の平均年収は以下の通りです。

業種 想定平均年収
製造業 672万円
IT通信業 678万円
サービス業 625万円
建築不動産業 605万円
金融業 739万円

一般的に、商社と聞くと高年収のイメージがありますが、上記の調査結果を見る限り、法務に限った話では平均年収よりも低い状況が見て取れます。
実は、商社が高年収というイメージは「総合商社」の話で、専門商社はイメージするほど年収が高くない傾向にあります。

高年収を期待して商社の法務に転職したいと考えている場合は、総合商社を狙うのでなければ、金融業の法務の方が高年収につながる可能性が高いでしょう。
ただし、これらの結果はあくまで想定年収の業種別比較であり、実際の平均年収とは異なる点に注意してください。

商社の法務に転職するには

商社の法務への転職を成功させるには、次の3つのポイントを押さえることが重要です。

商社が扱う法律知識を身につける

国内外の様々な取引に関わる商社の法務は、契約法商法はもちろん、独占禁止法会社法税法など幅広い法律知識を身につけなければ、実務に対応するのが難しいでしょう。
国際取引が多い商社では、国際取引法・国際税務に関する知識も求められるため、現職のうちに知識を蓄える機会を増やすことが重要です。

契約法務の業務経験を積む

現在の職場でも、契約法務に携わる機会は多いかもしれませんが、商社の場合は契約がビジネスの“生命線”になります。
その分、転職においても契約法務の経験は重視されるため、契約書作成や交渉、締結、管理など、一つひとつの業務の精度を高めることが大切です。

法務に強い転職エージェントに登録する

法務の求人は、一般的な求人媒体では求人数が少ない傾向にあるため、応募できる機会が限られます。
そこで、法務を含むバックオフィス部門に特化した転職エージェントに登録すると、自分の能力・適性とのマッチ度が高い求人を紹介してもらえる確率が高まります。

MS Agentなら、非公開求人を含む数多くの求人の中から、求職者の条件にマッチする求人を紹介することが可能です。
専任のキャリアアドバイザーが、求職者の希望を実現するため親身にサポートします。

【商社×法務】の求人情報

MS Agentでは、魅力的な商社の法務の求人を多数取り揃えております。
以下、MS Agentで取り扱いのある【商社×法務】の組み合わせの求人情報につき、主なものをいくつかご紹介します。

法務/大手総合商社

仕事内容
・契約確認
・リスクの洗い出し
・法律事務所対応
必要な経験・能力
・大卒以上
・3年以上の法務経験
想定年収
552万円~669万円

法務(管理職候補)/専門商社

仕事内容
・各種契約書締結に係る業務全般
・法務関連の社内相談対応
・社員研修の実施
必要な経験・能力
・法務関連の実務経験
想定年収
520万円~900万円

国際法務担当/専門商社

仕事内容
・法務業務
・安全保障貿易管理業務
・取引限度(与信管理)業務
必要な経験・能力
・法務業務経験
・英文契約業務を行ってみたい方
想定年収
786万円~1,066万円

まとめ

商社は、特定の商品・サービスではなく「商流」という大きな流れを管轄するのがミッションであることから、契約内容に少しでもほころびがあれば、大きなプロジェクトが頓挫してしまうことも十分考えられます。
そのような事情から、商社の法務は、他業界の法務と比較して「契約」に重きを置く特徴があります。

また、法務担当者自身が行う業務だけでなく、社内の他のスタッフに対するコンプライアンス業務など、自社を守るための対応も求められます。
商社の法務への転職を成功させるためには、こういった商社独特の事情を加味した上で、法律知識や契約法務の業務経験の蓄積が必要になるでしょう。

  • #法務
  • #商社法務
  • #総合商社

この記事を監修したキャリアアドバイザー

田々美 綾夏

大学卒業後、新卒で人材会社へ入社し福祉業界の派遣営業として従事。
退社後海外留学やカスタマーサポート業を経験し、MS-Japanに入社。
キャリアアドバイザーとして企業の管理部門、会計事務所などへの転職支援を担当しています。

経理・財務 ・ 人事・総務 ・ 法務 ・ 会計事務所・監査法人 ・ 社会保険労務士事務所 を専門領域として、これまで数多くのご支援実績がございます。管理部門・士業に特化したMS-Japanだから分かる業界・転職情報を日々更新中です!本記事を通して転職をお考えの方は是非一度ご相談下さい!

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