IFRSで差をつける30代経理のキャリア戦略|市場価値を高め、日系グローバル企業で活躍する方法

IFRSのスキルは、日系企業で働く30代経理パーソンにとってキャリアアップをする上で強力な武器となります。
グローバル化が進む現代において、その重要性はますます高まっています。
日系企業でIFRS経験者が優遇される背景
日々の経理業務に追われる中で、「今のスキルのままで、市場価値を高められるだろうか」「IFRSは難しそうだけど、今から学ぶべきか」といった漠然とした不安を抱えている30代の経理経験者の方は少なくないでしょう。特に、経理職として10年程度の経験を積み、キャリアの転換期を意識し始める頃には、自分の強みとなる専門性をどう築いていくべきか悩むことも多いはずです。
近年、日系企業では、まさに30代の経理経験者が最も求められる「IFRS経験者」というポジションが注目を集めています。
IFRS(国際財務報告基準)を深く理解し、実務で活用できる人材は、企業がグローバル競争力を高める上で欠かせない存在だからです。
本記事では、なぜ現在IFRS経験者が日系企業で優遇されるのか、そしてIFRSの知識がどのようにキャリアアップにつながるのかを具体的に解説します。
IFRSという選択肢が、あなたのキャリアに新たな可能性をもたらすことを知っていただければ幸いです。
なぜ日系企業でIFRS経験者のニーズが高まっているのか
長らく日本の会計基準(J-GAAP)が主流だった日系企業において、近年はIFRSの導入が急速に進んでいます。
その背景には、「海外投資家への信頼性向上」と「情報開示の透明化」という2つの大きな理由があります。
グローバルな資本市場では、多くの投資家がIFRSに基づく財務諸表を投資判断の基準としています。
日系企業がIFRSを導入することは、海外投資家とのコミュニケーションを円滑にし、企業価値を正当に評価してもらうための重要な一歩となります。
さらに、IFRSは原則主義であり、日本基準よりも詳細かつ質の高い情報開示が求められます。
これにより、企業の財務状況や経営成績が一層透明化され、ステークホルダーからの信頼を得やすくなります。
こうした流れの中で、単に会計処理をこなすだけでなく、IFRSの深い知識を備え、企業の戦略的な情報開示を支えられる経理人材のニーズは飛躍的に高まっています。
上場企業・海外展開企業が求めるIFRS対応力
グローバルに事業を展開する日系企業にとって、IFRSは単なる会計基準にとどまらず、経営の根幹を支える重要なツールとなっています。
特に、上場企業や海外に子会社を持つ企業では、IFRS対応力が経理部門における必須スキルとなりつつあります。
代表的な例が「海外子会社を含めた連結決算の一元管理」です。
IFRSを導入することで、世界各地にある子会社の財務情報を同一基準で整理・統合でき、グループ全体の経営状況を正確かつ迅速に把握できるようになります。
これにより、経営判断のスピード向上に直結します。
IFRSの知識を持つ経理人材は、単に数値を集計するだけでなく、IFRS特有の複雑な会計処理や基準適用に関する専門的なアドバイスを行い、連結決算プロセス全体を円滑に進める役割を担います。
経理として10年程度の経験があり、さらにIFRSの知識を身につければ、連結決算を通じて会社全体の状況を把握できる重要な業務に従事し、専門性を一層高めて活躍できるでしょう。
IFRS経験があるだけで差別化できるポジションとは
IFRSの経験は、一般的な経理スキルとは一線を画し、自身の市場価値を大きく高める差別化要因となります。
特に、以下のような専門性の高いポジションでは、IFRS経験が高く評価されます。
開示資料作成
IFRSでは日本基準とは異なる様式や内容が求められ、法令に準じた形式的な記載にとどまらず、業績分析やセグメント情報など、企業独自の補足情報の開示が必要です。
そのため、IFRSに準拠した有価証券報告書や決算短信を作成できる人材は極めて貴重です。
連結対応
IFRSの原則に基づき、国内外のグループ会社の会計処理を統一し、連結決算プロセス全体をマネジメントする役割は、高度な専門知識を持たなければ務まりません。
注記記載業務
IFRSでは財務諸表の注記が非常に重視され、事業内容やリスクを詳細に記載することが求められます。
これらの業務はいずれも、IFRSの深い理解と実務経験が不可欠です。
だからこそ、IFRS経験者は高い専門性を持つ人材として、他者と明確に差別化できるのです。
経理マネージャーにおけるIFRSの活かし方
経理マネージャーを目指す30代にとって、IFRSの知識は単なるスキルではなく、経営層と対話するための共通言語となります。
IFRSを深く理解することは、「経営数値の説明責任を果たす役割に直結する」と言えるでしょう。
例えば、IFRSではのれんの非償却や資産の減損テストなど、日本基準とは異なる会計処理が求められる場面が多くあります。
これらの処理が経営数値に与える影響を正確に把握し、そのロジックを経営層に分かりやすく説明することは、マネージャーに求められる重要な役割です。
IFRSの知識があれば、単に会計数値を提供するだけでなく、経営課題の解決に向けた示唆を与えることも可能です。
これにより、経理部門は「コストセンター」から「プロフィットセンター」へと役割を転換し、経営戦略に直接貢献する存在となることができます。
実際の転職成功事例:IFRS人材が選ばれた理由
IFRSの知識を持つ30代経理人材が、転職市場でいかに高く評価されているのか、具体的な事例を見てみましょう。
経理職として10年の経験を持つ30代のAさんは、これまでJ-GAAPでの業務経験が中心でしたが、独学でIFRSの知識を習得し、転職活動に臨みました。
その結果、複数の企業から内定を獲得し、最終的にはIFRS移行を控えた上場企業を選びました。
この企業がAさんを採用した理由は、「IFRSへの理解」「マネジメント力」「改善意識」の3点です。
J-GAAPで培った経理実務の基礎力に加え、独学でIFRSを学んだ高い学習意欲、将来的にチームを牽引できるリーダーシップへの期待が評価されました。
さらに、既存の業務フローをIFRSに最適化しようとする強い当事者意識と行動力も高く評価され、IFRS移行プロジェクトの中心メンバーとして迎え入れられました。
この事例が示すように、IFRSの知識は、それまでの経験とスキルをさらに輝かせる強力な武器となり得るのです。
将来性ある日系企業の見極め方
IFRSの知識を身につけることは、「選べる企業の幅を広げる」ことにつながります。
では、IFRSを活かせる将来性のある日系企業は、どのように見極めればよいのでしょうか。
IFRSを任意適用している企業
任意適用は、企業がグローバル展開や海外投資家からの評価を重視している証拠であり、IFRSを積極的に活用しようとする意欲の表れでもあります。
海外売上高比率が高い企業
海外に多くの事業拠点を持つ企業では、必然的にIFRSに基づく連結決算の重要性が高まります。
業界全体がグローバル競争にさらされている企業
特に製造業やIT業界では、海外企業とのM&Aも活発に行われており、IFRSの知識が非常に重宝されます。
こうした企業では、IFRS経験が高く評価され、キャリアアップの機会も豊富にあります。
まとめ|IFRSは「日系企業×30代」の武器になる
これまでの経理経験にIFRSという専門性を加えることで、主に日系グローバル企業で必要とされる「30代のIFRS経験者」という希少な人材になることができるでしょう。
IFRSは、グローバル市場での信頼性獲得や、経営の意思決定を高度化する上で不可欠なツールです。
その知識と実務経験を持つ人材は、企業の成長を左右するキーパーソンとして期待されています。
これからIFRSを学び始めることは、将来のキャリアにおいて大きなアドバンテージとなるでしょう。
経理経験とIFRSの知識を掛け合わせることで、より高い視座で経営に貢献するプロフェッショナルとして新たなキャリアを築いていけるはずです。
- #IFRS
- #30代経理
- #国際財務報告基準


この記事を監修したキャリアアドバイザー

カナダ州立大学卒業後、新卒でMS-Japanへ入社。求人企業側の営業職を経験した後、2014年にキャリアアドバイザーへ異動。
2016年からは横浜支社にて神奈川県内の士業、管理部門全職種を担当し、現在は関東全域の士業、管理部門全職種を担当。
経理・財務 ・ 人事・総務 ・ 法務 ・ 経営企画・内部監査 ・ 外資・グローバル企業 ・ 会計事務所・監査法人 ・ 役員・その他 ・ IPO ・ 公認会計士 ・ 税理士 ・ USCPA ・ 弁護士 を専門領域として、これまで数多くのご支援実績がございます。管理部門・士業に特化したMS-Japanだから分かる業界・転職情報を日々更新中です!本記事を通して転職をお考えの方は是非一度ご相談下さい!
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