コンプライアンス経験を武器に!法務職が転職を成功させるポイント(後編)

この記事は後編です。前編の記事はこちらをご確認ください。
<前編の要約>
企業不祥事の増加や法規制の強化を背景に、コンプライアンスの重要性が高まっている現状を解説しました。
さらに、法務職が担うコンプライアンス業務の全体像として、社内規程の整備や研修企画、内部通報対応など、企業の信頼を支える多面的な役割を紹介しました。
引き続き後編では、転職市場で高く評価されるコンプライアンス経験の具体的な内容や、実績を効果的にアピールする方法、さらにキャリアアップを実現した成功事例を詳しく解説します。
転職で評価されるコンプライアンス経験とは
転職市場で高く評価されるコンプライアンス経験は、単なる法務部門の所属期間だけでなく、具体的な成果や専門性の高さが求められます。
特に、グローバルな視点や専門知識を要する経験は、他の候補者との差別化につながります。
高く評価される経験の一つは、GDPR(EU一般データ保護規則)やFCPA(海外腐敗行為防止法)といった国際規制への対応経験です。
海外に拠点を置く企業や、グローバル展開を視野に入れている企業にとって、これらの法規制を理解し、実際に対応した経験を持つ人材は非常に価値が高いと見なされます。
例えば、GDPRに準拠するための社内規程の改定や、海外子会社におけるコンプライアンス体制構築に関わった経験は、大きなアピールポイントとなります。
また、特定の業界における専門的なコンプライアンス経験も高く評価されます。
金融業界における金融商品取引法や、製薬業界における薬機法など、業界特有の規制に関する知識と実務経験は、即戦力として期待されます。
さらに重要なのは、単なる業務経験だけでなく、自ら中心となって推進した経験です。
社内のプロジェクトに積極的に参加し、他部署と連携しながらコンプライアンスを浸透させた経験は、あなたの主体性やリーダーシップを証明する強力な材料となります。
コンプライアンス経験を効果的にアピールする方法
あなたの貴重なコンプライアンス経験を最大限に活かして転職を成功させるためには、その内容を具体的かつ定量的に伝えることが重要です。
単に「コンプライアンス業務を担当していました」というのではなく、あなたが「何を」「どれくらいの規模で」「どのような役割で」実行したのかを明確に伝えましょう。
特に重要なのは、「ステークホルダーとの調整能力」です。これは、AIやリーガルテックでは代替困難な、高度な対人折衝力と調整スキルです。
たとえば、「コンプライアンス研修」の企画・実施であれば、単に「研修を実施した」と述べるのではなく、「各事業部門の責任者と何度も協議し、それぞれの業務に即した内容を盛り込むことで、現場が納得してコンプライアンスを実践する土壌を築いた」といったように、調整過程やその結果を具体的に説明することが効果的です。
また、影響を与えた規模を強調することも効果的です。
例えば、「全社員約500名を対象に、 eラーニングシステムを導入した」というように、対象人数や拠点数を具体的に記載します。
これにより、あなたの経験が持つ影響力の大きさを採用担当者に伝えることができます。
そして、どのような課題を解決し、どのような成果を出したのかを必ず盛り込みましょう。
「従業員からの内部通報件数が少なかったため、匿名通報制度を導入し、通報しやすい環境を整備した結果、通報件数が2倍に増加した」といったように、問題提起から解決、そしてその効果までを一連の流れで説明することで、あなたの課題解決能力をアピールできます。
コンプライアンス経験を活かして転職成功した事例
コンプライアンス経験は、法務職としてのキャリアアップだけでなく、異業種や外資系企業への挑戦にも大いに役立ちます。
法務職で培ったコンプライアンスの考え方は、内部監査や経営企画といった職種にも通ずる部分が多く、キャリアの選択肢を広げます。
ここでは、実際にコンプライアンス経験を活かして転職に成功した事例を2つご紹介します。
事例1:事業会社からITベンチャーへ転職
Aさんは、大手メーカーの法務部で、社内規程の整備やコンプライアンス研修の企画・実施に携わっていました。
異業種への転職を志し、急成長中のITベンチャー企業に転職。ここでは、GDPRやプライバシーマークに関する知識が求められていました。
Aさんは、メーカーでの経験で培った組織的なコンプライアンス体制構築のノウハウを活かし、ITベンチャーの事業に合わせたデータ保護規程を策定し、新しいビジネスモデルにおける法的リスクを未然に防ぎました。
この経験が評価され、入社から1年足らずで法務責任者に抜擢されました。
事例2:内資系企業から外資系企業へ転職
Bさんは、国内サービス企業の法務部で、景品表示法や個人情報保護法に関する業務を中心に担当していました。
グローバルな環境で働きたいと考え、外資系のコンサルティングファームに転職。
Bさんは、日本の法規制に関する深い知識を強みとしてアピール。特に、日本市場に進出する海外企業向けに、日本の法令遵守に関するコンサルティング業務を担当しました。
国内外の法律を比較・検討し、クライアントに最適なソリューションを提案する能力が評価され、専門家としてのキャリアを確立しました。
まとめ
法務職のキャリアにおいて、コンプライアンス経験は非常に価値の高い財産です。
企業不祥事や規制強化を背景に、コンプライアンスは企業の信頼性と持続的成長に直結する重要な要素となっています。
あなたのコンプライアンス経験を最大限に活かすためには、その経験を単なる「業務」として捉えるのではなく、「企業の信頼構築にどれだけ貢献したか」という視点で整理することが重要です。
特に、テクノロジーに代替されにくい「ステークホルダーとの調整能力」や、「自ら中心となって推進した経験」 を具体的にアピールすることで、あなたの市場価値は大きく高まります。
コンプライアンス経験は、今後の法務職のキャリアにおいて、他の候補者との差別化を図るための強力な武器となります。
ぜひ、あなたの経験に自信を持ってアピールし、次のキャリアへの一歩を踏み出してください。
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- #法務 コンプライアンス
この記事を監修したキャリアアドバイザー

大学卒業後、新卒で人材会社へ入社し福祉業界の派遣営業として従事。
退社後海外留学やカスタマーサポート業を経験し、MS-Japanに入社。
キャリアアドバイザーとして企業の管理部門、会計事務所などへの転職支援を担当しています。
経理・財務 ・ 人事・総務 ・ 法務 ・ 会計事務所・監査法人 ・ 社会保険労務士事務所 を専門領域として、これまで数多くのご支援実績がございます。管理部門・士業に特化したMS-Japanだから分かる業界・転職情報を日々更新中です!本記事を通して転職をお考えの方は是非一度ご相談下さい!
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