社内の“ハブ”になれる経理|他部署との調整力が未来のキャリアを切り拓く(後編)

この記事は後編です。前編の記事はこちらをご確認ください。
<前編の要約>
経理の役割が「数字の管理」から経営と現場をつなぐハブへと拡張している現状を整理し、予算調整・決算説明・日常問い合わせ対応などの場面で発揮される調整力が、市場で管理職候補として高く評価される理由を解説しました。
あわせて、受け身の実務から脱し、事業課題の早期察知と解決提案につなげる“能動性”がキャリアの差を生むポイントであることを示しました。
引き続き後編では、30代・40代の経理が果たすべき役割とキャリアパス、監査法人・税理士との連携を含むステークホルダー対応、さらに職務経歴書・面接での具体的なアピール方法や成功事例までを解説します。
30代・40代経理が果たすべき役割とキャリアパス
30代・40代の経理パーソンは、会社の中で経営陣、現場部門、監査法人をつなぐ要として、非常に重要な役割を担います。
この世代は、豊富な実務経験に基づく高い会計リテラシーに加え、現場部門のビジネスの流れや課題を把握していることが多いため、双方の間に立って円滑なコミュニケーションを促進できます。
例えば、経営陣の意図を現場言語に翻訳して伝えたり、現場が抱える課題を数字に落とし込んで経営陣に説明したりすることで、組織全体の連携を強化し、意思決定のスピードを上げることが可能です。
また、監査法人や税理士法人とのやり取りにおいても、彼らが求める情報を迅速かつ正確に提供するだけでなく、会計基準や税法の解釈において、会社の立場を論理的に主張し、最適解を導き出す折衝能力が求められます。
監査法人とのスムーズな連携は、会社の信用を保つ上で不可欠であり、経理の調整力が直接的に会社の信頼性につながります。
この役割を果たすためには、双方向の積極的なコミュニケーションが欠かせません。
一方的な情報伝達に終旨することなく、組織全体の価値創出を主導する“ハブ”として機能することで、その存在価値を大きく高めることができます。
アピール方法|「受け身」から「能動的」へ
これまでの経理経験を転職市場でより高く評価してもらうためには、職務経歴書と面接で調整力を具体的に示すことが重要です。
職務経歴書には、単に「月次決算を担当」と記載するのではなく、「他部署との連携を強化し、経費精算の情報提出期限を明確化・徹底させたことで、決算スケジュールを2営業日短縮」といったように、調整を通じて達成した成果を数字や具体例を交えて記載しましょう。
これにより、単なる業務内容の羅列ではなく、あなたのスキルと貢献度が明確に伝わります。
面接では、職務経歴書に書いた内容をさらに掘り下げて話すことが大切です。
例えば、難しい調整を成功させたエピソードを具体的に語ることで、あなたのコミュニケーション能力や課題解決能力をアピールできます。
その際、「どのような状況で」「誰と」「どのような課題を抱えていたか」「その課題を解決するためにどのようなアプローチをしたか」「その結果どうなったか」といった具体的な背景とプロセスを意識して話すと、面接官の共感を呼び、あなたの人間性を理解してもらいやすくなります。
成功事例|調整力を評価され経営企画にキャリアシフト
調整力を評価された経理パーソンの成功事例として、経営企画部門へのキャリアシフトが挙げられます。
ある経理マネージャーは、月次・年次決算の取りまとめに加え、予算管理、予算策定を経験。
彼は、監査法人や税理士法人との綿密なコミュニケーションを通じて、会計数値に関する不明点を迅速に解消し、そのヒアリング内容から経営リスクと機会を抽出し、経営陣の意思決定に資する提言を行いました。
この外部機関との調整力と、経営層への提言力が評価され、会社の事業計画策定を担う経営企画部門への異動が打診されました。
彼は経理で培った数字の知識と、現場とのコミュニケーションを通じて獲得した事業理解を活かし、経営企画部門で会社の成長戦略を立案する重要な役割を担うことになりました。
この事例は、経理の仕事が単なるバックオフィス業務ではなく、事業を動かす重要なポジションへのキャリアパスを開く可能性を秘めていることを示しています。
まとめ|調整力は“選ばれる経理”の条件
今日のビジネス環境において、経理パーソンに求められるのは、単なる技術力や数字の知識だけではありません。
それに加えて、経営陣、現場部門、監査法人といった多様なステークホルダーと円滑な関係を築き、利害を調整するコミュニケーション能力と調整力が不可欠となっています。
この調整力こそが、あなたの経理としての市場価値を大きく高める要素であり、転職市場で「選ばれる経理」になるための重要な条件です。
もしあなたが、現在の経理の仕事に物足りなさを感じているなら、ぜひこれまでの経験を振り返り、どのような場面で調整力を発揮し、どのような成果を出したかを具体的に言語化してみてください。
管理部門・士業に特化し、専門知識を持つ私たちMS-Japanのアドバイザーにご相談いただければ、あなたの経理スキルだけではなく、職務経歴書では表現しきれない「調整力」や「プロジェクト推進力」まで理解をして、キャリアを次のステップに進めるための具体的なキャリア戦略をご提案いたします。
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この記事を監修したキャリアアドバイザー

カナダ州立大学卒業後、新卒でMS-Japanへ入社。求人企業側の営業職を経験した後、2014年にキャリアアドバイザーへ異動。
2016年からは横浜支社にて神奈川県内の士業、管理部門全職種を担当し、現在は関東全域の士業、管理部門全職種を担当。
経理・財務 ・ 人事・総務 ・ 法務 ・ 経営企画・内部監査 ・ 外資・グローバル企業 ・ 会計事務所・監査法人 ・ 役員・その他 ・ IPO ・ 公認会計士 ・ 税理士 ・ USCPA ・ 弁護士 を専門領域として、これまで数多くのご支援実績がございます。管理部門・士業に特化したMS-Japanだから分かる業界・転職情報を日々更新中です!本記事を通して転職をお考えの方は是非一度ご相談下さい!
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