中小企業の経理とは?大企業との違いやメリット、転職のポイントなど



転職を考える際、企業の規模による働き方やキャリアの違いについて悩む方は少なくありません。
経理職を目指す場合、大手企業と中小企業では求められるスキルや業務内容に差があり、自分に適した環境を選ぶためにはそれぞれの特徴を理解することが重要です。
この記事では、中小企業の経理職に焦点を当て、大企業との違いや中小企業ならではのメリットを詳しく解説します。
また、転職を成功させるためのポイントもご紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
【中小企業の経理】仕事内容や進め方は?
中小企業の経理担当者の仕事内容は、大企業や上場企業と比較してその範囲が広く、業務内容が多岐にわたることが特徴です。
中小企業では経理部門の人員が少ないため、一人経理として活躍するケースも少なくありません。
この場合、現金出納や伝票管理、経費精算、請求書発行といった日次・月次業務から、年次決算や年末調整などの会計業務全般を少ない人数で担当することが求められます。
一方、大企業では人員が充実していることが多く、業務が細分化されており、それぞれの担当者が専門的な役割を持つ分業制が一般的です。
このような違いにより、大企業では経理業務がより高度で専門的なスキルを要する一方、中小企業では幅広いスキルが必要とされます。
【中小企業の経理】年収は?
経理職の年収相場は、企業規模によって大きな差があります。
2024年1月から11月にMS Agentに登録された経理経験者のデータによると、従業員数が99名以下の企業では平均年収が500万円、100名~999名では552万円、1,000名以上の大企業では600万円となっており、企業規模が大きくなるほど年収が高い傾向が見られます。
大企業の年収が高い理由としては、資金力の違いだけでなく、業務内容や責任の重さが挙げられます。
大企業では日々の会計業務に加え、開示や連結決算などの専門性が高い業務を担うこともあるため、収入が高くなる傾向があると考えられるでしょう。
一方、中小企業の経理では、業務範囲が広いものの経営戦略に深く関与する機会は限られることが多く、結果として年収が抑えられる傾向にあります。
ただし、中小企業では幅広い業務経験を積むことができるため、スキルアップには適した環境といえます。
中小企業の経理へ転職するメリット
大企業が圧倒的に望ましいかというと、必ずしもそうとは言えません。
中小企業の経理に転職した方がメリットがある場合もあります。
経理以外の幅広い業務が経験できる
同じ経理部門であっても業務の細分化されている大企業とは違い、少数の人員で会社全体の経理業務をこなすのが中小企業です。
そのため中小企業の経理は多岐にわたり、ときには経理以外の業務、たとえば総務、人事、生産管理といった部門も任されることがあります。
幅広い業務を経験できるため、会社経営の全体を見渡すことができるようになるのでやりがいを感じられるでしょう。
どんな業務もこなせるということは、その分転職の選択肢が広がるとも言えます。
日本の企業の99%以上が中小企業であり、従業員数は約70%です。つまり、求人の大半は中小企業によるものなのです。
前述のとおり、大企業の経理は分業制で専門性の高い仕事ですが、一方で担当業務以外は早期に携わることが出来ないということも多くあります。
大企業でキャリアを積んだからといって、業務範囲の広い中小企業の経理をこなすスキルがあるとは限らないのです。
その点、守備範囲の広い中小企業の経理でキャリアを積んでいれば、経験を活かして転職したい場合に選択肢が広がります。
出世が早い
中小企業のうち、特にベンチャー企業やスタートアップでは大企業よりも早く出世できる可能性があります。
大企業ではたくさんの人数が同じ部署で働いており、組織で動きます。組織に必要なのは個人の突出したスキルよりも、全体のチームワークやバランスです。
能力があるからといってあまり若いうちから出世させてしまうと、他の従業員の嫉妬や反感を招きかねず、出世は年功序列になりがちです。
実力主義を標榜する企業であっても、時間をかけて順々に昇進していくのが穏当でしょう。
一方で、中小企業では雇用している従業員が少ない企業も多くあるので、ライバルが少ないと言えます。
決算業務などの大きな仕事も早いうちから経験できる可能性も高く、社内の業務改善といったプロジェクトなどにも深く関わることができます。
「早く出世したい」「早く実績をつくりたい」という人は中小企業に向いていると言えるでしょう。
中小企業の経理で求められるスキル
中小企業の経理では、以下のようなスキルが求められます。
簿記の知識
中小企業の経理業務を遂行する上で、簿記の知識は欠かせません。
特に中小企業では幅広い業務を一人で担う場合が多く、即戦力となる簿記2級程度の知識が求められることが一般的です。
財務諸表の読み解きや予算管理の基礎にも簿記の知識を活かすことができるので、経営判断に貢献できる場面も多くなります。
コミュニケーション能力
経理担当者は、社内の多くの部署と連携を図る必要があります。
例えば、営業部門との請求書や経費の確認、管理部門との予算調整など、正確でスムーズな情報共有が業務の効率化に直結します。
特に中小企業では、人員が限られる分、部門間の協力が重要であり、丁寧かつ明確なコミュニケーション能力が求められます。
OAスキル
中小企業の経理業務では、ExcelやPowerPointなどのOAスキルが必要不可欠です。
特にExcelは、データ分析や財務資料の作成、帳簿管理などに頻繁に使用するため、ピボットテーブルや関数を駆使できると業務効率が大幅に向上します。
また、PowerPointを使った資料作成スキルがあれば、経営層への報告資料やプレゼンテーション資料を効果的に作成でき、企業内での評価も高まるでしょう。
中小企業の経理に転職する時のポイント
ここでは、中小企業に転職をする場合に押さえておきたいポイントを3つご紹介します。
業務範囲を確認する
中小企業の経理業務は、企業ごとにその範囲が大きく異なります。
現金管理や決算業務といった基本的な経理業務だけでなく、場合によっては人事や総務の業務まで担当することがあります。
一方で、業務の一部を会計事務所に委託する企業も多く、担当範囲が狭い場合もあります。
転職時には、自身が担う業務の具体的な内容や範囲をしっかりと確認し、入社後のギャップが生じないようにすることが重要です。
柔軟性や幅広い業務に対する前向きな姿勢をアピールする
中小企業では、限られた人員で幅広い業務をカバーする必要があるため、ゼネラリストとしての柔軟性が求められます。
このため、転職活動では幅広い業務に挑戦したいという前向きな姿勢を伝えることが評価につながります。
転職エージェントを利用する
中小企業への転職を成功させるためには、転職エージェントの活用がおすすめです。
特に、MS Agentは経理職の転職支援に特化したノウハウを持つエージェントとして、これまで多くの中小企業への転職支援実績を積み重ねています。
企業規模や業務内容、キャリアプランに応じた実践的なアドバイスを受けることができますので、この機会に利用を検討してみてはいかがでしょうか。
中小企業×経理の求人例
ここでは、弊社MS-Japanが運営する管理部門・士業特化型転職エージェント「MS Agent」で取り扱う中小企業の経理求人例をご紹介します。
経理担当者/年間休日126日/上場準備中/国内シェアNO1サービス
仕事内容 |
・仕訳入力 ・固定資産・在庫管理 ・会計帳票・証憑書類の整備保管等 ・月次/年次決算 |
必要な経験・能力 |
下記条件に1つ以上当てはまる方 ・事業会社や事務所等で経理経験が3年程度ある方 ・月次や年次決算の経験がある方 |
想定年収 |
400万円 ~ 650万円 |
独立系SIer/経理担当/フレックス有、残業時間少な目でWLB◎
仕事内容 |
• 日常経理業務(仕訳、会計ソフトへの入力、出納管理) • 月次・四半期・年次決算業務のサポート • 予算作成および実績管理 • 税務申告業務の補助(法人税、消費税など) • 経費精算システムの運用・改善 • 現金管理、口座管理および支払業務 • 財務報告書の作成および分析 • 内部統制の維持、外部監査対応 など ※会計事務所と一緒に対応します。 |
必要な経験・能力 |
・経理実務経験(事業会社/会計事務所不問) |
想定年収 |
512万円 ~ 670万円 |
CFO候補/経理財務マネージャー/リモート週3~4日可/物流ソリューション
仕事内容 |
<経理・財務> ・日次・月次・四半期・年次処理/各決算処理 ・原価計算(配賦処理)、PJ会計対応 ・決算短信(四半期含む)、計算書類、有価証券報告書の作成 ・監査法人・税務対応 ・銀行折衝業務 ・資金繰り表の作成 <IR> ・IR対応(現状非上場のため、一部株主のみであるが定期的に決算説明資料共有。上場後は、通常のIR対応) ・内部統制構築 <上場関連業務> ・上場準備業務全般サポート ・主幹事証券連携 |
必要な経験・能力 |
・制度会計の対応が可能な方 ※税務会計のみは不可 ・仕訳伝票の入力から決算まで、一通りの経理業務を単独で行える知識・経験 ・経理領域における実務経験5年以上 ・少人数の組織で幅広い経理業務に携わったご経験 |
想定年収 |
800万円 ~ 1,100万円 |
中小企業の経理へ転職した事例
子育て中のママさんが叶えた、柔軟な働き方ができる経理職への転職事例!
Kさん(30代女性)
転職前:上場グループの事業会社
転職後:非上場の事業会社
Kさんは、育児とフルタイム勤務の両立に限界を感じ、転職を決意しました。
育児とキャリアを両立するため、柔軟な働き方が可能な職場を探す必要性を感じ、具体的な条件を明確にして転職活動を始めました。
「残業はリモートで繁忙期のみ」、「週2~3日のリモートワーク」といった具合に、自身の希望条件を具体的に言語化することで、企業側も採用後のイメージを描きやすくなり、最終的に条件に合った企業へ転職し、育児とキャリアを両立できる環境を実現しました。
未経験・簿記2級の資格を活かして経理にキャリアチェンジした事例
Iさん(20代男性)
転職前:販売職
転職後:経理職
Iさんは販売職として働きながら、販売計画に携わる過程で数字を扱う業務に魅力を感じたため、未経験で即戦力が求められる市場環境に不安を抱えつつも、転職を決意しました。
転職活動では、経理職を志望する理由と将来のキャリアパスを明確にし、一貫性のある動機を面接で伝える準備を徹底しました。
MS Agentのアドバイザーとの相談を通じて、自身の目指すキャリアを言語化し、企業にしっかりアピールすることで、未経験ながらも経理職での転職を成功させました。
転職の成功は求人票の枠を超える!求人票の記載年収から大幅アップで決定されたミドル人材の事例
Kさん(40代男性)
転職前:老舗非上場メーカー 管理部門責任者
転職後:独立系老舗広告企業 経理財務責任者
Kさんは、郊外の老舗メーカーでの人間関係に悩み、新しい職場を模索していました。
自身の経験を活かしつつ年収維持以上の転職を目指しており、CFO候補の求人に興味を持ったものの、求人票の年収レンジが希望に届かない点を懸念し、MS Agentを通じて希望年収を企業へ交渉。
結果として求人票の想定年収を上回る年収850万円と経理財務責任者というポジションを獲得しました。
中小企業から大企業へ転職することも可能
中小企業から大企業への転職は十分に可能です。
むしろ、中小企業で幅広い業務を経験した経理担当者は、大企業で重宝されるケースもあります。
中小企業では少人数で多くの業務をこなすため、経理全般を包括的に理解しており、柔軟な対応力を身に付けている人物として、即戦力としての評価を得られるからです。
大企業への転職を目指す場合、実務経験やスキルの向上が重要です。
特に、3年以上の実務経験やビジネス英語力(TOEIC800点以上)があると選択肢が広がります。
また、中小企業での若いうちからのマネジメント経験や、幅広い業務を担当した実績も強みとなるでしょう。
これらの経験を具体的にまとめ、自己PRにしっかりと反映させましょう。
自力での転職活動に不安を感じた場合は、転職エージェントの活用がおすすめです。
中小企業で培ったスキルを的確に伝えるサポートも受けられるため、大企業にも自信を持って応募できます。
まとめ
中小企業では経理全般を包括的に学び、幅広い業務を担当できる力を養うことができます。
一方で、大企業は専門性が高く、分業化された環境で特定分野のスキルを磨くことが可能です。
中小企業で培った柔軟性や対応力は、大企業でも即戦力として評価されるため、中小企業から大企業への転職も十分に可能であり、これまでの経験を強みに新たな環境でキャリアアップを目指せます。
転職活動を進める際に迷いや不安がある方は、専門の転職エージェントを活用するのも一つの手です。
経理の転職支援実績を豊富に持つMS Agentであれば、より効率的な転職活動を実現しやすくなりますので、この機会に利用を検討してみてはいかがでしょうか。
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この記事を監修したキャリアアドバイザー

大学卒業後、大手受験業界にて校舎運営・高校生の進路指導に従事。その後、補助金や財務のコンサルタント会社を経て、MS-Japanに入社。
現在はキャリアアドバイザーとして、経理・財務・会計事務所を中心に担当し、様々な方の転職活動を支援しています。
経理・財務 ・ 人事・総務 ・ 会計事務所・監査法人 ・ 税理士科目合格 を専門領域として、これまで数多くのご支援実績がございます。管理部門・士業に特化したMS-Japanだから分かる業界・転職情報を日々更新中です!本記事を通して転職をお考えの方は是非一度ご相談下さい!
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