経理はフリーランスでも働ける?必要なスキルやメリット・デメリットなど

フリーランスというと、ライターやデザイナー、エンジニアなどのクリエイティブ職を思い浮かべる方が多いかもしれません。
しかし近年、経理のようなバックオフィス職にもフリーランスという働き方が広がりつつあります。
本記事では、フリーランス経理として働くために必要なスキルや年収の相場、実際のメリット・デメリットなどを解説します。
POINT
・経理の分野でも、専門性の高い「フリーランス経理」の需要が高まっています!
・自由な働き方というメリットがある反面、収入の不安定性などのリスクに注意…
・最近では、「副業可の企業で、安定と自由を両立する」という選択肢を選ぶ方も増えています!
「フリーランス経理」とは?
フリーランスとは、企業や団体に所属せず、業務ごとに契約を交わして仕事を行う働き方です。
経理職でもこのスタイルが可能であり、「フリーランス経理」として複数の企業から業務を受託する方が増えています。
雇用関係がないため、最低賃金や有給休暇などの労働法上の保護は受けられませんが、その代わりに働く時間や場所を自由に選べるという特徴があります。
昨今は、フリーランスを保護する新たな法律も整備され、安心して働ける環境が整いつつあります。
フリーランス経理の需要
フリーランス経理の市場は拡大傾向にあり、主にスタートアップ企業や中小規模の企業で需要が高まっています。
人材が潤沢で経理部門に多くの人員を配置できる大手企業とは異なり、スタートアップ企業や中小企業は限られたリソースで経理機能を確保する必要があります。
新たな事業を開始する過程であるスタートアップ企業は、高度な経理スキルを持つ人材を直ちに雇用することが難しいため、フリーランス経理が適材です。
中小企業も事業の規模や成長段階によって経理の必要性が変動するため、フリーランス経理を柔軟に利用することが費用対効果につながります。
経済産業省の調査でも、企業の約5割がフリーランス活用を拡大する意向を示しています。
経理の分野でも、柔軟かつ専門性の高い外部人材の活用が進んでいるのが現状です。
参考:労働市場の構造変化の現状と課題について(平成31年4月)|経済産業省
フリーランス経理の仕事内容
フリーランス経理の仕事は、単なる記帳や仕訳だけではありません。
特にスタートアップや小規模企業では、経理実務とあわせて会計体制の構築や業務改善の支援など、より実践的で経営寄りの役割が求められます。
たとえば、以下のような業務が発生します。
- ・会計ソフト導入や帳簿管理ルールの整備
- ・月次試算表や資金繰り表の作成サポート
- ・経費精算や請求フローの仕組み化
つまり、“手を動かすだけの経理”ではなく、“仕組みを整える経理”がフリーランスに求められる役割です。
経験やスキルがあればあるほど、企業の信頼を得やすく、継続案件にもつながりやすくなります。
フリーランス経理の年収相場
フリーランス経理の収入は、業務単価や稼働時間、請け負う案件数によって大きく変動します。
例えば、記帳代行の相場は1仕訳あたり50〜100円です。
1時間に30件処理できれば時給換算で3,000円、月100時間働けば月収は30万円、年収換算で約360万円程度が目安となります。
また、まとまった業務を依頼される場合、月額固定報酬やプロジェクト単位による契約も珍しくありません。
高いスキルと知識を持つ経理経験者は、高めの単価で案件を受けやすいため、それに伴って年収を増やすことも可能です。
高単価の案件や固定報酬契約を獲得できれば、それ以上の収入も十分可能です。
ただし、収入が安定しないリスクもあるため、継続的な案件確保やスキルアップが不可欠です。
不安定な収入面や案件を取れるのかが不安な方は、まずは副業から始めてみることをおすすめします。
フリーランス経理に必要なスキル
フリーランスの経理として働くためには、どのようなスキルが必要なのでしょうか。
以下に、主なスキルをまとめてみます。
実務経験と会計知識
企業経理での実務経験は必須です。
仕訳処理や帳簿作成だけでなく、税務や会計基準への理解も求められます。
経験が浅い状態でいきなり独立するのは難しいため、まずは企業で経験を積むことが現実的なステップです。
「今のスキルで独立できるか不安」という方は、まずは転職で実務経験を広げるのも選択肢の一つです。
ITスキル
近年の経理業務では、高度なITスキルも欠かせません。
Excelや会計ソフトに精通しているだけでなく、データの管理・取り扱いに関する知識も必要です。セキュリティ対策への意識を高め、クライアントの機密情報を適切に保護する能力が求められます。
クライアントとのコミュニケーションはオンラインで行われることが多いため、Web会議ツールやチャットツールなどの操作スキルも必要です。
新しいIT技術にすぐ対応できれば、その技術を取り入れたい企業からの需要が高まります。
経理に関連するIT技術にアンテナを張り、柔軟に取り込む適応力を磨きましょう。
営業力
フリーランス経理として独立するためには、自身の強みや特長を的確にアピールし、新規クライアントを獲得する営業力も重要です。
これには契約内容や価格設定に関する交渉スキルも含まれます。
初めて業務を請け負った新規クライアントに対しては、良好信頼な関係を築き、今後も継続案件を依頼されるためのコミュニケーション力も必要です。
フリーランス経理のメリット・デメリット
フリーランス経理は自由な働き方が手に入るというメリットがある一方で、注意したいデメリットもあります。
ここでは、フリーランス経理として働くメリットとデメリットをそれぞれ紹介します。
比較 | 正社員 | フリーランス |
---|---|---|
収入面 | 固定給で安定 | 実力次第で変動 |
社会保障 | 社会保険あり | 自己負担 |
働き方 | 勤務時間が固定 | 時間・場所が自由 |
キャリア | 社内での昇進昇格 | 自主的な成長 |
フリーランス経理のメリット
まず、主なメリットは以下のとおりです。
自分の好きな場所や時間で働ける
フリーランス経理として働く最大のメリットは、自分の好きな場所や時間で働ける柔軟性があることです。
通勤の必要がなく、自宅や近隣のカフェなど、どんな場所でも仕事に取り組むことができます。
また、働く時間も自分でコントロールできるため、朝型や夜型の人にとっては理想的な働き方と言えるでしょう。
この柔軟性により、日々のリズムが整い、自分らしい生活スタイルを見通すことが可能です。
仕事量を自由に調整できる
フリーランス経理のもう一つの利点は、仕事量を自由に調整できることです。
案件ごとに契約を結び、自分の都合やスケジュールに合わせて仕事を受けるスタイルは、フリーランスならではの魅力と言えます。
需要が高まる時期には多くの仕事を引き受け、収入にゆとりがある期間は仕事量を減らして休暇を満喫することも可能です。
仕事量をコントロールし、自分のペースで働くことで、対人関係や仕事に対するストレス抑制・解消にもつながるでしょう。
仕事とプライベートが両立しやすい
フリーランス経理の柔軟な働き方は、仕事とプライベートの両立も可能です。
例えば、育児や介護のための時間が必要になった場合、フリーランスとして働くことで自分のスケジュールを調整しやすくなるでしょう。
勤務時間の拘束が無いため、急な家庭の事情にも柔軟に対応でき、ワークライフバランスを保ちながら安心して経理としてのキャリアを続けることができます。
正社員のような有給休暇や育児休業、福利厚生はないですが、自らの裁量で仕事とプライベートの両立ができることは、フリーランス経理のメリットと言えるでしょう。
自ら価格交渉を行い効率良く収入を得られる
フリーランス経理は、自身のスキルや経験に応じて、クライアントとの価格交渉を行います。
契約もクライアントと直接取り交わすため、仲介手数料などが発生せず、効率的に収入を得ることが可能です。
スキルや実績が向上すれば、高い単価で契約できるため、収入面での成長にも期待できます。
自身の価値が正当に評価され、適切な報酬を得られることは、仕事としてのやりがいにつながるでしょう。
フリーランス経理のデメリット
続いて、フリーランス経理として働くデメリットを取り上げてみます。
福利厚生がない
フリーランス経理として働くデメリットの一つは、福利厚生が不足していることです。
正規雇用者には健康保険や労災保険、厚生年金などの社会保障制度が提供されていますが、フリーランスは自己責任で保険に加入する必要があります。
急な病気や怪我、予期せぬトラブルに対処する際は、正規雇用者のような保証がないため、経済的な不安を引き起こす要因となるでしょう。
仕事の調整を自ら行う必要がある
二つ目のデメリットは、仕事の調整を自分で行わなければならないことです。
クライアントとの契約やプロジェクトの進捗管理、スケジュール調整など、すべての業務を自己管理する必要があります。
イレギュラーにも対処するための調整力が求められ、時にはプレッシャーやストレスを感じることもあるでしょう。
クライアントの要望や仕事の依頼が一時的に急増することも珍しくなく、そのような環境の変化にも柔軟に対応しなくてはなりません。
収入が不安定
フリーランス経理の最も顕著なデメリットは、収入の不安定性です。
正規雇用者が毎月安定した給与を受け取るのに対し、フリーランスは契約が途切れると収入が途絶える可能性があります。
特に経理職は、業務が集中する繁忙期と業務が落ち着く閑散期で受注件数にムラが生じる傾向も見受けられます。
収入が安定していなければ、生計を立てる上での不安も大きくなるでしょう。
フリーランスか、転職か?両立できる選択肢も
最近では「副業可の企業に転職し、安定と自由を両立する」という働き方を選ぶ方も増えています。
正社員としての安定性を確保しながら、業務時間外にスポット業務を受けることで、収入の多様化やスキルの幅出しが可能です。
- ・副業可の企業へ転職
- ・自社では経験できない業務領域にチャレンジ
- ・将来の独立に備えた準備期間にする
このように、キャリアの選択肢は一つではありません。
今の自分に合った働き方を一緒に考えてみませんか。
まとめ
昨今の人手不足や人材コストの最適化を理由に、経理の外注は増加傾向にあり、経理職でもフリーランスとして働く機会が広がりつつあると言えるでしょう。
フリーランス経理の働き方には自己管理や顧客獲得などの課題を伴いますが、自由度が高く、プライベートと両立しやすいことがメリットです。
また、スキルや実績を積み重ねることで、得られる報酬額も増えるでしょう。
フリーランス経理は、個人のスキル・努力次第で、充実した生活とキャリアの成長に期待できる働き方だと考えられます。
- #フリーランス経理
- #経理副業


この記事を監修したキャリアアドバイザー

大学卒業後、ウェディングプランナー、業界大手で求人広告の企画提案営業を経て、MS-Japanへ入社。
企業担当のリクルーティングアドバイザーを経験した後、現在は転職を考えられている方のキャリアアドバイザーとして、若手ポテンシャル層~シニアベテラン層まで多くの方の転職活動のサポートをしています。
人材業界での経験も長くなり、いつまでも誰かの記憶に残る仕事をしていたいと思っています。
経理・財務 ・ 人事・総務 ・ 法務 ・ 経営企画・内部監査 ・ 会計事務所・監査法人 ・ 役員・その他 ・ 公認会計士 ・ 税理士 ・ 弁護士 を専門領域として、これまで数多くのご支援実績がございます。管理部門・士業に特化したMS-Japanだから分かる業界・転職情報を日々更新中です!本記事を通して転職をお考えの方は是非一度ご相談下さい!
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