2025年11月28日

人事のIPO準備企業転職|求められる役割・スキルと成功事例を徹底解説(後編)

この記事は後編です。前編の記事はこちらをご確認ください。

前編では、IPO準備企業における人事の主要ミッションを、労務コンプライアンスの徹底(就業規則・36協定・残業運用・SO対応)、事業計画と連動した採用体制の構築、等級・評価・報酬を含む制度設計とJ-SOX観点のフロー整備という3領域で整理しました。

あわせて、転職成功に不可欠な基礎力として、法令理解と内部統制の視点、数値に基づく人員計画策定力、経営・監査法人・現場を橋渡しするステークホルダー調整力を示しました。

後編では、IPO準備企業に転職するメリットと留意点に加え、面接での伝え方・職務経歴書の書き方と評価されるエピソード設計、さらに転職成功事例までを解説します。

IPO準備企業に転職するメリットと注意点

IPO準備企業への転職は、短期間で質の高いキャリアアップが望めるチャンスです。
一方で、高いプレッシャーと業務負荷を伴うことを理解しておく必要があります。

以下でメリットと注意点を整理しておきます。

メリット

IPO準備に携わっている期間は、人事業務の全領域を短期間で経験できます。
上場企業の一担当者では得難い、経営の意思決定プロセスへの参画や全社横断的なプロジェクトを主導する経験が積めるため、あなたのキャリアを飛躍的に向上させてくれます。

企業が上場を果たした後には、その貢献度が認められ、人事責任者(マネージャー、部長クラス)など、より責任あるポジションへのステップアップが実現する可能性が高いです。

注意点

IPO準備は、期限が明確に定められた全社的なプロジェクトです。
通常業務と並行して、上場企業として求められる体制整備と膨大な量の上場申請に必要な資料作成業務が発生します。

そのため、一時的な業務量の増加による残業や休日出勤、時には経営層が求めるスピード感に対応するための夜間対応が発生する可能性も考慮しておく必要があります。

また、制度設計においては、監査法人や証券取引所からの厳しい指摘や経営陣からのプレッシャーにさらされるため、強いプレッシャーの中で成果を出し続ける精神的なタフネスが求められます。

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IPO準備企業への転職成功ポイント

選考では、「IPO準備特有の課題解決能力」と「困難な状況下での成果」に焦点を当てて、具体的なエピソードを伝えることが成功の鍵となります。

面接でよく聞かれる質問と転職理由の伝え方

IPO準備企業の人事面接では、あなたのコンプライアンス意識計画策定能力、そして課題解決能力が厳しく確認されます。
内定者と不採用者の決定的な違いは、「業務幅を広げたいという前向きな意欲」を具体的にアピールでるかどうかにあります。

例えば、「現職で培った労務コンプライアンスの専門知識を、『制度構築』というより広範な領域で活かし、事業成長の根幹に関わりたい。御社のIPO準備フェーズは、自身のスキル幅を広げ、市場価値を最大化するための最高の機会だと考える。」といった、貢献意欲と明確なキャリアゴールを紐づけた伝え方が有効です。

面接での質問には、是正対応や制度設計において、「問題の特定」から「解決策の実行」、「再発防止の仕組み」までを一連の流れで具体的に説明できるように準備しておきましょう。

職務経歴書への書き方(課題解決能力の強調)

職務経歴書では、「課題を適切に把握し、それに対して行動した具体的なエピソード」を軸に構成することが、最高の差別化となります。
特にIPO準備企業は課題が山積みで未確立な部分が多いため、それを打開できる経験は高く評価されます。

【アピールすべき具体的な経験の例】
「課題」:「給与計算プロセスの属人化と内部統制リスクの存在を特定」
「行動」:「経理部門と連携し、業務フローを整備。給与確定前の多段階チェック機構を新たに設計し導入」
「成果」:「業務の透明性が向上し、上場審査で指摘され得るリスクを未然に排除。」

このような「課題発見力」と「未整備な状況を打破した具体的な行動」を数値や具体例で示すことで、即戦力性を強くアピールできます。

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転職成功事例

大手企業で労務に特化していた方が、IPO準備企業で「制度構築」に挑戦し、上場後に人事部長へ昇進するケースが多く見られます。

事例1:大手メーカー出身、30代後半・労務経験者

転職前: 大手製造業の人事部門で、主に労務管理と給与計算を担当。法令知識は豊富だが、制度設計の経験はなし。
転職先: ITベンチャー(従業員約80名、上場準備中)
成功のポイント: 豊富な労務コンプライアンス知識を活かし、入社後すぐに就業規則・36協定の整備、および労務デューデリジェンスを主導。特に、みなし残業制度の運用改善を徹底し、上場審査を通過するための土台を早期に確立した。
転職後の成果: 上場後、その貢献が評価され人事総務部長に昇進。現在は、グローバル展開を見据えた新たな報酬制度の構築に携わっている。

事例2:上場企業出身、20代後半・採用企画経験者

転職前: 上場インターネット企業で中途採用の企画・実行を担当。採用マーケティングに強み。
転職先: ヘルスケア系スタートアップ(従業員約50名、上場準備開始フェーズ)
成功のポイント: 「0→1」のマインドで、事業計画に基づき5年間の人員計画を策定。管理部門の即戦力採用を最優先課題とし、採用プロセスを内部統制の観点から整備。採用のKPIを徹底管理することで、計画の確実性を向上させた。
転職後の成果: 入社3年で上場を達成。現在は人事企画マネージャーとして、エンゲージメント向上施策の推進など、組織活性化の領域で活躍している。

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まとめ

IPO準備企業への転職は、人事キャリアにおいて最も刺激的で成長機会の大きい選択肢の一つです。
求められる役割は多岐にわたり、高いプレッシャーもありますが、その経験はあなたの市場価値を飛躍的に高めます。
労務コンプライアンスの基礎知識と、事業成長を加速させる戦略的な人事制度の構築経験は、今後のキャリアにおいて揺るぎない自信となるでしょう。

管理部門・士業に専門特化した転職エージェント「MS-Japan」では、IPO準備企業のリアルな組織課題、最新の審査動向、および採用ニーズを深く把握しており、あなたの経験やスキルが最も活かせる転職先をご紹介することが可能です。
キャリアアップを目指し、この挑戦的なフェーズに身を投じたいとお考えの方は、ぜひ一度ご相談ください。あなたの成功を全力でサポートいたします。

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この記事を監修したキャリアアドバイザー

西 優里佳

大学卒業後、大手受験業界にて校舎運営・高校生の進路指導に従事。その後、補助金や財務のコンサルタント会社を経て、MS-Japanに入社。
現在はキャリアアドバイザーとして、経理・財務・会計事務所を中心に担当し、様々な方の転職活動を支援しています。

経理・財務 ・ 人事・総務 ・ 会計事務所・監査法人 ・ 税理士科目合格 を専門領域として、これまで数多くのご支援実績がございます。管理部門・士業に特化したMS-Japanだから分かる業界・転職情報を日々更新中です!本記事を通して転職をお考えの方は是非一度ご相談下さい!

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