法務と経営をつなぐリスクマネジメントの重要性|経営層から評価される法務人材とは(後編)

この記事は後編です。前編の記事はこちらをご確認ください。
<前編の要約>
企業の成長における法務の役割が「契約や訴訟対応」といった守りの機能から、「経営リスクの予防」や「事業スピードとの両立」を担う戦略的機能へと進化していることを解説しました。
さらに、経営層が法務人材に期待する「数字・事業戦略に即した提案力」や、M&A・IPOなどの重要局面で成果を出すリスクマネジメント実務の具体例も紹介しました。
引き続き、後編では、経営層から高く評価される法務人材の特徴や、リスクマネジメント分野の求人動向、そして戦略的法務として成長するための具体的な行動指針を解説します。
経営層から評価される法務人材の特徴
経営層から評価される法務人材の最大の特徴は、「法務スキル」を土台としつつ、「ビジネス理解」と「提案力・実行力」を高いレベルで兼ね備え、事業の実現を牽引できるプロアクティブな姿勢にあると言えます。
法律の専門知識はプロとしての前提ですが、評価を分けるのはその「応用力」です。
高いビジネス理解力
自社の事業モデル、KPI、収益構造を深く理解しています。
採用面接では、新規事業立ち上げ時の法的優先順位づけや、契約リスクと収益のトレードオフ判断といったケーススタディを通じて、事業モデルを理解しているかが徹底的に測られます。
提案力・実行力
単なる問題指摘で終わらず、問題を解消し事業を加速させる複数の現実的な代替案を提示し、実行を牽引する力があります。
特に、リスクを金額換算して経営層に説明し、意思決定を促す力は、高い評価に直結します。
給与・昇進への反映(転職市場のリアル)
提案力・実行力のある法務人材は、同レベルの経験者と比較して給与で10〜30%上振れする傾向にあり、昇進スピードも速い傾向にあります。
これは、経営層が彼らを経営直下の重要ポジションや全社的なコンプライアンス責任者といった、事業への影響力が大きいポジションに登用する傾向が強いためです。
これらの特徴を持つ法務人材は、法律の専門家としてだけでなく、経営の重要な意思決定に不可欠なパートナーとして、組織内で高い価値を発揮します。
リスクマネジメント求人例
現在、リスクマネジメントに深く携われる法務求人は、企業の成長フェーズとガバナンス強化に伴い、戦略的な部門としての役割を拡大しており、高い専門性とビジネスへの影響力が期待されています。
法務の領域でリスクマネジメントに携わる求人は、単なる契約審査の延長ではなく、経営層に近い、より広範な視点と専門知識を要するポジションが増加しています。
上場企業の法務・コンプライアンス責任者(全社統括)
経営会議に参画し、全社的なリスクマネジメント体制やガバナンス体制を企画・運用。
子会社のガバナンス強化や危機管理(クライシス・マネジメント)の統括など、経営直結のリスクに対応し、組織全体のリスク耐性を高めます。
グローバル企業の海外法務・リスク担当
各国の最新の法規制動向(例:各国のデータ保護法や競争法)を把握し、クロスボーダーM&Aにおけるリーガルリスク評価や、国際訴訟への対応を行います。
海外事業の予見可能性を高める戦略的な役割です。
FinTech/IT企業における新規事業法務・データガバナンス担当
データ利活用やAIガバナンスなど、先端技術を用いた新規サービス開発において、法規制のグレーゾーンを整理し、事業化の道筋を法的にデザインします。
事業のイノベーションとリスク管理の両立を担います。
これらの求人は、高い法務スキルに加え、事業への深い理解とプロジェクト推進力を求められるため、キャリアアップを目指す法務人材にとって極めて魅力的な選択肢となっています。
MS-Japanでは、このような戦略的な法務ポジションを多数取り扱っております。
まとめ
経営層から評価される法務人材になるためには、「法律知識」を基盤としつつ、「事業戦略」と「リスクマネジメント」を統合させ、企業価値の向上に貢献できる戦略的パートナーとなることが不可欠です。
法務の役割は、守りから攻めへと大きく変容し、事業の実現者(イネーブラー)としての役割が求められています。
そのために、あなたが今日から実践できる最も具体的で効果的な行動は以下の5点です。
・事業KPIの定期把握:
自分の法務業務が企業のどのKPIに影響するかを常に意識し、事業部門との共通言語を持つ。
・リスクの金額換算:
法的リスクを単なる懸念ではなく、機会損失やコストとして定量的に把握し、経営層に伝える訓練をする。
・短時間の事業法務ミーティング実施:
事業部門の会議に積極的に参加し、初期段階で法務視点を提供する“対話型法務”を実践する。
・契約テンプレートの整備と共有:
効率化を追求し、事業のスピードアップに貢献する。
・自ら定量目標を設定・共有:
法務部門の活動(例:契約審査リードタイム、コンプライアンス研修参加率など)に定量目標を設定し、その成果を経営層に共有することで、貢献度を可視化する。
これらの行動を通じて、あなたは「法律の専門家」から「経営を推進する戦略的パートナー」へと進化できます。
あなたのキャリアを「経営に直結する法務」へと進化させるため、管理部門・士業の転職に特化し、情報の量・質に優れるMS-Japanが、最新の求人情報とキャリアコンサルティングを通じて、あなたの最適な選択肢を提供いたします。
ぜひ、あなたの次のステップについてご相談ください。
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