2025年04月23日

内部監査に向いている人とは?仕事内容や役割、資格について解説

管理部門・士業の転職 管理部門・士業の転職

「内部監査の仕事に興味はあるけれど、自分に向いているかわからない」「現在内部監査を担当しているが、業務がうまくいかず適性に不安を感じている」など、内部監査への適性に悩みを抱えている方も多いのではないでしょうか。

内部監査は、企業の経営を支える重要な役割を担うため、向いている人とそうでない人の特徴がはっきりしている職種です。
本記事では、内部監査に向いている人の特徴を解説し、求められるスキルや役立つ資格、実際の転職事例をご紹介します。

内部監査とは

まずは、内部監査について簡単に紹介します。

内部監査の役割

内部監査とは、業務の不正防止や効率化を目的に、社内の従業員が実施する監査です。
業務フローや財務会計など、社内業務全般が組織のルールに沿って行われているかを評価し、問題点の改善を促します。
2006年の会社法改正により、上場企業や大企業では内部監査が義務化されました。
ただし、中小企業では法的義務がなく、体制が整備されていないケースもあります。

一方、外部監査は社外の公認会計士や監査法人が財務情報の信頼性をチェックする監査です。
株主や投資家など、ステークホルダーへの情報開示について透明性を担保する目的で行われます。

内部監査の仕事内容

内部監査では、リスクマネジメント、コントロール(内部統制)、ガバナンスプロセスの3つを重点的に確認します。

  • リスクマネジメント:企業が抱えるリスクを把握し、適切な対策が取られているか
  • コントロール(内部統制):業務のミスや不正を防ぐ仕組みが適切に機能しているか
  • ガバナンスプロセス:組織の目標達成に向けた仕組みや手順が適切か

課題が見つかった場合は報告書をまとめ、経営陣や各部門責任者に共有し、改善状況のフォロー・再調査まで実施します。

内部監査に向いている人の特徴

内部監査は健全な企業経営を支える重要な業務であり、幅広いスキルや適性が求められます。
ここでは、内部監査に向いている人の特徴を7つ解説します。

経営に関心が高く、経営者目線で思考できる人

経営に対する関心が高く、経営者の目線に立って思考できる人は内部監査に向いているでしょう。
内部監査は単なるチェック業務ではなく、企業成長や経営目標達成のために問題点を洗い出し、解決に導く業務です。
そのため、ただ細かい作業が得意なだけでは不十分だと言えるでしょう。

内部監査は、経営層と対話しながら、リスク管理や業務改善の提案を行う機会も多くあります。
ビジネス全体に関心をもち、数値やデータだけでなく、企業活動を中長期的な視点で観察する「経営者目線」の思考ができるかどうかが重要です。
将来的に起業や役員を目指している人も内部監査として適性があると考えられます。

客観的に観察・分析できる人

内部監査では、社内の業務プロセスや財務データを精査し、問題点を見つけ出さなければなりません。
偏った視点をもたず、客観的にデータを分析できるかどうかが、パフォーマンスに直結します。

リスクの兆候を見逃さず、論理的に解決策を導き出せる力も必要です。
例えば特定の部署でミスやトラブルが頻発している場合、個々のケースを単体で捉えるのではなく、根本的な問題(人員不足、システムの不備、業務プロセスの非効率性など)を洗い出し、提案する視点が求められます。
いわゆる「情に厚い」人よりも、事実に基づいて冷静な判断ができる人が向いているといえるでしょう。

マルチタスクに優先順位をつけてこなせる人

内部監査は、実施スケジュールは決まっているだけでなく、さまざまなプロジェクトを同時に進める必要があります。
そのため、限られた時間内で優先順位をつけながら業務を進められる人は内部監査に向いているでしょう。
1つの物事に集中する「職人気質」の人は、内部監査の現場で苦労する可能性があるため注意が必要です。

コミュニケーションスキルの高い人

内部監査では、各部署の責任者や経営層とのやり取りが欠かせません。
立場が上の人間に対しても、臆せず自分の意見が伝える度胸が必要です。

また、監査結果を報告し、改善を提案する際には、相手が納得できるように分かりやすく伝える能力が求められます。
監査を受ける側の部署から抵抗を受けることもあるため、信頼関係を築きながら円滑にコミュニケーションを図る能力も必須と言えるでしょう。

法令順守の意識が高い人

内部監査として、企業の不正やコンプライアンス違反を防ぐためには、社内ルールや業務プロセスが法律や規制に適合しているかを厳しくチェックする視点が必要です。
また、企業は法令を守るだけでなく、社会的責任(CSR)を果たすことも求められます。

例えば近年では、環境問題やデータ保護、ESG経営(環境・社会・ガバナンス)への対応が企業評価に大きな影響を与えています。
日々変化するトレンドや法規制にも対応できるよう、最新の情報をキャッチアップする意識がある人に向いているでしょう。

強い精神力のある人

内部監査では、不正や問題点を指摘する場面が多いため、時には反発を受けるケースもあります。
例えば非効率な業務プロセスにメスを入れる場合、従来のやり方を変えたくない関係者との対立は往々にしてあるでしょう。
監査対象の部門から敵視される状況であっても、周囲の意見に流されない「強い意志」をもつことが重要です。

また、監査業務はミスが許されないため、プレッシャーの中でも冷静に業務を遂行できる精神力が求められます。
根気強く粘り強く取り組める人は、内部監査の仕事に向いているでしょう。

ITスキルの高い人

近年の内部監査では、企業の情報システムが適切に導入・運用されているかを確認するIT監査がよく見られるようになりました。
例えばシステムの導入目的と実際の運用状況が合致しているか、アクセス管理やデータの整合性に問題がないかなどを評価する必要があります。
ITに関する基礎知識をもち、情報システムの適正な運用を評価できる人は、内部監査の現場で重宝されるでしょう。

\管理部門特化の転職エージェント!/ MS Agentに無料会員登録する

内部監査で役立つ資格11選

次に、内部監査で役立つ資格を11個ピックアップして紹介します。

CIA(公認内部監査人)

CIA(公認内部監査人)は、内部監査の国際資格で、監査手法やリスク管理、コンプライアンスに関する高度な知識を証明する資格です。
世界的に認知されており、とくに大企業グローバル企業でのキャリアアップに役に立つでしょう。
内部監査の専門家としての信頼性を高め、組織のガバナンス強化に貢献できます。

公認内部監査人(CIA)とは?試験難易度や資格取得のメリット

QIA(内部監査士)

QIA(内部監査士)は、日本国内での内部監査の専門知識を証明する資格です。
日本内部監査協会が主催する認定講習会を修了し、論文を提出して合格認定を受けることで取得できます。

内部監査のプロセスやリスク管理、統制の評価など、監査の基礎から実践的な手法まで学べるため、内部監査の初心者や実務担当者におすすめです。
日本企業に特化した監査基準を理解し、業務に活かせる点が強みです。

CCSA(内部統制評価指導士)

CCSA(内部統制評価指導士)は、内部統制の有効性を評価し、改善策を提案するスキルを証明する資格です。
企業のガバナンス強化やリスク管理に関わる業務に携わる人におすすめの資格で、内部監査だけでなく、コンプライアンス部門経営管理部門でも役立ちます。
実務経験がなくても受験自体は可能ですが、認定されるためには、コントロール(内部統制)関連の経験が1年以上必要です。

公認情報システム監査人(CISA)

公認情報システム監査人(CISA)は、ITシステムの監査に特化した国際資格です。
主にシステムリスク管理や、データセキュリティに関する専門知識を証明します。

情報システム監査に関連する資格の中で、もっとも歴史が長く、普及している資格です。
IT監査を担当する内部監査人や、企業の情報システム部門でのキャリアを目指す人にとって役に立つでしょう。

公認情報システム監査人(CISA)とは。難易度や取得するメリット

公認リスク管理監査人(CRMA)

公認リスク管理監査人(CRMA)は、リスク管理とガバナンスに焦点を当てた資格です。
主に、企業のリスクマネジメントの評価や内部監査の高度なスキルを証明します。
受験言語は英語のみであり、出題分野についての知識だけでなく、一定の英語力が必要です。

公認不正検査士(CFE)

公認不正検査士(CFE)は、企業不正の調査や防止に特化した国際資格です。

米国の公認不正検査士協会が認定する資格で、主に詐欺・不正行為の検出や、対策に関する高度なスキルを証明します。
とくに金融業界で評価対象となる資格であり、管理職の必須資格として指定されるケースも珍しくありません。

不正リスクの管理コンプライアンス強化を担当する内部監査人や、グローバルなキャリアを目指している人に向いています。

情報システム監査専門内部監査士

情報システム監査専門内部監査士は、情報システムに特化した内部監査の知識を証明する資格です。

ITリスクやシステム統制の監査だけでなく、情報セキュリティ管理の強化にも貢献できます。
IT企業やDXに積極的な企業の内部監査を目指す場合におすすめの資格です。

金融内部監査士

金融内部監査士は、金融業界に特化した内部監査の専門資格です。
主に、銀行・証券・保険業界における高度な専門知識が必要な監査業務に関連する知識を習得できます。

金融規制が厳格化する昨今、適切なリスク管理やコンプライアンスを確保するために、重要度が増している資格だといえるでしょう。

IPO・内部統制実務士

IPO・内部統制実務士は、IPO(新規上場)を目指す企業向けに、内部統制の構築や監査業務を適切に実施するスキルを証明する資格です。

IPO準備企業は、内部統制を一から作り上げる必要があるため、専門の知識が求められます。
IPO準備企業の監査担当者や、上場企業の監査部門でのキャリアアップを目指す人に適している資格です。

ISO内部監査員資格

ISO内部監査員資格は、ISO規格(ISO9001など)の適用に関する監査能力を証明する資格です。

品質管理や情報セキュリティの分野で内部監査を担当する人にとって大きく役立ちます。
取得方法が多種多様であり、自分のライフスタイルに合わせて取りやすいのが大きな魅力です。

公認会計士(CPA)

国内の最難関国家資格である公認会計士も内部監査への転職で役に立つ資格です。
公認会計士として企業の外部監査に携わった経験を活かし、内部監査へ転職する人も大見受けられます。

会計士は内部監査に転職できる?内部監査のキャリアパスとは

\あなたの資格、活かしきれてないかも/ 資格を活かせる求人を紹介してもらう

内部監査に向いていないと思ったら

内部監査に向いていないと思ったら

ここまで記事を読み進めて、内部監査の仕事への興味が高まった方もいれば、自分には向いていないと感じた方もいるでしょう。
同じ企業の従業員でありながら、内部監査人として監査対象部門に厳しい指摘をしなければならないため、嫌がられることも多いはずです。
もし、現在内部監査に従事している方で、「内部監査人に向いていない」と感じてしまった場合、転職を検討する前にすべきことがあります。
それは、現在の仕事に「あらためてやりがいを見出す」ことです。

内部監査は、正しい企業活動を続けていくために必要不可欠であり、企業全体の社会的信頼を左右する重要なポジションです。
密なコミュニケーションと、適切な改善策の提案によって、改善の成果を各部署と共有できれば、次の監査における関係部署との信頼関係の醸成にもつながります。

経営陣などの重要なポジションの人ほど、内部監査の仕事ぶりをしっかり見ているはずです。
内部監査を通して、今見える風景ではなく、その先の未来を見据えられるようになったとき、人間としても大きく成長していることでしょう。

\まだ、キャリアの可能性が見えないかも/ キャリアプランを提案してもらう

内部監査の転職事例

以下、内部監査の転職事例を2つ紹介します。

内部監査の転職事例

  • Zさん(40代前半・男性)
  • 転職前:一般企業 内部監査
  • 転職後:大手上場企業子会社 内部監査

Zさんは4社に勤務する中で、営業や事業管理、経営企画、内部監査を経験し、直近は内部監査のプレイングマネージャーとして活躍していました。
今後は内部監査の専門性を高め、キャリアアップと年収向上を目指したいと考えていました。
しかし、当時の職場では内部監査に対する理解が低く、未経験者が管理職に異動する慣習があるなど、自身のキャリアアップに限界を感じ転職を決意しました。

「MS Agent」のカウンセリングを通じて希望条件を整理した結果、「経営に対する発言権をもち、内部監査を強化できる環境」が最優先事項であることが明確になりました。
弊社からは内部監査のリテラシーが高く、比較的小規模な職場環境の求人をご紹介し、最終的に、上場企業の子会社で専門性を活かしながら発言権をもてるポジションの内定を獲得しました。

未経験から内部監査へ転職した事例

  • Tさん(40代前半・男性)
  • 転職前:非上場事業会社 内部監査
  • 転職後:東証プライム上場企業 内部監査

Tさんは金融業で20年以上事務業務を担当していましたが、内部監査に関心をもち、CIA資格の取得を目指しながら実務経験を積むために転職しました。
しかし、転職先では組織変更により希望と異なる業務に配属され、条件の相違から早期退職することになります。

その後、経理や総務など内部監査と親和性のある業務経験を積み重ねながら、CIA資格を取得しました。
資格取得を機に、本格的に内部監査へのキャリアを築くため、「MS Agent」にご相談いただきました。
転職活動では、実務経験不足が壁となり書類選考の通過に苦戦しましたが、資格取得の努力や関連業務の経験をアピールし、上場企業から内定を獲得しました。

内部監査の転職は転職エージェントに相談しよう

内部監査の転職を目指す人にとって、「求人数の少なさ」は大きな課題です。
内部監査部門を設置している企業は上場企業や大手企業、IPO準備中企業に限られ、どのような企業にもあるわけではありません。
また、業種特化の知識が求められる都合上、一般的な転職サイトでは求人を見つけにくい傾向にあります。
未経験者の場合は応募要件を満たせず、経験者であっても希望条件に合う企業を探すのが難しいため、転職活動が難航するケースが多いようです。

そのため、内部監査の転職には、転職エージェントの活用がおすすめです。
内部監査は、企業において重要なポジションであり、募集背景から企業の財政状況などを推察できてしまうため、転職エージェントの非公開求人を利用して採用活動を行う企業が増えています。
非公開求人とは、企業が求める応募者の条件と、応募者が求める企業の条件がマッチした場合にだけ紹介される求人です。
公開範囲を制限できるため、重要なポジションや人気企業・人気職種の求人でよく利用されています。

転職エージェントでは、この非公開求人の紹介はもちろん、応募書類の添削や面接対策、内定後の条件交渉まで、転職サポートを提供しています。
「条件に合う内部監査求人が見つからない」「内部監査として自己PRポイントが分からない」など、転職活動に悩みがある場合は、転職エージェントに相談してみましょう。

\管理部門特化の転職エージェント!/ MS Agentに無料会員登録する

まとめ

内部監査には、論理的思考力、客観的な分析力、法令順守の意識、強い精神力などが求められます。
転職やキャリアアップを目指す場合は、自分のスキルや志向が内部監査に適しているかを確認し、必要な資格取得を検討しましょう。

内部監査への転職を目指している方は、ぜひ弊社MS-Japanが提供する士業・管理部門特化型転職エージェント「MS Agent」にご相談ください。
内部監査の転職市場に詳しいキャリアアドバイザーが転職活動を徹底サポート致します。

  • #内部監査
  • #内部監査に向いている人
  • #公認内部監査人

この記事を監修したキャリアアドバイザー

圓鍔 忍

大学卒業後、旅行代理店にて法人営業を約3年。20代でMS‐Japanへ入社。
企業の採用支援(リクルーティングアドバイザー)を約8年、求職者の転職支援(キャリアアドバイザー)を約5年経験。
両ポジションでチームマネジメントを経験し、キャリアアドバイザーとしては複数回にわたり支援実績数NO1を獲得。リクルーティングアドバイザーにおいても入社1年半後にチームマネジメントを経験させていただきました。現在は子育てと両立しながら、常に社内でトップ10以内の採用支援実績を維持。

経理・財務 ・ 法務 ・ 役員・その他 ・ IPO ・ 公認会計士 ・ 弁護士 を専門領域として、これまで数多くのご支援実績がございます。管理部門・士業に特化したMS-Japanだから分かる業界・転職情報を日々更新中です!本記事を通して転職をお考えの方は是非一度ご相談下さい!

あなたへのおすすめ求人

サイトメニュー

職種で求人を探す
資格で求人を探す
勤務地で求人を探す
資格の転職情報を調べる
転職セミナー・個別相談会
転職サービス紹介
転職ノウハウ
求人企業の皆様へ
MS-Japanについて

業界最大級の求人数・転職支援実績!管理部門・士業の転職に精通した専門アドバイザーがキャリア相談~入社までサポートいたします。

関連おすすめ記事

新着記事

Manegyニュースランキング

マネジーでポイントを貯めて、
豪華商品に交換しよう!

詳しくはこちら

powered by

業界最大級の求人数・転職支援実績!管理部門・士業の転職に精通した専門アドバイザーがキャリア相談~入社までサポートいたします。