経理・財務キャリアスキル

2025年11月19日

【経理が経営に近づくには】30代の市場価値を高める管理会計スキルと転職成功の秘訣（後編）

前編では、30代経理担当者がキャリアアップを実現する上で、管理会計の重要性が高まっている理由を解説しました。

財務会計が「過去を記録する」役割であるのに対し、管理会計は「未来を創る」ための仕組みであり、経営判断を支えるスキルとして注目されています。
企業が求めるのは、単に数値を扱うだけでなく、経営の意図を理解し、事業に貢献できる“経営のパートナー”としての視点を持つ人材です。

後編では、転職市場で評価される管理会計スキルのポイントや、職務経歴書・面接での効果的なアピール方法、さらに管理会計経験を活かしてキャリアを広げた成功事例を紹介します。

転職市場での評価ポイント

30代の経理担当者が管理会計の経験を持っていることは、転職市場において非常に大きな武器となります。
なぜなら、多くの企業が、単なる「経理のプロ」ではなく、経営の視点を持ち、会社の成長に貢献できる「経営企画候補」を求めているからです。
管理会計のスキルは、まさにそのポテンシャルを証明するものです。

特に、IPOを目指すベンチャー企業や、事業再編・多角化を進める大手企業では、管理会計に精通した人材へのニーズが非常に高まっています。
年収についても、従来の経理職に比べ、管理会計や経営企画といったより経営に近いポジションでは、高い水準が期待できます。

転職理由を「業務幅を広げたい」と漠然と伝えるだけでは不十分です。
なぜなら、「業務幅を広げたい」というそのような抽象的な転職理由では、企業に貢献できる具体的なビジョンが伝わらず、志望度が低いと判断されかねないるからです。

いかに会社に貢献したいか、長期的に働く意思があるかを具体的に示すことが成功の鍵となります。
管理会計を通じて培った「数字を経営に活かせる人材」という強みは、あなたのキャリアを一段上のステージへと引き上げる大きな差別化要因となるでしょう。

経理のための転職支援を受ける

職務経歴書・面接でのアピール方法

管理会計の経験を効果的にアピールするには、職務経歴書と面接で、自身の貢献度を具体的に、かつ経営視点で示すことが重要です。
単なる業務内容の羅列ではなく、どのような課題を解決し、どのような成果を出したかを明確に伝えましょう。

職務経歴書では、「売上予測と実績の差異を分析し、営業部門と連携して販促費の最適化を提案。これにより、営業利益率を前年比〇％改善に貢献」といったように、具体的な数字や成果を盛り込むことで、採用担当者はあなたの貢献度を明確にイメージできます。

面接では、さらにその背景にある「なぜその分析が必要だったのか」「その結果をどう経営に活かしたのか」といったストーリーを、経営層とのコミュニケーションを例に挙げて語ることが有効です。
例えば、「経営会議で、数字の分析結果からコスト削減の提案を行った結果、経営層から直接感謝された」といったエピソードは、あなたのコミュニケーション能力と経営貢献への意欲を強く印象づけます。

転職理由も「業務幅を広げたい」といった抽象的な表現ではなく、「これまでの経験を活かし、管理会計の専門性を深めて貴社の経営に貢献したい」と具体的に伝えることで、入社への熱意を示すことができます。

経理のキャリアを相談する

管理会計経験で広がるキャリア事例

管理会計の経験は、あなたのキャリアの選択肢を大きく広げ、思い描く理想の未来に近づくための強力なパスポートとなります。
特に、経理部門から経営企画部門へのキャリアシフトは、管理会計経験者が最も実現しやすいキャリアパスの一つです。

実際に、経営企画部門へのキャリアチェンジに成功した方は、経営層へのプレゼンや説明の機会に積極的に手を挙げ、数字に基づいたロジカルな提案を繰り返していました。
これにより、単なる経理担当者としてではなく、経営のパートナーとして信頼を勝ち得ることができました。
また、管理会計の経験を積むことで、予算策定を主導し、部門横断的なプロジェクトリーダーとして活躍する方もいます。

しかし、一方で、管理会計のスキルがありながらも転職に苦戦する方もいます。
その原因は、高度な分析スキルがあっても、その結果を経営層にわかりやすく説明し、合意形成を図る「コミュニケーション能力」に課題があるケースです。
いくら高度なスキルがあっても、それを活用する力がなければ、真価を発揮できていません。

管理会計のスキルは、実践を通じてコミュニケーション能力とセットで磨くことで、真の価値を発揮するのです。

経理のキャリアアップ支援を受ける