30代未経験でUSCPAを取得したら転職できる?転職先の候補や選び方 について



USCPA資格は、グローバル展開する企業で活用できる市場価値が高い資格です。一方で、日本の公認会計士よりも取得難易度が低いため、人気の資格です。
しかし、会計業界が未経験の30代が一から取得を目指す場合、どのような転職先が現実的な選択肢となるのかは気になるところでしょう。
本文では、会計業界未経験の30代がUSCPAを取得した後の転職先候補や、その選び方について詳しく触れていきます。
USCPAを取得することで評価されるポイントも含めて、今後のキャリア選択にお役立てください。
そもそもUSCPAとは?
USCPA(米国公認会計士)は、米国の各州が認定する会計士として、世界的に知名度の高い資格です。
国際ビジネス資格としての評価も高く、日本を含む多くの国々で試験が実施されています。
受験条件は、出願先の州によって異なりますが、「学位」と「単位」の2要件を満たす必要があります。
試験は、4択問題と総合問題のコンピュータ形式で、必須3科目+選択1科目の4科目構成です。
必須科目のFAR(財務会計と報告)・AUD(監査及び証明業務)・REG(税法及び商法)は、会計の基礎から監査や税法まで幅広い知識が求められます。
選択科目は、BAR(ビジネス分析及び報告)・ISC(情報システム及び統制)・TCP(税法遵守及び税務計画)の3科目から一つを選択します。
合格基準は各科目99点満点中75点以上で、合格率は科目別で40%〜70%台です。
科目ごとに受験していく「科目合格制」となっているため、一度にすべての科目を受ける必要はありません。
30代で仕事を抱えながらでも計画的に学習を進められることから、受験に臨みやすい資格と言えます。
ただし、試験はすべて英語で行われるため、十分な英語力がなければ出題と解答への対応が難しくなります。
最低でもTOEICスコア730点レベルの英語力が必要とされています。
USCPAを取得すると評価される?
USCPAを取得することで、転職市場で評価されるポイントはいくつかありますが、特に対象となるのが英語力と会計知識です。
30代でUSCPAを目指す際、これらのスキルはキャリアの武器となり、実務経験がない場合でも高く評価される可能性があります。
以下に、それぞれのポイントについて見ていきましょう。
英語力が評価される
USCPA試験はすべて英語対応であることから、試験勉強を行う過程で徐々に英語力が向上していきます。
試験では会計や税務の専門用語に加え、日常的な英語力も求められるため、リーディングや理解力の強化にもつながります。
例えば30代のこれまでのキャリアで英語を使う機会が少なかったとしても、資格取得を通じて実践的な英語力を身につけることが可能です。
実際に、USCPA受験を通じてTOEICスコアが大幅に上がった事例もあります。
USCPAの試験勉強は単なる資格取得に留まらず、英語力そのものの底上げを図るプロセスでもあるのです。
英語が求められるビジネス環境で優先的な評価ポイントとなる英語力は、転職市場において大きな強みとなるでしょう。
会計知識が評価される
USCPA試験は、財務会計や管理会計、監査、税務など、会計に関する幅広い知識をカバーしています。
特に財務会計と管理会計は、企業経営に欠かせない知識であり、事業会社や監査法人などの多様な業種で役立つスキルです。
30代で会計分野が未経験でも、会計の基礎から専門的な知識まで幅広く学べるため、会計業界への転職の道が開かれる可能性が高まります。
USCPAで得られる知識は、米国の会計基準に基づいていますが、日本の会計基準や国際会計基準(IFRS)との根本的な違いは少ないため、資格取得後も他の会計基準の理解が容易になります。
国内外を問わずさまざまな職場で活かせる会計知識は、実務経験がない場合でも評価されやすいでしょう。
30代USCPAは未経験でも評価される?
30代でUSCPAを取得した場合、評価される度合いは30代前半と後半で大きく異なります。
30代前半であれば、資格そのものが評価対象となりやすく、ポテンシャルを重視した採用枠に応募が可能です。
企業は若い人材に対しては、資格を活かした将来性や成長力を期待する傾向にあるため、職務経験が乏しくても転職のチャンスは広がるでしょう。
一方、30代後半になると状況が変わります。
企業側は、年齢が高くなるほど実務経験を重視し、単なる資格取得では十分な評価を得ることが難しくなります。
特に、USCPAを採用対象にするようなグローバル企業は、従業員数が多い傾向があります。新卒を含め20代から社員を育成しているため、社内の同世代と比較して見劣りしない人材であるかを中途採用に求めるケースが多いです。中途即戦力として活躍することへの期待が高まるため、資格だけではなく、実務経験の有無が重要な要素となるのです。
このような背景から、USCPA資格を取得が30代後半に差し掛かる場合は、転職活動において資格だけに頼らず、実務経験も並行して積んでおくことをおすすめします。
例えば、転職希望先と関連した業務経験があれば、それを強調することで評価されやすくなるでしょう。
会計分野での経験がない場合は、大手監査法人や企業にこだわらず、まずは実務経験を積むことを優先して中小企業や監査法人のアシスタント職などからでも実務経験を積むことに早く取り掛かってください。
資格そのものは強力な武器ですが、それを活かせる実践的な能力を持っていることが、転職市場での評価を高めるポイントとなります。
企業が求めるのは、資格以上にその資格をどう活かせるかという具体的な実績や経験です。
30代後半のUSCPA取得者は、資格をアピールするだけではなく、実務経験を重視した転職活動を行うことが成功のカギとなるでしょう。
30代の実務未経験でUSCPAを取得した際の転職先は?
30代で実務未経験ながらUSCPAを取得した場合でも、転職市場ではいくつかの選択肢が考えられます。
ここでは、候補となる主なキャリアとその選び方 に着目します。
監査法人
30代でUSCPAを取得し、監査法人への転職を目指すことは現実的な選択肢です。
実務未経験であっても、監査法人は資格保有者のポテンシャルを重視するケースが少なくありません。
特に大手の監査法人では、USCPAの知識が日本と米国の会計基準の違いに対応できるため、国際的な監査業務やアドバイザリー業務で重宝されます。
監査法人での経験は、将来的に他業界への転職やキャリアチェンジにも役立つため、まずは監査法人にチャレンジすることが有望なキャリアの第一歩と言えます。
事業会社
一般の事業会社への転職も、30代でUSCPAを取得した後の選択肢として有力です。
特に外資系企業では、USCPA資格を評価する文化があり、経理や財務、内部監査のポジションでニーズがあります。
米国に関連する業務や子会社の管理など、USCPAの知識が必要とされる場面が多く、日常的な英語力を活かすこともできるでしょう。
さらに、スタートアップやベンチャー企業においては、USCPAを持つことでCFOなどの重要な役職を目指すキャリアも考えられます。
税理士法人・会計事務所
税理士法人や会計事務所は、USCPA取得者にとって魅力的なキャリア候補です。
外資系クライアントを扱う事務所や、国際税務を中心とした業務では、USCPAの専門知識が高く評価されるでしょう。
ただし、事務所ごとに取り扱う案件が異なるため、国内案件中心の事務所ではUSCPAの強みが活かされにくい場合もあります。
国際的な業務を扱う部門がある事務所をしっかりとリサーチし、転職活動を進めることが重要です。
コンサルティングファーム
コンサルティングファームへの転職も、30代USCPA取得者には可能性のある選択肢と言えます。
特にクロスボーダー案件を扱うファームでは、USCPAの知識や語学力が重視されます。
コンサルタントとしての業務は、問題解決能力や分析力が求められるため、実務未経験でもこれらの能力に自信があれば大きなアピールポイントになります。
ただし、コンサル業務ではコミュニケーション能力やプレゼンテーションスキルも重視されるため、自己分析と相応の準備が必要です。
コンサルティングファーム(FAS)
FASと呼ばれる財務アドバイザリーに特化したコンサルティングファームは、USCPA取得者が活躍できるフィールドです。
例えば、国際的なM&Aや企業再編、デューデリジェンス業務では、USCPAの知識が欠かせません。
FASには監査法人系の大手ファームと、独立系のブティック型ファームがあり、どちらも専門性が求められます。特に大手であるほど、30代の場合は資格だけの評価ではなく、経営企画経験やM&Aのバイサイドでの経験などが求められるため、簡単な転職活動とはいきません。
自身の適性やキャリアプランに合ったファームを選択することが、転職成功につながるでしょう。
金融機関
30代でUSCPAを取得した後のキャリアには、金融機関も候補に含まれます。
外資系投資銀行や証券会社では、USCPAの専門知識と英語力を活かして国際間での取引案件に関わることが可能です。
金融機関での業務は高度な専門性が求められるため、USCPAを取得しているだけでなく、高度な語学力や学歴、これまでの経歴といった様々な要素から評価されます。
30代の実務未経験でUSCPAを取得したらどこに就職・転職すべき?
30代未経験でUSCPAを取得した後の就職・転職先は、どこを目指すのが現実的なのでしょうか。 主な選択肢の中から、おすすめのキャリアを絞り込んでみましょう。監査法人(アシュアランス部門)
USCPA取得者にとって、監査法人のアシュアランス部門はキャリアの登竜門のようなポジションです。
USCPAは、ここでグローバル企業の会計監査に従事し、財務情報の信頼性を高める役割を担います。
30代からのキャリアスタートでも、外資系クライアントや国際的な案件に携われる点は非常に魅力的です。
アシュアランス業務では、上場企業の監査やIPO準備中の企業に対するアドバイスを行うこともあります。
このような経験は、将来的により高度な会計・財務キャリアへのステップアップにつながるでしょう。
ただし、アシュアランス部門への転職は人気が高く、競争が激しいため、しっかりとした準備が必要です。
監査法人(アドバイザリー部門)
監査法人のアドバイザリー部門も、USCPA取得者におすすめのファーストキャリアです。
ここでは、海外に展開する企業に対して、M&Aや企業再編に関する会計・財務のアドバイスを行う業務が中心となります。
この業界が未経験でも、これまでのビジネス経験を活かしつつ、USCPAの専門的な知識を組み合わせて案件に臨むことは可能です。
特にクロスボーダーM&Aなどの国際的な案件では、米国会計基準の知識が役立ちます。
監査法人によっては、アドバイザリー業務に加えて、監査の仕事を兼務するケースも見られるため、多面的な経験を積むことも期待できます。
上場企業(経理部門)
実務未経験のUSCPA取得者には、上場企業の経理部門という選択肢も有力です。
多くの上場企業で必要とされるJ-SOXや外部監査といった複雑な業務を通じて、会計の実務経験が培われていきます。
経理部門では、企業の財務状態を管理し、内部監査やコーポレートガバナンスの強化に関与する機会もあります。
30代から汎用性のある経理職に就くことで、将来的に管理職やCFOへの道を目指すことも可能です。
ただし、業種によって求められるスキルや知識が異なるため、業界選びには慎重さが必要です。
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まとめ
30代で実務経験がなくとも、USCPA取得後のキャリアにはいくつかの現実的な選択肢が見通せます。
監査法人や上場企業の経理といった職場では、高い専門性を活かしつつ、着実にキャリアを積み上げていくことが可能です。
どの道を選ぶにしても、それぞれの職種が持つ特性や将来性をよく理解した上で、慎重に選択することが肝要です。
まずは自身のキャリア目標を明確にし、USCPA資格を目指した次なるステップを力強く踏み出していきましょう。
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この記事を監修したキャリアアドバイザー

大学卒業後、新卒でMS-Japanに入社。
法律事務所・会計事務所・監査法人・FAS系コンサルティングファーム等の士業領域において事務所側担当として採用支援に従事。その後、事務所側担当兼キャリアアドバイザーとして一気通貫で担当。
会計事務所・監査法人 ・ 法律・特許事務所 ・ コンサルティング ・ 金融 ・ 公認会計士 ・ 税理士 ・ 税理士科目合格 ・ 弁護士 を専門領域として、これまで数多くのご支援実績がございます。管理部門・士業に特化したMS-Japanだから分かる業界・転職情報を日々更新中です!本記事を通して転職をお考えの方は是非一度ご相談下さい!
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