税理士の転職先にはどんな選択肢がある？タイプ別のおすすめや転職成功のポイントを解説

年収や将来性に不安を感じ、「今の働き方・職場のままでいいのか」と転職を考える税理士は少なくありません。
税理士の転職は一般的な職種と比較して選択肢が多く、転職先によって重視すべきポイントやキャリアの方向性も大きく異なります。

本記事では、税理士の主な転職先とその特徴、さらに転職を成功させるためのポイントについて、わかりやすく解説します。

税理士が転職を考える理由

管理部門・士業特化転職エージェント「MS-Japan」に寄せられる税理士の転職理由としては、以下のようなものが挙げられます。

こうした不安や課題をきっかけに、多くの税理士が「より自分らしく働ける環境」を求めて転職を検討しています。

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税理士の主な転職先5選

転職を決意した税理士にとって、次に気になるのは「自分にはどんな選択肢があるのか」という点でしょう。
税理士の転職先は、求めるキャリアや働き方によって大きく5つの選択肢に分類できます。

各転職先の詳細は、この後の章で詳しく解説します。

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税理士の転職先：税理士事務所（会計事務所）・税理士法人

税理士の転職先として最も一般的なのが、税理士事務所（会計事務所）や税理士法人です。

税理士事務所（会計事務所）

「会計事務所」と「税理士事務所」は、多くの場合、所長税理士1名が運営する個人事務所を指し、業務内容に大きな違いはありません。
法律上の正式名称は「税理士事務所」ですが、通称として「会計事務所」と名乗るケースも多く見られます。

また、公認会計士が税理士登録を行い、「税理士事務所」の名称で開設することも可能です。

個人事務所への転職で重要なポイントは、「所長がどのような人材を求めているか」です。
経験者のみに限定して採用する所長もいれば、未経験者や経験が浅い人材を採用し、育成していきたいと考える所長も少なくありません。
所長の方針は、求人情報や事務所の公式サイトに加え、転職エージェントを活用して把握するのが有効です。

税理士事務所（会計事務所）への転職には、独立開業に必要なノウハウの習得や人脈の形成といったメリットがあります。
将来的に独立開業を目指す場合、個人事務所での勤務経験は重要です。

ただし、個人事務所の中には社会保険に未加入のケースもあるため、事前に確認が必要です。

税理士法人

税理士法人は、2名以上の税理士が所属し、法人格を持つ事務所形態です。
法人組織であるため支店展開が可能で、大手税理士法人の多くは、都心に加えて全国各地に拠点を構えています。

代表的な税理士法人としては「EY税理士法人」「PwC税理士法人」「KPMG税理士法人」「デロイトトーマツ税理士法人」のいわゆるBig4税理士法人が挙げられます。
「EY」「PwC」「KPMG」「デロイト」は世界的に展開している4大会計ファームで、それぞれに所属する日本の税理士法人がBig4税理士法人です。
また、国内の独立系大手税理士法人には、辻・本郷税理士法人、税理士法人山田&パートナーズがあります。

税理士法人に転職するメリットは、クライアントの規模や業務の幅広さが挙げられます。
個人事業主や中小企業に加え、中堅企業や大企業を顧客とするケースでは、国際税務やM&A関連業務など、複雑かつ高度な税務会計に携わることで、スキルアップが期待できます。

税理士の転職先：一般企業

税理士資格や実務経験を活かし、一般企業への転職を目指すことも有力な選択肢の一つです。
企業で働く税理士は「企業内税理士（インハウス税理士）」と呼ばれ、転職先は上場企業や中小企業、ベンチャー企業など多岐にわたります。
企業内税理士として働く場合、配属先は決算業務を担う経理部門と税務専門の部門の2つのケースがあります。
社内の「税務の専門家」として、他部門からの税務相談に対応することも企業内税理士の重要な業務です。

企業へ転職する最大のメリットは、個人事務所と比較して雇用や給与の安定性が高い点です。
また、企業によって異なりますが、充実した福利厚生や賞与、休暇の取得しやすさや残業時間の抑制など、働きやすい環境が期待できます。
将来的には、CFOや部課長職といった役職を目指すキャリアパスも視野に入れやすくなります。
特に上場企業への転職では、年収アップが期待できるケースが多く、中小・ベンチャー企業でも、上場準備中の企業であれば、上場後に大幅な年収増が見込まれます。

税理士の転職先：金融機関

税理士の転職先として、金融機関も有力な選択肢の一つです。
金融機関における税理士の主な活躍領域は、バックオフィス業務を担う「経理（主計）担当」と、クライアントに経営面の助言を行う「税務アドバイザリー担当」の2つに大別されます。

金融機関は年収水準が高く、特に個人事務所からの転職であれば、大幅な年収アップが期待できます。
税理士としての経験・知識を活用してやりがいの大きい仕事に携われる点もメリットです。
ただし、税理士資格そのものよりも、経理や税務の実務経験が評価される点は注意が必要です。

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税理士の転職先：コンサルティングファーム

税理士としての経験を活かす選択肢として、コンサルティングファームも転職先候補となります。
特に税務・会計系のコンサルティングファームは税理士のニーズが高い傾向にあります。
通常の税務業務に加え、会計コンサルティングや経営戦略に関する実務経験を積むことができます。

コンサルティングファームでは即戦力として高度な能力が求められます。
税理士であっても2～3年の個人事務所勤務の経験だけでは、転職の難易度は高い傾向があります。
M&Aや組織再編などに携わった経験があれば、積極的にアピールしましょう。

コンサルティングファームに転職するメリットは、経営者の視点で会計・財務・組織構造を見渡すことができ、やりがいが大きく、年収アップが期待できる点です。
転職先のコンサルティングファームで経験・実績を積み、そこからさらに大手のコンサルティングファームや投資銀行に再転職する等のキャリアアップも図れます。

税理士がコンサルティングファームに転職した場合、年収相場は600～1,000万円程度です。税理士の職場としては非常に高水準といえます。
大手のコンサルティングファームでは、1,000万円以上も狙えるでしょう。

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税理士は独立を目指す選択肢もある

税理士には、個人事務所や税理士法人に勤務する道だけではなく、独立開業する選択肢もあります。
独立開業するメリットは、高年収が見込めることです。
クライアントを増やして事務所を拡大できれば、年収アップに上限はありません。
これは、組織勤務では得がたい、大きなやりがいにつながるでしょう。

また、税理士としての知見・経験を活かし、書籍の出版やセミナー講師として活躍することも可能です。
専門家としての評価を得ることで知名度が高まり、税務のプロフェッショナルとしてメディアに取り上げられる機会も増えるでしょう。

さらに、独立開業した場合、定年退職がないため、健康なうちは仕事を続けられる点も魅力の一つです。

事務所を維持・成長させるには、地域や業界の関係者と積極的に交流する「営業活動」が欠かせません。そのため、税務知識に加えて高いコミュニケーション能力も求められます。
ただし、独立開業は向き不向きもあります。「人と積極的に関わりたくない」や「安定した働き方がしたい」といった志向を持つ場合、独立開業には向いていないかもしれません。

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税理士の転職先はどこがおすすめ？

税理士の転職先は、目指すキャリアや働き方によって最適な職場が異なります。
以下では、4つの仕事に対する価値観別におすすめの転職先をご紹介します。

専門性を高めたい税理士におすすめの転職先

税理士の働き方には大きく分けて、「スペシャリスト」と「ゼネラリスト」の2つに分類されます。
スペシャリストは、特定分野に関する業界知識と実績は深いものの、多分野への対応力には欠ける傾向にあります。
一方でゼネラリストは、特定分野を深掘りした知識はないものの、分野を問わず柔軟に対応できる点が強みです。

スペシャリストとして特定分野の専門性を極めたいときは、「希望する分野に特化した税理士事務所（会計事務所）」がおすすめです。
「ブティック型会計事務所」と呼ばれ、近年ニーズが高い資産税（相続、事業承継）に特化した事務所や、国際税務に強い事務所、M&Aアドバイザリーに特化した事務所などが挙げられます。
希望する分野に合わせて、税理士事務所（会計事務所）を選びましょう。

年収を上げたい税理士におすすめの転職先

年収を上げたい場合は、Big4税理士法人や大手税理士法人、コンサルティングファームなど、激務ではあるものの高収入が期待できる転職先がおすすめです。
Big4税理士法人でマネージャーに昇格すれば、年収1,000万円に到達することも可能です。
また、「ブティック型会計事務所」も、特定分野における高度なスキル・実績が求められるため、年収水準は高い傾向にあります。

ワークライフバランスを重視したい税理士におすすめの転職先

ワークライフバランスを重視したい場合は、企業内税理士（インハウス税理士）がおすすめです。
企業で正社員として勤務するため、一定規模以上の企業であれば、個人会計事務所と比較して福利厚生が整っている傾向にあります。

地域密着型の税理士事務所（会計事務所）や小規模な税理士法人なども、大手税理士法人と比較するとワークライフバランスを整えやすいと言えるでしょう。
ただし、確定申告や決算などの繁忙期には、人手不足なども相まって、忙しくなる場合もあります。

将来独立を考えている税理士におすすめの転職先

独立開業を視野に入れる場合は、事務所の運営方法を学べる個人事務所がおすすめです。
もちろん、Big4税理士法人や大手税理士法人などでも税理士としてのスキル・経験は身につけることができます。
しかし、個人事務所では事務所運営に関する実務を間近で学べるだけでなく、クライアント規模も類似しているため、独立後に役立つ知識が身につくでしょう。

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税理士の転職市場は？

税理士全体の転職市場は、求人数が求職者数を上回る「売り手市場」の状況が続いています。

厚生労働省が公表している「職業情報提供サイト（job tag）」によると、税理士の有効求人倍率は2.36倍（令和5年度）で、求職者1人に対して2.36件の求人がある状況です。
全産業の有効求人倍率は1.29倍（令和5年度平均）であるため、税理士業界は人手不足の状況と言えるでしょう。

ただし、あくまで全体としての数値のため、売り手市場だからといって油断は禁物です。
転職自体は容易であっても、必ずしも転職によって年収アップや待遇改善につながるとは限りません。
転職の目的を達成するためには、トレンドや市況のニーズに合ったスキルや実績を意識して身につけ、転職市場における市場価値を高めることが重要です。

近年の業界トレンドとして、DX化への取り組み経験やITシステムの導入経験、AI関連の知識・業務経験、IPO支援経験などが重視され、これらニーズに合致する実績・スキルセットのある税理士は好条件での転職が実現しやすい傾向にあります。
将来的に転職を検討している場合、ニーズの高い業務に積極的に取り組むことをおすすめします。

税理士の転職を成功させるポイント

税理士が転職活動を行う際、押さえておきたいポイントとして以下の3つが挙げられます。

経験業務の棚卸を行う

転職活動では、自分の実績や実力を採用担当者にアピールすることが重要です。
経歴を偽ることは当然許されませんが、本来の実績や実力を伝えられなければ、採用には結びつきません。
アピールポイントを適切に伝えるためには、これまでの業務経験を棚卸し、整理しておくことが重要です。

税理士としての職歴はもちろん、税理士資格を取得する前の職歴もすべて洗い出し、一覧化します。
各職歴で経験した業務と習得した知識・スキルを書き出し、自身の強みを見つけましょう。

キャリアの方向性を決める

「所属税理士」として雇用されるキャリアを目指す場合、激務でも昇進・昇格や年収アップが図れる転職先を選ぶのか、それともワークライフバランスを重視し、プライベートな時間を確保できる転職先を選ぶのかが検討のポイントです。
「社員税理士」への昇格は、所属事務所の規定や個人の実績、特に売上への貢献度が大きく影響します。
「開業税理士」を目指す場合は、開業のためのノウハウや、開業後に専門分野としたい業界・領域の知識を学べる転職先を選ぶ必要があります。

税理士の転職に特化したエージェントを利用する

求職者と求人企業のマッチングを支援する転職エージェントでは、求人の紹介だけでなく、応募書類の書き方や面接対策、内定後の条件交渉まで、転職活動のサポートを提供しています。
転職エージェントには、幅広い職種・業界の求人を取り扱う総合型と特定分野に精通した特化型がありますが、税理士のような専門性の高い職種の場合、税理士業界に特化した転職エージェントの利用がおすすめです。

税理士の転職に特化したエージェントであれば、税理士の求人を数多く取り扱っているだけでなく、業界知識を豊富に保有しているため、より実践的で具体的なアドバイスも得られます。

税理士の求人例

ここでは、管理部門・士業特化型転職エージェント「MS-Japan」で取り扱う税理士求人の一例をご紹介します。

税理士の転職成功事例

小規模の事務所から大手税理士法人に転職した事例

Aさん（30代女性）は、小規模な会計事務所で巡回監査業務を中心に担当していましたが、クライアント企業の売上規模が小さく、「もっと大きな企業の案件を経験してスキルアップを目指したい」と考え、転職活動をスタートしました。

20～30代の税理士有資格者は数が少ないため重宝されやすく、前職での幅広い実務経験も追い風となって大手税理士法人への内定を獲得し、年収も200万円アップしました。

Aさんの事例を詳しく読む

Big4税理士法人から一般企業に転職した事例

Rさん（30代女性）は税理士試験に合格後、Big4税理士法人で約6年経験を積みましたが、「得意の英語力を活かして国際税務の経験を積みたい」という想いが強くなり、転職を決意しました。

初めは自力で転職活動を進めていましたが、なかなか希望に合う求人が見つけられず、MS-Japanにご相談いただきました。
MS-Japan利用開始後は、わずか2週間で経理の女性管理職候補を採用したい企業とのマッチングに成功し、スムーズに内定獲得に至り、理想の転職が叶いました。

Rさんの事例を詳しく読む

税理士法人からFASに転職した事例

新卒で中堅の税理士法人に入社し、その後税理士資格を取得して税理顧問業務等に従事していたIさん（20代男性）は、「さらに高度な案件にチャレンジしたい」という想いから、Big4系FASへの転職を目指しました。

Big4系FASでは一般的な税務顧問業務よりも、M&Aや事業再生支援などのコンサルティング経験が重宝される傾向があるため、前職で公認会計士と一緒にコンサルティング業務に携わった経験をアピールできるよう応募書類や面接の準備を行いました。
緻密な業界研究が功を奏し、IさんはBig4系FASへの転職に成功しました。

Iさんの事例を詳しく読む

中堅税理士法人から個人事務所に転職した事例

Fさん（40代男性）は長年、中堅税理士法人で勤務していましたが、「残業や業務過多な働き方を整えて、家族との時間を確保したい」という想いから転職を決意しました。
前職で法人顧問だけでなく相続や資産税案件にも携わっていた経験を活かしながら、キャリアアップと柔軟な働き方の両立を目指して転職先を探しました。

結果的に4社から内定を獲得し、そのうち難易度の高い案件や相続・資産税での実績が多く積めそうな会計事務所を選択しました。
有給や半休など休みの取り方が柔軟で、実際に利用している従業員が多い点も大きな決め手になったそうです。

Fさんの事例を詳しく読む

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FAQ｜税理士の転職に関するよくある質問

税理士の転職では、転職先の種類に加え、年齢やタイミング、資格の活かし方なども気になるポイントです。
ここでは、税理士の転職に関するよくある疑問をQ&A形式で解説します。

Q.税理士は何歳まで転職できますか？

A. 税理士は30代〜50代まで幅広く転職が可能です。
特に40代は最も転職決定率が高く、「35歳限界説」は税理士には当てはまりません。 税理士の転職市場では、年齢以上に税務知識や実務経験の深さが重視されます。

▶詳しくはこちら：税理士の転職は何歳まで？「転職35歳限界説」は税理士も同じなのか？

Q.税理士は転職回数が多いと不利になりますか？

A. 一概に不利とは言えませんが、理由の説明が重要です。
人手不足の影響もあり、転職回数だけで不利になることは少なくなっています。
ただし、「またすぐ辞めてしまいそう」という印象を持たれないよう、転職理由や成果を丁寧に伝えることが大切です。

▶詳しくはこちら：税理士の転職回数が多いと転職で不利になるのか？

まとめ

税理士が転職する場合、転職先としては大きく分けて「税理士事務所（会計事務所）」「税理士法人」「一般企業」「金融機関」「コンサルティングファーム」「独立開業」などの選択肢があります。
転職先を選ぶ際には、将来のキャリアビジョンや、税理士として実現したい働き方を明確にすることが重要です。
そうすることで、自分にとって最適な転職先が見えてくるでしょう。

ご自身で最適な転職先を判断できない場合や、転職先の選び方に迷っている場合は、ぜひ税理士の転職に強いMS-Japanにご相談ください。
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