【会計士Xの裏帳簿】税理士事務所はなぜ「ブラック」と言われがちなのか

「ブラック企業」という言葉が一般化し、特定業種について「○○業はブラック」といった表現がよく聞かれるようになりました。そして会計業界も時折、他業種と同様「ブラック」という汚名を着せられることがあります。それにはどのような理由があるのでしょうか。
人の入れ替わりが激しく、募集も多い
最近「ブラック企業の見分け方」といった記事で、その特徴として「短期間で社員が辞めている」、そしてその帰結として「一年中人材募集をしている」という例が挙げられることがあります。
税理士事務所は、もともと人の入れ替わりが激しい業種です。勤務者の業務に汎用性が高いこと、専門職として独立を含めたキャリア形成の道があることから、ひとつの事務所に新卒から定年まで勤める形態がそれほど多くありません。
そして、一般企業と募集時期が異なるため、ほかの会社を基準にすると、年中募集をし続けているようにみえるのです。業務に一般企業とは異なる性質があることを考慮しておく必要があるでしょう。
繁忙期の残業は当たり前 問題は支払い
そして、ブラック企業の象徴ともなっているのが、長時間労働と残業代の問題です。
税理士事務所はご存じの通り繁忙期があり、決算申告期には残業が多くなることがほとんど。私が若い頃に勤務していた事務所は、今だから言えることですが、4月、5月ごろは毎日深夜まで仕事をしていました。
もちろん、法定労働時間、「36協定」など残業に関する体制の整備も大切ですが、私の考えでは、ひとえに「手当が支払われているか」が重要です。繁忙期の残業・休日手当が支払われない事務所は、やはり「ブラック」と言われても仕方ないでしょう。
私が勤めた事務所は幸いにも残業代はしっかりと支払われていましたので(ダラダラ残業には厳しかったのですが)、繁忙期は「稼ぎ時」と開き直って仕事に臨んでいました。残業代の扱いは、税理士事務所の「ブラックさ」を判断する最も大きな分かれ目となることは間違いありません。
税理士事務所「ブラック認定」の前にコミュニケーションを
勤務税理士、科目合格者の転職では、業界の実情を理解した上で、求人を行う事務所がどのような状況のもと人材を募集しているのかをできる限り把握したいところです。
まずは求人の目的について、人員補充なのか、ポテンシャル採用を含む育成枠なのか、新規事業、規模拡大による増員なのかといった情報をはっきりと提示している事務所を選ぶのがポイントです。勤務税理士は会計のプロとして、自分のキャリアのためにプラスとなるか否かという観点を忘れるべきではありません。
また、税理士の繁忙期は業界の常識ですから、業務量が多くなることを前提に、勤務体制について胸襟を開いて質問することをおすすめします。採用する側も、求職者と意思の疎通ができたと感じられるほうが、採用しやすいものです。聞きにくい質問は、エージェントを利用するなど、情報収集の方法を確保することが実りある転職に最も重要となるでしょう。


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