税理士の平均年齢は60歳以上!? 5つの理由とリアルな現状を解説

税理士有資格者は年齢層が高く、平均年齢は60歳以上とされています。
これから税理士を目指す若い世代の方の中には、「なぜ税理士業界で高齢化が進んでいるのか」「若手税理士の需要はあるのか」と不安を感じる方も少なくないでしょう。
そこで本記事では「税理士の平均年齢」に注目し、高齢化の背景や若手税理士の需要について詳しく解説します。
さらに、税理士になるまでの流れや、実際の転職成功事例もあわせてご紹介します。
税理士の平均年齢は60歳以上
税理士の平均年齢は60歳以上とされています。
具体的な年齢分布を見ると、その実態がより明確になります。
参照:税理士になろう|日本税理士連合会
このグラフを見ると、一般の企業や官公庁などでは定年となる年齢である「60歳代以上」が過半数を占めています。
それに対して、20代はわずか0.6%、30代も10.3%です。 税理士が高齢化しているのがわかります。
税理士試験の年齢割合
国税庁が公表している「令和6年度(第74回)税理士試験結果」をもとに、受験者の年齢別割合を確認してみましょう。
年齢層 | 税理士試験受験者数 | 5科目合格者数 |
---|---|---|
20歳以下 | 1,526人 | 1人 |
21~25歳 | 6,255人 | 47人 |
26~30歳 | 5,775人 | 94人 |
31~35歳 | 4,990人 | 103人 |
36~40歳 | 4,668人 | 104人 |
41歳以上 | 11,543人 | 229人 |
合計 | 34,757人 | 578人 |
出典: 令和6年度(第74回)税理士試験結果表(試験地別)|国税庁
税理士試験受験者で最も多い年齢層は「41歳以上」で、全体の33.2%を占めています。
対して若年層では、「20歳以下」が4.4%、「21~25歳」が18.0%にとどまります。
さらに、5科目合格者の分布も同様で、最多は「41歳以上」です。
一方、30歳以下で5科目合格に到達している人は、全体の約4人に1人にとどまります。
税理士の平均年齢が高い理由は?
税理士の平均年齢が高い理由としては、主に次の5点が挙げられます。
- ・税務署OBの税理士が多い
- ・定年がない
- ・税理士の試験制度
- ・長期的に続けやすい業務
- ・後継者不足
それぞれがどのように高齢化につながっているのか、詳しく見ていきましょう。
税務署OBの税理士が多い
最も大きな理由の一つは、税務署OBが税理士になるケースが多いことです。
国税従事者は一定期間勤務すると税理士試験の一部または全部が免除され、たとえば23年または28年勤務すると、試験を受けずに税理士登録が可能になります。
22歳で入署した場合、税理士になれるのは少なくとも40代半ば以降となり、定年退職後に登録するケースも多いため、平均年齢が高くなる傾向があります。
定年がない
税理士には定年がなく、自ら引退を決めない限り業務を続けられます。
また、顧問契約により長期的な関係を築くことが多く、企業側も税理士を変更するリスクを避けるため、結果として高齢になっても現役を続ける人が多い傾向にあります。
税理士の試験制度
税理士試験は「科目合格」の制度があります。
ある科目に合格すれば、その「合格」は生涯にわたって有効です。
したがって、多くの人が5年~10年の期間をかけ、1科目ずつの合格を積み重ねながら税理士資格を目指します。
税理士試験の5科目合格に7年かかったとすれば、大学1年生である19歳から取り組んだ場合でも、26歳になっていることになります。
この科目合格の制度も、税理士試験の受験者・合格者が高齢化する理由であるといえるでしょう。
長期的に続けやすい業務
税理士は法人税や所得税といった各種税金における納税のアドバイスをはじめ、申告書の作成や経営・存続に関するコンサルティングなどを行う仕事であり、業務内容としても長期的に続けやすい印象です。
また、顧問契約によってクライアントとの結びつきが強くなりやすいため、高齢になっても税理士を続ける方が多い点も税理士の高齢化を加速させている要因となっています。
後継者不足
後継者問題を抱える税理士事務所が多いことも、税理士の平均年齢が高い理由のひとつです。
「現役を引退したい」と思っても、後継者が見つからなければ、自分ができる限り続けるか、事務所を畳むしかありません。
もちろん廃業することはなるべく避けたいと考える方が多く、高齢になっても退かずに現役で税理士の仕事を続けるケースが多々みられます。
若手税理士は需要がある!
平均年齢が高い税理士業界において、若手税理士の割合は非常に少ないです。
なかには「若手だと採用されにくいのでは?」と不安を感じる方もいるかもしれませんが、実は若手が少ないからこそ『ビジネスチャンス』とポジティブに捉えることもできます。
ここでは若手税理士の概要や強みを押さえておきましょう。
若手税理士とは
明確な定義はありませんが、一般的には20~40代の税理士を「若手税理士」と表現します。
若手税理士にはベテラン税理士とは異なる魅力があり、その違いを強みとして税理士業務に発揮することで他者との差別化を図ることが可能です。
若手税理士の強み
若手税理士には、主に下記のような強みがあります。
・AIツールの活用
・トレンドに対する情報収集力
具体的にどのような点でベテラン税理士との差別化を図れるのか、以下で詳しく見ていきましょう。
SNSの活用
若手税理士はTwitterやインスタグラムといったSNSの活用に慣れていることが多く、集客や知名度向上への取り組みを効率的に遂行できます。
AIツールの活用
AIツールなどの最新技術をスムーズに取り入れられることも、若手税理士ならではの強みです。単純な事務作業をAIに任せ、自身は専門性の高い業務に特化するなど、効率的な働き方を実践できます。
トレンドに対する情報収集力
税制は頻繁に改正されることから、常にアンテナを張って最新の情報をキャッチする必要があります。若い世代の方は情報収集力に長けているほか、柔軟性も高いため、常にトレンドを取り入れながら世の中のニーズにマッチした業務を提供できるでしょう。
税理士になるまでの流れは?
税理士になるためには、まずは税理士試験への合格が必要です。
税理士試験の会計学科目(簿記論・財務諸表論)は受験資格がなく、誰でも受験可能ですが、税法科目については下記で挙げる「学識」「資格」「職歴」「認定」のいずれか1つに当てはまることが求められます。
学識 |
・大学、短大又は高等専門学校を卒業した者で、社会科学に属する科目を1科目以上履修した者 ・大学3年次以上の学生で社会科学に属する科目を含め62単位以上を取得した者 ・専修学校の専門課程(①修業年限が2年以上かつ②課程の修了に必要な総授業時数が1,700時間以上に限る。)を修了した者等で、社会科学に属する科目を1科目以上履修した者 ・司法試験に合格した者 ・旧司法試験法の規定による司法試験の第二次試験又は旧司法試験の第二次試験に合格した者 ・公認会計士試験短答式試験合格者(平成18年度以降の合格者に限る。) ・公認会計士試験短答式試験全科目免除者 |
資格 |
・日商簿記検定1級合格者 ・全経簿記能力検定上級合格者 ・会計士補(もしくは会計士補となる資格を有する者) など |
職歴 |
・弁理士、司法書士、行政書士、社会保険労務士、不動産鑑定士などの業務 ・法人又は事業を営む個人の会計に関する事務 ・税理士、弁護士、公認会計士などの補助の事務 ・税務官公署における事務、またはその他の官公署における国税あるいは地方税に関する事務 ・行政機関における会計検査などに関する事務 ・銀行などにおける貸し付けなどに関する事務 |
認定 |
国税審議会により受験資格に関して個別認定を受けた者 |
出典: 受験資格について|国税庁
なお、税理士試験に合格するためには、必修科目である「簿記論」と「財務諸表論」、および選択必修科目および選択科目の全11科目から5科目の合格が必要です。ただし、1度の受験で5科目すべて合格する必要はなく、1度合格すると生涯有効となることから、受験者の多くは、毎年1~2科目を受験しながら数年かけて5科目合格を目指します。
税理士試験に合格したら、管轄の税理士会に登録申請を行い、日本税理士会連合会の名簿への登録が完了すると税理士業務を開始できます。
税理士としてのキャリアを目指すために転職された方々の事例
ここでは、税理士としてのキャリアを目指すために転職された方々の事例をご紹介します。
税理士試験合格を機に大手企業への転職に成功!30代・女性の事例
Kさん(35歳・女性)
転職前:中小企業 年収580万円
転職後:大手企業 年収560万円
税理士試験に合格されたことを機に、「より専門的な税務会計業務にチャレンジしたい」といった新たな目標に向けて転職活動を開始。当初は税務未経験でも希望年収へのこだわりが強く、そのギャップによって転職活動は難航します。
しかし、年収ではなく「実務経験を積める企業」へとターゲットを移して活動を行ったところ、いくつかの企業で選考へと進めるようになりました。そして、最終的には外資系企業から内定を獲得し、成果をしっかりと評価してくれる社風を気に入り、入社へと至りました。
働きながら税理士資格を取得!税務未経験でも大手企業へのキャリアチェンジに成功!
Yさん(39歳・男性)
転職前:中堅税理士法人 年収700万円
転職後:大手国内上場メーカー 年収700万円
税理士法人のバックオフィスで勤務しながら税理士試験取得に向けて猛勉強し、合格を機にキャリアチェンジを決断されたYさん。税務未経験ながらも大手メーカーで海外展開を積極的に実施している企業への転職を志し、入念な面接対策によって見事内定を勝ち取ります。
就業しながら税理士試験勉強に励んだことや、税務分野に向けた興味・関心の高さを効果的にアピールできたことが転職成功へとつながった印象です。
税理士試験合格を機に、独立開業への夢を叶える転職に成功した40代男性の事例
Bさん(46歳/男性)
転職前:個人事務所 年収450万円
転職後:小規模税理士法人 年収530万円
Bさんは小規模会計事務所で勤務しながら税理士資格の勉強を続け、合格をきっかけに独立開業への想いが強まります。しかし、リスクへの不安も大きかったことから「今すぐに独立すべきかどうか」とMS-Japanへ相談。まずは独立の夢を叶えるための準備を行えるような転職先を探すことを提案し、最終的には将来の共同経営者候補を募集しており、業績連動型の報酬体系をもつ共同事務所への転職を遂げられました。
資格取得後すぐの開業はリスクが大きいですが、その準備として独立を疑似体験できるような事務所を選んだことで、よりスマートに独立開業の夢を目指せるでしょう。
税理士の求人例
上場企業のコンサル及びPBに強みをもつ優良会計事務所にて会計士税理士有資格者の募集
仕事内容 |
・資産税、事業承継コンサルティング ・連結納税コンサルティング ・組織再編税務コンサルティング ・財務デューデリジェンス、企業価値算定業務 ・税務意見書作成業務 <PB業務> ・事業承継(相続)コンサルティング ・事業再編、M&A業務 ・資産流動化サービス(金融商品等含む) |
必要な経験・能力 |
・会計士、税理士、税理士科目合格者、会計士試験合格者 |
想定年収 |
340万円 ~ 1,200万円 |
東証プライム上場/売上1兆超の独立系商社より経理担当者の募集
仕事内容 |
ご経験やスキルに応じて、以下の業務をお任せ致します。 ・連結決算業務(制度会計)、決算に関わる分析業務 ・決算単身、会社法書類、金融商品取引法書類の作成業務 ・確定申告業務(法人税、消費税、地方税)、海外子会社の監査対応 ・その他各種プロジェクト案件への対応(新収益基準整備など) ・グループ、子会社の単体決算対応 |
必要な経験・能力 |
<必須> ・単体もしくは連結決算のご経験を含む経理経験(3年以上目安) <歓迎> ・会計士、税理士資格(USCPA等関連する資格を含む)お持ちの方 ・上場企業での経理経験 ・子会社の管理経験 ・文書読解やメールやり取り程度の英語力 |
想定年収 |
600万円 ~ 1,200万円 |
まとめ
税理士の平均年齢は60歳以上といわれており、その要因としては税務署OBの税理士が多いこと、定年がないこと、長く続けやすい業務であることなどが挙げられます。
とはいえ、「若年層=税理士への転職が難しい」といったわけではなく、むしろ若さゆえの強みによってベテラン税理士との差別化を図ることで転職成功やキャリアアップを目指しやすい職種です。
より効率よく転職活動を進めるには、転職エージェントの活用をおすすめします。
管理部門・士業に特化した転職エージェントの「MS-Japan」では、税理士の転職に詳しいキャリアアドバイザーが、あなたの転職活動をサポートします。
キャリア相談~転職先のご提案、書類・面接や条件の交渉など、現職が多忙な中でもスムーズに転職活動が行えるように支援するので、ぜひお気軽にご相談ください。
- #税理士
- #税理士年齢
- #高齢化


この記事を監修したキャリアアドバイザー

大学卒業後、不動産会社にて個人向けの営業を経験。その後MS-Japanへ入社。会計事務所・コンサルティングファーム・監査法人・法律事務所・社会保険労務士事務所等の法人側担当として採用支援に従事。現在はキャリアアドバイザーも兼務し一気通貫で担当しております。
会計事務所・監査法人 ・ 公認会計士 ・ 税理士 ・ 税理士科目合格 ・ USCPA を専門領域として、これまで数多くのご支援実績がございます。管理部門・士業に特化したMS-Japanだから分かる業界・転職情報を日々更新中です!本記事を通して転職をお考えの方は是非一度ご相談下さい!
あなたへのおすすめ求人
同じカテゴリの最新記事

会計事務所の転職理由【例文付】面接の注意点や失敗しない転職先選びのポイント

会計事務所に就職・転職するには?事務所選びや年収アップのポイントなど

会計事務所転職の失敗事例と対策。後悔しない転職をしよう!

税理士補助とは? 仕事内容や年収、求人情報、志望動機のポイントも解説

会計事務所が求める人材を事務所規模ごとに解説

【Big4コンサルへの転職】各社の特徴やキャリアパス、求人例など

【職種別】会計事務所に向いている人とは?向いていない人の特徴も併せて解説

会計事務所の仕事内容をわかりやすく解説!繁忙期や年収、転職で評価されるスキルなど

会計事務所の志望動機の書き方&例文!未経験でも評価に繋がるポイントは?
サイトメニュー

業界最大級の求人数・転職支援実績!管理部門・士業の転職に精通した専門アドバイザーがキャリア相談~入社までサポートいたします。
新着記事
求人を職種から探す
求人を地域から探す
セミナー・個別相談会

業界最大級の求人数・転職支援実績!管理部門・士業の転職に精通した専門アドバイザーがキャリア相談~入社までサポートいたします。