公認会計士が税務業界に転職するためには?

公認会計士としてキャリアを積み重ねていくにあたり、転職を考えた際、監査法人や会計事務所、会計系のコンサルティングファームや事業会社など、多くの選択肢がある中で、税理士法人へと転職する公認会計士も少なくありません。
この記事では、公認会計士が税理士法人へ転職する場合に知っておくと便利な情報をまとめていきます。税理士法人に転職した後のキャリアプランについても触れていきますので、今後のキャリア選択の参考にしてみてください。
1.公認会計士のキャリアパスとして「税務」が注目されている
公認会計士は会計のプロフェッショナルであり、税理士に無試験で登録できますが、税務の専門家ではありません。
更なるキャリアアップや独立を考えた際、税務の知識を習得することはとても大きなメリットとなるため、監査法人から税理士法人に転職するキャリアパスがとても注目されています。
監査法人で担当する監査業務と、税理士法人で担う税務は大きく異なります。しかし、複数のクライアントを抱え、適正な経理処理や経営が行われているかどうか月次訪問を行う税理士法人では、税務申告以外の経営改善に関わるアドバイスを行うコンサルタント業務を行うケースもあり、公認会計士としての監査知識を大きく役立てることができます。
また、税務の仕事は公認会計士として積み上げてきた知識との親和性が高いため、早期に税務のノウハウを習得しやすいという魅力もあり、公認会計士の採用に積極的な税理士法人の数も増えてきています。
税理士法人が公認会計士を採用する理由①
公認会計士が税理士法人へ転職する理由となるのが、税務の知識の習得です。公認会計士として将来独立した際、監査業務以外に対応できるよう業務の幅を広げておくことで、より優位な展開を実現しやすくなります。
税理士法人ではクライアントの決算・税務申告や相談業務などに従事する機会に恵まれており、既に習得している会計士の知識を活かしながら税務を習得するには絶好の環境に他ならず、自身のキャリアアップへと直結していきます。
また、クライアントサポート志向の高い公認会計士が税理士法人への転職を希望するケースがあります。
監査業務に従事する公認会計士は第三者として公平な監査を行わなくてはならず、会社の経営サポートに尽力したいと考えたとき、業務への姿勢は相反するものとなってしまいます。
このような自己実現を図りたいと考え、監査法人から税理士法人へと転職している公認会計士もいます。
税理士法人が公認会計士を採用する理由②
税理士法人では企業の決算や税務申告を請け負いますが、クライアント企業から会計や財務についての相談を受ける機会も少なくありません。
経営者にとって税理士法人の担当者は、経営資源であるお金の問題の相談をしやすい存在であり、専門的な知見により効果的なアドバイスを期待されているからです。
ちょっとしたことであればインターネットで検索すれば知ることができるため、受ける相談内容も複雑化しており、経営者の期待に沿うためには専門的な知識が求められます。
そのため、会計のプロフェッショナルである公認会計士を積極的に採用する税理士法人が増えているのです。
公認会計士が習得している知識は、税務をマスターするために親和性の高いものであり、短期間で活躍を期待できる人材へと成長しやすいのも、税理士法人が公認会計士を採用する理由のひとつです。
2.公認会計士が税理士法人に転職するためには
公認会計士が税理士法人に転職するには、事前にその税理士法人がどのような業務に注力しているのかチェックする必要があります。
「キャリアアップのために税務を幅広く習得したい」「クライアントに近い場所で実務経験を積んでいきたい」と考えている場合は、大手ではなく、広範な業務に従事する機会に恵まれやすい中小税理士法人を選んだほうがミスマッチを避けやすくなります。
「クライアントからの相談に対応するコンサルタント業務に携わりたい」と考える場合は、その税理士法人でコンサルタント業務を請け負っているかどうか、税務部門とコンサルタント部門が分かれていないかどうか、などをチェックします。
中小の税理士法人では税務からスタートし、コンサルタント業務も交えつつキャリアを積んでいくことが多い一方、部門が分かれている大手税理士法人でコンサルタント部門に配属されれば、最初からコンサルタント業務をメインに担えるようになります。
公認会計士の所属人数をチェックするのもミスマッチを避けやすくするためのコツです。公認会計士が多く在籍していれば、それだけ活躍の場が多いと判断できるためです。
監査法人から税理士法人へ転職する場合、業務内容がまったく異なるので、採用担当者の目には即戦力として映っていませんが、公認会計士として習得している知識をもとに短期間で戦力になり得ると見られています。
面接時には、自身のキャリアをもとに、どのような貢献ができるのか、どういったキャリアを希望しているのか、を明確に伝えるようにしましょう。
税理士法人が公認会計士を採用する大きな理由は、クライアントからの相談業務への対応を充実させたいという点なので、その期待に沿えるよう自己アピールを構成すれば、より転職に成功しやすくなります。
3.税理士法人で経験を積んだ公認会計士のその後のキャリアとは
税理士法人でキャリアを積むことで、公認会計士は税務やコンサルタント業務について、実務を通じながら習得できるため、更なるキャリアアップを図りやすくなります。
その後のキャリア候補としてまず挙げられるのが独立開業です。
公認会計士の業務とは大きく異なる税務についても習得すれば、独立開業してからの対応力の幅が広がるので、クライアントから寄せられる様々なニーズに応えることができます。
独立開業すれば、クライアントと直接やり取りする機会が多くなるため、大手よりも中小税理士法人での経験が活かしやすいとされています。
公認会計士であれば、試験を受けることなく税理士登録できますので、ダブルライセンスの看板を掲げることができるなど、開業後の展開がよりスムーズになります。
その他のキャリアアップとしては、FASや会計系コンサルファームへの転職が挙げられます。
FASは、M&Aや財務に関連した課題解決に特化したコンサルティングファームであり、M&A支援、企業再生支援などに従事します。今後、日本企業による海外企業の買収がより積極的になれば、M&A支援を行うFASが活躍するフィールドはより拡がっていきます。
会計系コンサルティングファームは、会計分野に特化したコンサルティングファームであり、財務や税務についてのコンサルタント業務が主となります。
いずれのコンサルティングファームにおいてもクライアントの経営陣を相手に、高度な専門的知識とコミュニケーション能力を活用しながら仕事していくため、とても大きなやりがいを得られるとともに、その能力に見合った魅力的な収入を得やすくなります。
独立開業やコンサルティングファームへの転職を選ばず、税理士法人で長く勤務する道もあります。この場合、社内独立制度のようなものがあり、税理士法人に所属しながら独立しているのと同じよう収入を得られる仕組みもあります。
4.まとめ
公認会計士が税理士法人で働くことで、スキルの幅を広げて将来のキャリアアップにつなげていくメリットがあります。税理士法人は公認会計士を採用することで、クライアントから寄せられる相談に幅広く対応しやすくなります。
どちらもメリットある関係性を構築しやすいため、税理士法人へと転職を希望する公認会計士は少なくありません。
しかし、税理士法人の規模や経営者の方針によっては税務だけに偏ってコンサルタント業務の実務経験を積めない、またはその逆といったケースに陥る場合もありますので、事前に応募しようと思っている税理士法人の情報をしっかりチェックし、自分が希望するキャリアを歩んでいけるかどうか精査する必要があります。


この記事を監修したキャリアアドバイザー

大学卒業後、大手出版系企業を経て現職へ入社。
主に大手・新興上場企業を対象とする法人営業職を4年、キャリアアドバイザーとして10年以上に及ぶ。
経理・財務 ・ 人事・総務 ・ 法務 ・ 経営企画・内部監査 ・ 会計事務所・監査法人 ・ コンサルティング ・ 役員・その他 ・ IPO ・ 公認会計士 ・ 税理士 ・ 弁護士 を専門領域として、これまで数多くのご支援実績がございます。管理部門・士業に特化したMS-Japanだから分かる業界・転職情報を日々更新中です!本記事を通して転職をお考えの方は是非一度ご相談下さい!
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公認会計士が外資系企業に転職するメリットは何ですか?
公認会計士が外資系企業に転職するメリットは、「自分のペースで仕事ができる」「日系企業に比べて年収が高い」の2つです。 外資系企業は良くも悪くも実力主義のため、成果を出すことができていればプライベートの時間も確保しながら仕事をすることができます。 また、日系企業に比べて年収が高い傾向がありますが、福利厚生は日系企業の方が充実しているため、年収と福利厚生のどちらを重視するかを検討する必要があります。
公認会計士は外資系企業でワークライフバランスを重視した働き方が出来ますか?
外資系企業は日系企業に比べて実力主義な傾向が強いため、自分で労働時間を管理することができます。 また、今では日系企業でもリモートワークを採用している企業が多いですが、外資系企業は日系企業よりもリモートワークが普及しているため、働き方という意味でも外資系企業ではワークライフバランスよく働くことが可能です。
公認会計士は外資系企業でどのような部門に配属されることが多いですか?
公認会計士が外資系企業に転職する場合、「アカウンティング部門」もしくは「ファイナンス部門」のいずれかが有力な選択肢となります。 アカウンティング部門は、日系企業でいう経理部に当たり、ファイナンス部門は日系企業でいうと予算管理部門と経営企画部門のちょうど間ぐらいの立ち位置になります。
公認会計士が外資系企業で働くにはどのようなスキルが求められますか?
公認会計士が外資系企業で働くには、本国の経営陣や従業員とビジネス的な会話ができるレベルの語学力が必要です。 また、本国の所在地にもよりますが、US-GAAP、IFRS/IASといった海外の会計基準と日本の会計基準の違いをしっかりと理解しておく必要があります。 日本の公認会計士だけでなく、USCPAなどを取得しておくと外資系企業への転職には有利になります。
公認会計士が外資系企業に就職・転職するハードルは高いですか?
公認会計士が外資系企業に就職・転職するハードルは決して低くはありませんが、IFRS(国際財務報告基準)に関する知識と経験がある方には転職のチャンスがあります。 また、一定の英語スキルも必要にはなりますが、入社時に極端に高い語学力が求められるわけではありません。 尚、管理職を目指す場合は本国や他国の拠点とやり取りをするためにも、英語力は必須となります。
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