2026年02月26日

監査法人から内部監査へ|安定と専門性を両立できるキャリアパスとは(後編)

この記事は後編です。前編の記事はこちらをご確認ください。

前編では、監査法人から事業会社の内部監査部門へ転職する公認会計士が増えている背景や、内部監査の具体的な業務内容・やりがいを解説しました。
さらに、監査法人出身者が内部監査で活躍できる理由や、転職市場における採用動向についても紹介し、内部監査が「安定と専門性を両立できるキャリア」であることを示しました。

後編では、監査法人で培った経験をどのように企業課題の解決力としてアピールすべきか、具体的な職務経歴書の書き方や面接での伝え方、さらに転職成功事例を交えて詳しく解説します。

アピール方法

内部監査への転職を成功させるためには、監査法人での経験を「会社の経営課題を解決する力」として再定義し、具体的にアピールする必要があります。

職務経歴書では、単に「監査に関与した」ではなく、「影響を与えた成果」を具体的な数値で示すことが鉄則です。
自身の具体的な実績に基づき、「不正リスク評価を再設計し、監査工数を25%削減した」「年次棚卸立会の時間を30時間短縮した」など、工数削減や効率化への貢献を明示しましょう。

面接では、「リスク思考で課題を抽出→改善策を提案」というストーリーを、面接官(多くは役員・経営層)の視点に合わせて語る必要があります。

具体的には、過去の指摘事項を例に挙げ、「もし自分がインハウスであれば、このリスクを放置した場合の年間損失額を〇〇円と見積もり、改善策の投資対効果を提示する」といった、リスクを最終的にコストインパクトや売上増に繋げる提言の切り口が求められます。

技術的な正しさだけでなく、経営層の関心に合わせた「伝え方の工夫」こそが、採用を勝ち取る鍵となります。

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成功事例

監査法人出身者にとって内部監査への転職は、ワークライフバランスの改善に留まらず、キャリアを戦略的に加速させる事例も豊富に存在します。

特に注目すべきは、30代のBIG4監査法人出身会計士が、IPO準備中のSaaS企業に内部監査責任者として入社した事例です。
この方は、監査業務に加えてJ-SOX整備やガバナンス体制の構築を一手に担い、短期間で企業の成長に不可欠な存在となりました。
結果、入社から2年後には経営会議の常連メンバーとなり、現在はCFO候補として経営層に抜擢されています。

この事例が示すメリットは、大手企業では数年かかる「全社的なガバナンスの設計とマネジメント経験」を早期に積める点にあります。
また、一人の責任者として「社内を巻き込む力」が徹底的に鍛えられ、その後のキャリアに直結する圧倒的な成長機会を得ました。

安定した大手企業を選ぶか、成長企業で早期の経営関与を選ぶか、内部監査は専門性をもって多様なキャリアを切り開けることを証明しています。

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まとめ|安定と専門性を両立する“終着点”としての内部監査

公認会計士の皆様にとって、内部監査は、部監査の激務や環境に左右される働き方から脱却し、専門性と安定性を両立させるキャリアの「終着点」として、最も戦略的な選択肢の一つです。

このポジションは、監査法人で築いた高度な知識を、企業の経営課題解決という当事者の立場で活かす場を提供します。
経営層との距離が近く、自らの提言が具体的な業務改革に結びつく達成感は、他のキャリアでは得難いものです。

一方で、転職市場では「守りの部門」という誤解から競争率が極端に高騰しておらず、今が最も質の高いポジションを獲得しやすい時期と言えます。

監査法人で得た論理性に加え、社内を動かす「非会計的スキル」を磨くことで、内部監査は、単なる安定職ではなく、将来的な経営幹部や監査役を目指せる「長く働けるキャリア」として、その人気を確固たるものにしています。

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この記事を監修したキャリアアドバイザー

小島 亜里紗

大学卒業後、ウェディングプランナー、業界大手で求人広告の企画提案営業を経て、MS-Japanへ入社。
企業担当のリクルーティングアドバイザーを経験した後、現在は転職を考えられている方のキャリアアドバイザーとして、若手ポテンシャル層~シニアベテラン層まで多くの方の転職活動のサポートをしています。
人材業界での経験も長くなり、いつまでも誰かの記憶に残る仕事をしていたいと思っています。

経理・財務 ・ 人事・総務 ・ 法務 ・ 経営企画・内部監査 ・ 会計事務所・監査法人 ・ 役員・その他 ・ 公認会計士 ・ 税理士 ・ 弁護士 を専門領域として、これまで数多くのご支援実績がございます。管理部門・士業に特化したMS-Japanだから分かる業界・転職情報を日々更新中です!本記事を通して転職をお考えの方は是非一度ご相談下さい!

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会計士の転職・キャリアに関するFAQ

監査法人から事業会社への転職を考えています。MS-Japanには、自分のような転職者はどのくらい登録されていますか。

具体的な人数をお知らせする事は出来ませんが、より直接的に企業に関わりたい、会計の実務経験を積みたいと考えて転職を考える公認会計士の方が大多数です。 その過程で、より多くの企業に関わりたいという方は、アドバイザリーや会計事務所への転職を希望されます。当事者として企業に関わりたい方は事業会社を選択されます。 その意味では、転職を希望する公認会計士の方にとって、監査法人から事業会社への転職というのは、一度は検討する選択肢になるのではないでしょうか。

転職活動の軸が定まらない上、求人数が多く、幅が広いため、絞りきれません。どのような考えを持って転職活動をするべきでしょうか。

キャリアを考えるときには、経験だけではなく、中長期的にどのような人生を歩みたいかを想定する必要があります。 仕事で自己実現を図る方もいれば、仕事以外にも家族やコミュニティへの貢献、パラレルキャリアで自己実現を図る方もいます。ですので、ご自身にとって、何のために仕事をするのかを一度考えてみることをお勧めします。 もし、それが分からないようであれば、転職エージェントのキャリアアドバイザーに貴方の過去・現在・未来の話をじっくり聞いてもらい、頭の中を整理されることをお勧めします。くれぐれも、転職する事だけが目的にならないように気を付けてください。 今後の方針に悩まれた際は、転職エージェントに相談してみることも一つの手かと思います。

ワークライフバランスが取れる転職先は、どのようなものがありますか?

一般事業会社の経理職は、比較的ワークライフバランスを取りやすい為、転職する方が多いです。ただ、昨今では会計事務所、税理士法人、中小監査法人なども働きやすい環境を整備している法人が出てきていますので、選択肢は多様化しています。 また、一般事業会社の経理でも、経理部の人員が足りていなければ恒常的に残業が発生する可能性もございます。一方で、会計事務所、税理士法人、中小監査法人の中には、時短勤務など柔軟に対応している法人も出てきています。ご自身が目指したいキャリアプランに合わせて選択が可能かと思います。

監査法人に勤務している公認会計士です。これまで事業会社の経験は無いのですが、事業会社のCFOや管理部長といった経営管理の責任者にキャリアチェンジして、早く市場価値を高めたいと考えています。 具体的なキャリアパスと、転職した場合の年収水準を教えてください。

事業会社未経験の公認会計士の方が、CFOや管理部長のポジションに早く着くキャリアパスの王道は主に2つです。 一つは、IPO準備のプロジェクトリーダーとして入社し、IPO準備を通じて経営層の信頼を勝ち取り、経理部長、管理部長、CFOと短期間でステップアップする。 もう一つは、投資銀行などでファイナンスのスキルを身に着けて、その後、スタートアップ、IPO準備企業、上場後数年程度のベンチャーにファイナンススキルを活かしてキャリアチェンジすることをお勧めします。近年はCFOに対する期待が、IPO達成ではなく、上場後を見据えた財務戦略・事業戦略となってきているため、後者のパターンでCFOになっていく方が増えています。 年収レンジとしてはざっくりですが800~1500万円くらいでオファーが出るケースが一般的で、フェーズに応じてストックオプション付与もあります。

40歳の会計士です。監査法人以外のキャリアを積みたいのですが、企業や会計事務所でどれくらいのニーズがあるでしょうか。

企業であれば、会計監査のご経験をダイレクトに活かしやすい内部監査の求人でニーズが高いです。経理の募集もございますが、経理実務の経験が無いことがネックになるケースがあります。 会計事務所ですと、アドバイザリー経験の有無によって、ニーズが大きく異なります。また、現職で何らかの責任ある立場についており、転職後の顧客開拓に具体的に活かせるネットワークがある場合は、ニーズがあります。

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