2024年06月18日

公認会計士がスタートアップ企業で活躍する方法

現在、監査法人で勤務継続する中で、いつかは「スタートアップ企業で挑戦してみたい」と考える公認会計士もいることでしょう。
スタートアップ企業では、公認会計士としての高度な専門知識と応用力を生かしつつ、事業の成長に不可欠な重要な経営判断に必要な数字をまとめることや、緻密で高度な分析力が期待されます。
この記事では、スタートアップ企業において公認会計士として働く魅力具体的にどのように転職すればいいのかを見ていきましょう。

スタートアップで働く公認会計士が増えている

(参考)日本公認会計士協会HPより

日本公認会計士協会によると、監査法人・税理士法人以外で働く公認会計士が加入する「組織内会計士ネットワーク」の登録者数は近年増えてきています。
転職先は上場企業だけではなく、責任あるポジションと高い対価報酬で迎えられるという理由から、IPOを目指すスタートアップ企業で働く公認会計士も増えつつあります。

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公認会計士がスタートアップで働く魅力

実際、スタートアップで働くうえで、主に「やりがい」を求める公認会計士にとっては大きな魅力があるといえます。

監査法人に勤めていれば、パートナーやマネージャーから案件が振り分けられますが、スタートアップではそういうわけにはいきません。
会計のプロとして、事業の成長を支える経営管理部門における課題・問題を発見し、具体的な解決策を提示・実行していかなくてはなりません。強力な当事者意識経営視点をもって困難に向き合い、経営者と二人三脚で乗り越えていくことが求められます。

また監査法人では、クライアント先の事業状況に対する外部の専門家として監査人や経営支援をすることとなります。
しかし、スタートアップに勤める場合、公認会計士も高度な専門家としてだけではなく、ビジネスの最前線で事業の成長を支えていく会社組織の一員となります。
結果、公認会計士としての専門業務だけでなく、経営に関与する仕事も数多く行うため、業務範囲が広がるのは勿論のこと、ビジネスに対する視点・視座を高めることにもつながります。

スタートアップでは、新規IPOやバイアウトなど、監査法人や上場企業では得難い経験を獲得することができます。
加えて経営陣の一角として、スタートアップを成長させる仕事ができることは、ビジネスパーソンとしてこの上ない魅力だといえるでしょう。

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スタートアップにおいて価値を発揮できる公認会計士とは

スタートアップにおいて価値を発揮できる公認会計士は、業務内容を自らの得意領域に限定せず、必要に応じてどんなことにでも泥臭く挑戦していけるタイプだといえます。
一般的に公認会計士は、会計の専門知識を活用し、物事を客観的に判断できることが強みになります。当然、スタートアップにおいても客観的な判断を求められ、経営や事業の重要なブレーキ役を果たす場面は多くあることでしょう。

しかし、スタートアップにおいて公認会計士に求められるのは、ブレーキ役ばかりではありません。
自身が積極的に先頭に立ち、事業を成長させていくためのプロジェクト責任者としての役割を担う機会も少なくありません。

スタートアップで公認会計士は、主に財務経理部門の責任者として採用になるケースが多いでしょう。しかし、財務経理部門だけでなく、法務や人事などを含めた管理部門全体を見なければならない場面も十分にあります。

スタートアップにおいて公認会計士が求められる具体的な業務内容は、以下のようなものとなります。

IPO準備

スタートアップにおいて公認会計士に期待する役割としてIPO準備を具体的に進めていくことが求められます。
IPO準備の業務内容は以下のようなものとなるでしょう。

・IPOまでのスケジュールや上場する市場の検討
・主幹事証券会社・監査法人の決定
・社内の組織体制や規定などの整備
・会計処理方法の見直しと再構築
・IPO申請書類の作成
・IPO審査の対応

以上のような業務を滞りなく進め、スタートアップの上場を実現させるための多くのハードルを乗り越えていくための計画、実行力が求められます。
そのために、スタートアップに転職する公認会計士は、監査法人であれば主にIPO業務に携わるトータルサービス部門出身の方やIPO・FAS系コンサルティングファーム出身の方が見受けられます。

資金調達

スタートアップは資金繰りがタイトなケースも多くあります。 そのため、公認会計士がスタートアップへ転職した場合には、資金調達は重要な業務の一つとなります。
具体的には、以下のような業務があります。

・資金の調達構成を検討し、調達スキームを設計する
・ベンチャーキャピタルなどの投資家や銀行などを紹介し、場合によっては交渉を自身が行う
・必要に応じてブリッジファイナンスなども検討する

資金調達の方法は、座学では身に付けることが困難です。
実際にベンチャーキャピタルなどとやり取りしながら、実践の中で身に付けていくことが必要になるでしょう。

管理部門の業務全般

前述のとおりスタートアップでは、たとえ財務経理部門に配属されても、管理部門の業務全般へ関わるケースが少なくありません。
たとえば、法務などでも、顧問弁護士との窓口を公認会計士が果たすケースです。
また、IPOの際には残業などの問題をクリアする必要があるため、労務部門の業務にも関わる必要が出てくることがあります。
さらには、スタートアップには経理の専任者がいないケースも多いです。
領収書などを集めて記帳する、などというところから、公認会計士がやらなければならないケースも多くあります。

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スタートアップで働く公認会計士のキャリア

スタートアップで働く公認会計士のキャリアとして、以下のようなものがあります。

その会社のCFOや管理部長

スタートアップで働く公認会計士のキャリアとしてまず考えられるのは、その会社のCFOや管理部長になることです。
IPO実現達成を果たしたあとも、その会社の役員としてキャリアを継続していく人も多くいます。

他のスタートアップへの転職

あるスタートアップのIPOを達成した後、別のスタートアップへもう一度挑戦するという選択肢もあります。
IPOを目指すスタートアップの多くが、公認会計士をCFOや管理部長として迎えたいニーズが高いです。
監査法人と事業会社の両方を経験した公認会計士は高い需要が見込めるため、その後のキャリアは大きく広がることでしょう。

独立開業

独立し、公認会計士事務所を開業することも視野に入ってくるでしょう。
スタートアップのIPO経験は専門性が高く貴重なため、スタートアップのIPO支援を専門に行う事務所を開業することもできるでしょう。

監査法人へ戻る

仮にスタートアップへの転職が失敗に終わった場合でも、公認会計士の資格があれば監査法人へ戻ることは容易です。
その場合には、スタートアップでの経験は大きく評価されるでしょう。
スタートアップで働く公認会計士のキャリアについての事例は「公認会計士のスタートアップ転職事例」の項目でご紹介いたします。

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スタートアップに転職するためには?

スタートアップへの転職は、要求レベルが高いポジション・役割において可能な限り即戦力として求められることになるため、通常の求人サイトでは見つけることが困難です。
事業戦略上、コンフィデンシャルで採用を行いたい企業側の狙いもあり非公開求人が一般的です。
そのため転職先は、以下のような方法で見つける必要があるでしょう。

知り合いに紹介してもらう

まず確実なのは、知り合いに紹介してもらうことです。
その場合には、監査法人時代に築いた人脈が物を言うことになるでしょう。

転職エージェントを利用して、紹介してもらう

転職エージェントを利用して紹介してもらうことも考えられます。
士業に強い転職エージェントなら、公認会計士を求めているスタートアップの案件を多く抱えていることもあります。

スカウトを受け入れる求人サイトに登録する

求人サイトの中には、求人企業からのスカウトを受け入れるところもあります。
そのような求人サイトに登録し、スカウトの声がかかるのを待つのも方法の一つとなるでしょう。

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公認会計士のスタートアップ転職事例

公認会計士のスタートアップ転職事例を見てみましょう。

20代男性Sさんのケース

監査法人でIPO準備中の企業の監査業務を経験してきたSさんは、もっと直接的に企業に貢献したいと思い、スタートアップで管理部門の組織作りを担う経営幹部として転職することを決意しました。
転職エージェントの協力も得て、IPO準備中のスタートアップ数社から内定を獲得し、そのうち1社に無事転職を決めました。

30代男性Kさんのケース

Big4監査法人に勤務していたKさんは、外部ではなく組織内の一員として会計、更には経営に携わりたいと考えるようになり、より経営者と距離が近いスタートアップ企業の面接を受けていました。
ただし、経理実務が未経験であったため、IPO準備が最終段階に入っているスタートアップへの転職を決めました。

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スタートアップ企業で公認会計士が求められること

公認会計士は、物事を客観的に判断できることが強みです。
それにより、スタートアップ企業のブレーキ役として重要な役割を果たすことができるでしょう。
しかし、スタートアップで公認会計士に対して求められるのは、ブレーキ役ばかりではありません。自分自身が積極的に事業を作り出していかなければなりません。
部下に業務を指導する役割だけでなく、公認会計士としての俯瞰力や数字を見る力を活かしながら、自分自身が最前線に立って事業を進めていかなければなりません。

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まとめ

事業に直接携わりたいと思う公認会計士にとって、スタートアップへの転職は大きな魅力があるものです。
スタートアップへ転職すれば、監査法人では得られなかったさまざまな経験をすることができるでしょう。ぜひ一歩を踏み出し、転職にチャレンジしていきましょう。

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この記事を監修したキャリアアドバイザー

窪塚 勝則

大学卒業後、大手出版系企業を経て現職へ入社。
主に大手・新興上場企業を対象とする法人営業職を4年、キャリアアドバイザーとして10年以上に及ぶ。

経理・財務 ・ 人事・総務 ・ 法務 ・ 経営企画・内部監査 ・ 会計事務所・監査法人 ・ コンサルティング ・ 役員・その他 ・ IPO ・ 公認会計士 ・ 税理士 ・ 弁護士 を専門領域として、これまで数多くのご支援実績がございます。管理部門・士業に特化したMS-Japanだから分かる業界・転職情報を日々更新中です!本記事を通して転職をお考えの方は是非一度ご相談下さい!

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会計士の転職・キャリアに関するFAQ

監査法人から事業会社への転職を考えています。MS-Japanには、自分のような転職者はどのくらい登録されていますか。

具体的な人数をお知らせする事は出来ませんが、より直接的に企業に関わりたい、会計の実務経験を積みたいと考えて転職を考える公認会計士の方が大多数です。 その過程で、より多くの企業に関わりたいという方は、アドバイザリーや会計事務所への転職を希望されます。当事者として企業に関わりたい方は事業会社を選択されます。 その意味では、転職を希望する公認会計士の方にとって、監査法人から事業会社への転職というのは、一度は検討する選択肢になるのではないでしょうか。

転職活動の軸が定まらない上、求人数が多く、幅が広いため、絞りきれません。どのような考えを持って転職活動をするべきでしょうか。

キャリアを考えるときには、経験だけではなく、中長期的にどのような人生を歩みたいかを想定する必要があります。 仕事で自己実現を図る方もいれば、仕事以外にも家族やコミュニティへの貢献、パラレルキャリアで自己実現を図る方もいます。ですので、ご自身にとって、何のために仕事をするのかを一度考えてみることをお勧めします。 もし、それが分からないようであれば、転職エージェントのキャリアアドバイザーに貴方の過去・現在・未来の話をじっくり聞いてもらい、頭の中を整理されることをお勧めします。くれぐれも、転職する事だけが目的にならないように気を付けてください。 今後の方針に悩まれた際は、転職エージェントに相談してみることも一つの手かと思います。

ワークライフバランスが取れる転職先は、どのようなものがありますか?

一般事業会社の経理職は、比較的ワークライフバランスを取りやすい為、転職する方が多いです。ただ、昨今では会計事務所、税理士法人、中小監査法人なども働きやすい環境を整備している法人が出てきていますので、選択肢は多様化しています。 また、一般事業会社の経理でも、経理部の人員が足りていなければ恒常的に残業が発生する可能性もございます。一方で、会計事務所、税理士法人、中小監査法人の中には、時短勤務など柔軟に対応している法人も出てきています。ご自身が目指したいキャリアプランに合わせて選択が可能かと思います。

監査法人に勤務している公認会計士です。これまで事業会社の経験は無いのですが、事業会社のCFOや管理部長といった経営管理の責任者にキャリアチェンジして、早く市場価値を高めたいと考えています。 具体的なキャリアパスと、転職した場合の年収水準を教えてください。

事業会社未経験の公認会計士の方が、CFOや管理部長のポジションに早く着くキャリアパスの王道は主に2つです。 一つは、IPO準備のプロジェクトリーダーとして入社し、IPO準備を通じて経営層の信頼を勝ち取り、経理部長、管理部長、CFOと短期間でステップアップする。 もう一つは、投資銀行などでファイナンスのスキルを身に着けて、その後、スタートアップ、IPO準備企業、上場後数年程度のベンチャーにファイナンススキルを活かしてキャリアチェンジすることをお勧めします。近年はCFOに対する期待が、IPO達成ではなく、上場後を見据えた財務戦略・事業戦略となってきているため、後者のパターンでCFOになっていく方が増えています。 年収レンジとしてはざっくりですが800~1500万円くらいでオファーが出るケースが一般的で、フェーズに応じてストックオプション付与もあります。

40歳の会計士です。監査法人以外のキャリアを積みたいのですが、企業や会計事務所でどれくらいのニーズがあるでしょうか。

企業であれば、会計監査のご経験をダイレクトに活かしやすい内部監査の求人でニーズが高いです。経理の募集もございますが、経理実務の経験が無いことがネックになるケースがあります。 会計事務所ですと、アドバイザリー経験の有無によって、ニーズが大きく異なります。また、現職で何らかの責任ある立場についており、転職後の顧客開拓に具体的に活かせるネットワークがある場合は、ニーズがあります。

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