2024年03月21日

中小監査法人がおすすめってホント?中小監査法人に転職するメリットを解説!

大手監査法人で会計士として経験を積んできた人が、転職先として選ぶ職場の一つに「中小監査法人」があります。
一般的に“中小”と聞くと、大手に比べて年収や待遇・働き方の面で劣っているようなイメージを持つかもしれませんが、監査法人に関しては決してそのようなことはありません。

中小監査法人の特徴を正しく理解した上で転職できれば、大手監査法人で働く以上の成果・やりがいを得られる可能性は十分あります。
この記事では、中小監査法人の特徴やメリットについて解説します。

中小監査法人の特徴

まずは、中小監査法人の特徴について、大手監査法人と比較しながら解説します。

法人規模

中小監査法人の法人規模は、概ね1,000人が上限となるイメージです。
これに対して大手監査法人は、3,000~6,000人を束ねる大組織となります。

クライアント規模

中小監査法人は、クライアントの規模に幅があり、大小を問わず依頼を受けるところが多く見受けられます。
しかし、大手監査法人は最低でも中規模以上のクライアントから依頼するケースが想定されます。

残業時間

大手監査法人は、本来の業務とは直接関係ない部分で残業が増えてしまうことも珍しくありません。
しかし、中小監査法人の場合、法人によってはまったく残業が発生しないこともあります。

年齢層

大手監査法人の場合、公認会計士試験合格者の受け皿となっていることもあり、幅広い年齢層の職員が働いています。
これに対して中小監査法人は、大手監査法人を経験した上で転職する人が多いため、その分年齢層も高くなっています

監査品質の違い

大手監査法人では、高度な会計処理など最先端の監査実務に触れることができ、その分監査品質も高くなります。
しかし、中小監査法人の場合、人員に限りがあるなどの理由から、大手監査法人に比べると監査品質は落ちる傾向にあります。

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中小監査法人に転職するメリット

中小監査法人に転職すると、大手で働く場合などに比べて、どのような利点があるのでしょうか。
以下、中小監査法人に転職した場合のメリットについて解説します。

無駄な作業が少ない

大手監査法人では、海外大手ファーム等の要請による膨大な資料の照合作業(バウチング)や、大量の文書化作業に時間を割かなければならないことがあり、会計スキル獲得の観点からすると無駄な作業が多い傾向が見られます。
しかし、中小監査法人はそのような要請がなく、自分自身で頭を使いながら必要な作業に集中できるため、仕事を続けることでレベルアップが期待できます。

ワークライフバランスが良い

激務のイメージが強い大手監査法人に比べると、中小監査法人のワークライフバランスは良好と考えてよいでしょう。
先述した通り無駄な作業が少ないだけでなく、組織としてワークライフバランスを重視している法人もあることから、メリハリをつけて働きたいと考えている人にとって、中小監査法人で働くメリットは大きいはずです。

マネージャー・パートナーに昇格しやすい

大手監査法人は、マネージャー・パートナーの席を目指そうとした場合、椅子が決まっているためチャンスも限られます。
しかし、中小監査法人では椅子に空きがあるケースも珍しくなく、必要に応じて椅子を用意してくれる法人もあることから、総じて昇格難易度は大手監査法人よりも低くなります。

年収は意外と高い

大手監査法人では基本的に新人採用を毎年実施しており、若手スタッフに関して言えば中小監査法人よりも年収が高い傾向にあります。
しかし、中小監査法人は昇格のスピードが大手監査法人よりも速く、職員を増やすために人件費を上げているなどの事情もあって、結果的に大手監査法人時代の年収を維持できる、あるいはそれよりも高い年収になることも珍しくありません。

クライアントとの距離が近い

チームで仕事をすることが多い大手監査法人では、クライアントの存在を近くに感じながら仕事をすることは少ないかもしれません。
しかし、中小監査法人の場合は比較的小規模のクライアントとやり取りする機会が増えるため、自分の顔を覚えてもらいやすく、将来の人脈作りにも役立ちます。

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中小監査法人に転職するデメリット

これまでの働き方を見直す上で、中小監査法人には魅力もありますが、誰にとっても向いている職場とは言い切れません。
以下、中小監査法人に転職するデメリットについて解説します。

監査調書は紙ベースが多い

中小監査法人では、監査調書の保存方式が「紙」となるケースが一般的であるため、データベース上で管理される大手監査法人に比べて非効率的な部分は否めません。
押印作業などが発生することも想定されるため、この点をデメリットに感じる人もいるでしょう。

最先端の監査実務には触れにくい

大手企業・上場企業を相手にする大手監査法人では、職務遂行にあたり高い専門性が求められる分だけ、最先端の監査実務に触れるチャンスが多くなります。
これに対して中小監査法人では、大手監査法人に比べて、担当できる案件の種類が限られる可能性があります。

IPO案件の経験がしづらい

IPO案件を担当する監査法人は大手が多く、中小監査法人に転職してしまうと、なかなかIPO案件を経験する機会が回ってこないかもしれません。
そのため、IPO経験を積みたい人は、最低でも準大手クラスの監査法人に転職した方が無難です。

海外赴任の機会は少ない

海外法人への研修・赴任プログラムなどを実施している大手監査法人では、努力次第で海外で働くチャンスが得られるため、グローバル志向の人にとっては良い環境と言えます。
中小監査法人にもチャンスはありますが、大手に比べるとチャンスが限られるため、海外勤務にチャレンジしたい人にとっては大手監査法人の方が有利です。

法人によっては出張が多い

中小監査法人の中には、地方のクライアントが多いところもあり、そのような法人ではスタッフが頻繁に出張しなければならないケースも珍しくありません。
転職先で出張は避けたいと考えている人は、別の転職先を検討した方がよいでしょう。

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働きやすい中小監査法人を見つける方法

働きやすい中小監査法人を見つける方法

本格的に中小監査法人を転職先として見据えたら、次は検討している法人が「働きやすい」かどうか確認する必要があります。
以下、具体的なチェックポイントについて解説します。

法人の方針や特色を理解する

中小監査法人は、大手監査法人に比べて個性が分かりやすく、規模・方針・業務内容にも違いが見られます。
リサーチの際は、それぞれの法人の方針特色を確認し、気になった法人はより掘り下げて研究しておきましょう。

また、監査法人側でも「どんな人材を求めているか」についてPRしていることがあります。
オールラウンダー・プロフェッショナルなど、欲しい人材像は法人によって異なります。

転職先を選ぶ前に、法人側のニーズも踏まえた上で、自分の能力・適性で貢献が可能かどうか、成長につながるかどうか確認することが大切です。

離職率を確認する

一見魅力的な職場環境に思えても、転職先を検討する際は、応募する前に離職率を確認しておきましょう。
離職率が高いことは、必ずしも働きにくい職場であることを意味しませんが、雰囲気の悪さ残業時間など不安要素が隠れていることも十分考えられます。

行政処分の履歴を確認する

監査法人の運営が著しく不当なもので、その法人が行政処分の対象となった場合、業務改善命令が出されることがあります。
これは「金融庁から悪い意味で注目されている」状況を意味しており、働くスタッフも品質改善のため残業を余儀なくされるかもしれません。
安心して働ける監査法人を選ぶのであれば、過去の行政処分についても確認した上で判断しましょう。

中小監査法人を探すなら転職エージェントがおすすめ

中小監査法人の見極めを、忙しい合間に片手間で行ってしまうと、転職先について“自分に都合の良い解釈”をしてしまう一因となります。
転職先探しのリスクを減らし、自分に合った中小監査法人を選ぶには、転職エージェントを活用するのがおすすめです。

エージェント側では、求人票を掲載する法人の詳細を把握しているため、求職者は必要に応じて求人票だけでは読み取れない情報を教えてもらえます。
また、キャリア面談等で自分が希望する条件・働き方を伝えておけば、エージェント側で数ある中小監査法人の中からおすすめをピックアップしてくれます。

転職活動の精度向上と効率化において、転職エージェントは非常に便利な存在です。
会員登録は無料というケースも多いため、まずは無料登録から始めてみることをおすすめします。

まとめ

中小監査法人は、ワークライフバランスの充実・早期の昇格を目指す人にとっては魅力的な職場です。
最先端の監査業務・IPO経験などを期待している人にとってはチャンスを逃す形になるかもしれませんが、監査の本質的な業務に携われる機会は中小監査法人の方が多くなるでしょう。

ただし、どんな法人であっても自分の希望する働き方を実現できるとは限りません。
応募先が自分にフィットする環境かどうか見極めた上で、慎重に判断しましょう。

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この記事を監修したキャリアアドバイザー

篠原 義樹

大学卒業後、不動産会社にて個人向けの営業を経験。その後MS-Japanへ入社。会計事務所・コンサルティングファーム・監査法人・法律事務所・社会保険労務士事務所等の法人側担当として採用支援に従事。現在はキャリアアドバイザーも兼務し一気通貫で担当しております。

会計事務所・監査法人 ・ 公認会計士 ・ 税理士 ・ 税理士科目合格 ・ USCPA を専門領域として、これまで数多くのご支援実績がございます。管理部門・士業に特化したMS-Japanだから分かる業界・転職情報を日々更新中です!本記事を通して転職をお考えの方は是非一度ご相談下さい!

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会計士の転職・キャリアに関するFAQ

監査法人から事業会社への転職を考えています。MS-Japanには、自分のような転職者はどのくらい登録されていますか。

具体的な人数をお知らせする事は出来ませんが、より直接的に企業に関わりたい、会計の実務経験を積みたいと考えて転職を考える公認会計士の方が大多数です。 その過程で、より多くの企業に関わりたいという方は、アドバイザリーや会計事務所への転職を希望されます。当事者として企業に関わりたい方は事業会社を選択されます。 その意味では、転職を希望する公認会計士の方にとって、監査法人から事業会社への転職というのは、一度は検討する選択肢になるのではないでしょうか。

転職活動の軸が定まらない上、求人数が多く、幅が広いため、絞りきれません。どのような考えを持って転職活動をするべきでしょうか。

キャリアを考えるときには、経験だけではなく、中長期的にどのような人生を歩みたいかを想定する必要があります。 仕事で自己実現を図る方もいれば、仕事以外にも家族やコミュニティへの貢献、パラレルキャリアで自己実現を図る方もいます。ですので、ご自身にとって、何のために仕事をするのかを一度考えてみることをお勧めします。 もし、それが分からないようであれば、転職エージェントのキャリアアドバイザーに貴方の過去・現在・未来の話をじっくり聞いてもらい、頭の中を整理されることをお勧めします。くれぐれも、転職する事だけが目的にならないように気を付けてください。 今後の方針に悩まれた際は、転職エージェントに相談してみることも一つの手かと思います。

ワークライフバランスが取れる転職先は、どのようなものがありますか?

一般事業会社の経理職は、比較的ワークライフバランスを取りやすい為、転職する方が多いです。ただ、昨今では会計事務所、税理士法人、中小監査法人なども働きやすい環境を整備している法人が出てきていますので、選択肢は多様化しています。 また、一般事業会社の経理でも、経理部の人員が足りていなければ恒常的に残業が発生する可能性もございます。一方で、会計事務所、税理士法人、中小監査法人の中には、時短勤務など柔軟に対応している法人も出てきています。ご自身が目指したいキャリアプランに合わせて選択が可能かと思います。

監査法人に勤務している公認会計士です。これまで事業会社の経験は無いのですが、事業会社のCFOや管理部長といった経営管理の責任者にキャリアチェンジして、早く市場価値を高めたいと考えています。 具体的なキャリアパスと、転職した場合の年収水準を教えてください。

事業会社未経験の公認会計士の方が、CFOや管理部長のポジションに早く着くキャリアパスの王道は主に2つです。 一つは、IPO準備のプロジェクトリーダーとして入社し、IPO準備を通じて経営層の信頼を勝ち取り、経理部長、管理部長、CFOと短期間でステップアップする。 もう一つは、投資銀行などでファイナンスのスキルを身に着けて、その後、スタートアップ、IPO準備企業、上場後数年程度のベンチャーにファイナンススキルを活かしてキャリアチェンジすることをお勧めします。近年はCFOに対する期待が、IPO達成ではなく、上場後を見据えた財務戦略・事業戦略となってきているため、後者のパターンでCFOになっていく方が増えています。 年収レンジとしてはざっくりですが800~1500万円くらいでオファーが出るケースが一般的で、フェーズに応じてストックオプション付与もあります。

40歳の会計士です。監査法人以外のキャリアを積みたいのですが、企業や会計事務所でどれくらいのニーズがあるでしょうか。

企業であれば、会計監査のご経験をダイレクトに活かしやすい内部監査の求人でニーズが高いです。経理の募集もございますが、経理実務の経験が無いことがネックになるケースがあります。 会計事務所ですと、アドバイザリー経験の有無によって、ニーズが大きく異なります。また、現職で何らかの責任ある立場についており、転職後の顧客開拓に具体的に活かせるネットワークがある場合は、ニーズがあります。

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