【2024年最新版】公認会計士の転職市場動向を徹底解説!

転職活動中の方にとって、転職市場の動向は、転職が成功するか否かの重要な要因の一つです。それは難関国家資格の1つである公認会計士も例外ではありません。
この記事では、2023年の公認会計士の転職市場について、MS-Japan独自データに基づき解説し、さらに公認会計士の転職実績が豊富なキャリアアドバイザーが見る「2024年の公認会計士の転職市場予測」についても紹介しています。
これから転職をお考えの方はもちろん、公認会計士としてのキャリアについて考えている方も参考にできる情報となっていますので、ぜひご覧ください。
※当記事で取り扱うデータは管理部門・士業に特化したMS-Japanの2023年実績に基づくものであり、必ずしも公認会計士全体の転職市場の傾向を示すものではありません。
現役キャリアアドバイザーが見る2024年公認会計士の転職市場
ここ数年、公認会計士の転職先としてインハウスが人気になっています。
その背景には、監査法人での業務が高度化する一方で、監査報酬が減少するなど、公認会計士にとって監査法人が経済的に魅力的な選択肢ではなくなっていることがあげられます。
また、上場企業やIPO準備企業の増加が、企業内会計士の需要と年収を増加させています。
その結果、以前までは監査法人からインハウスへの転職は年収が下がるケースがほとんどでしたが、最近では年収を維持または向上させるケースが増えています。
しかし、インハウスのポジションを希望する会計士が増えるにつれ、転職成功のためには他の求職者と差をつけることが求められるようになりました。
特に、企業に溶け込むための「コミュニケーション能力」や、経営企画やIPO準備企業では「経営者目線で事業を見る能力」が求められます。
人気のあるポジション、求人ではこれらのスキルを持つ応募者が多く、企業が求める能力とのマッチングが転職成功の鍵を握ります。
公認会計士の転職市場は大きく変化しており、今後も公認会計士のキャリアの選択肢はさらに広がっていきます。
キャリアの方向性に迷っている方は、転職エージェントやスカウトサービスに登録することをおすすめします。
自分の市場価値に気が付けたり、新しいキャリアの可能性を見つける良い機会につながります。
転職市場における公認会計士の年代
上の図は、「MS-Japanに登録された(以後、転職活動を開始した)公認会計士の年代」と「転職が決定した公認会計士の年代」のグラフです。
転職市場における公認会計士の年代は、転職活動を開始した方、転職が決定した方ともに、30代が最も多い割合を占めています。
日本公認会計士協会によると、2023年12月31日時点での公認会計士の年代分布は、30代が25.0%、40代が32.8%と、40代が最も多いことから、転職を考える方は比較的、若い年代であることが分かります。
また、公認会計士試験合格者の平均年齢は、令和5年が24.5歳、令和4年が24.4 歳、令和3年が24.5歳と、20代半ばを推移しています。転職活動を開始する公認会計士の多くは、監査法人で会計士登録に必要な3年の実務経験を積んだ後に、新たなキャリアを検討していると予想されます。
【参考】
・
日本公認会計士協会 県別・年齢構成別会員数
公認会計士の転職活動開始時期
上の図は、「公認会計士の転職活動開始時期」のグラフです。
転職活動を開始した時期は、9月が12.6%と最も多い割合を占めていることが分かります。
転職を考える公認会計士の多くが、新年度を迎える4月入社に向けて、9月頃から転職活動を開始していると予想されます。
また、通常日系企業は3月末に決算を迎えるため、監査法人に勤める公認会計士は4月から5月にかけて繁忙期となります。繁忙期には、転職活動を行う余裕がないことが、4月に転職活動を開始する方が少ない理由と予想されます。
転職市場における公認会計士の勤務先
転職活動を開始した公認会計士の直近の勤務先
割合(年代) | 20代以下 | 30代 | 40代 | 50代以上 |
---|---|---|---|---|
監査法人 | 63% | 57% | 39% | 28% |
会計事務所 | 5% | 8% | 8% | 6% |
その他士業事務所 | 0% | 1% | 1% | 3% |
コンサルティング | 10% | 7% | 4% | 6% |
インハウス | 22% | 27% | 48% | 57% |
上の図は、「転職活動を開始した公認会計士の直近の勤務先」のグラフです。
監査法人が45.5%と最も多く、インハウスが39.7%と続いています。
また、年代別に直近の勤務先を確認すると、20代と30代は監査法人が最も多いのに対して、40代と50代以上はインハウスの割合が最も多い結果となりました。
20代、30代は、公認会計士登録のために監査法人で実務経験を積んだ後に転職を希望している方が多いと考えられます。
公認会計士が希望する勤務先
上の図は、「公認会計士が希望する勤務先」のグラフです。
インハウスが54.4%、監査法人・会計事務所・コンサルなどの事業所系が21.8%と、インハウスへの転職希望者の方が多いことが分かります。
以前までは、一般企業に勤める公認会計士は少数派でしたが、最近ではワークライフバランスを重視する方が増えたことなどから、監査法人から一般企業に転職希望する方が増え、公認会計士の転職先として一般的になっています。
転職が決定した公認会計士の勤務先
上の図は、「転職が決定した公認会計士の勤務先」のグラフです。
インハウスが63.9%と最も高く、監査法人が15.7%、会計事務所が14.5%と続いています。公認会計士が希望する勤務先の割合からさらに、インハウスの割合が増えていることが分かります。
公認会計士がインハウスで従事するメリットは、働く側のメリットだけではなく、専門的な会計知識を有している人材を企業内に確保できるという企業側のメリットもあります。特に、会計が複雑化していることや、資金調達方法の多様化等により、昨今企業における公認会計士の需要は高まっています。
転職市場における公認会計士の転職回数
転職活動を開始した公認会計士の転職回数
上の図は、「転職活動を開始した公認会計士の転職回数」のグラフです。
転職回数1回の割合が最も多く、また全体の71.9%以上が転職を1回以上経験していることが分かります。
転職が決定した公認会計士の転職回数
上の図は、「転職が決定した公認会計士の転職回数」のグラフです。
転職回数2回が25.3%と最も割合が多く、1回が22.8%、3回が17.7%と続いています。また、転職回数0回の割合は16.5%と、転職活動を開始した公認会計士における転職回数0回の割合28.1%よりも少ないことが分かります。
終身雇用制度が終了し、転職に対する世間の印象も変わった今、転職はキャリアプランの中で当たり前の時代になっています。特に、経験やスキルが重視される公認会計士の場合は、転職回数によるマイナスな評価は少なく、一定の経験を積んだ公認会計士は様々な業界での需要が高い傾向にあります。
公認会計士の転職理由
上の図は、「転職活動を開始した公認会計士の転職理由」のグラフです。
公認会計士の転職理由は、スキルアップの割合が30.8%と最も多く、キャリアチェンジ、残業、会社の将来性不安と続いています。
また、年代別にみると20代はキャリアチェンジが40.0%、30代はスキルアップが40.7%、40代はスキルアップが23.6%、50代以上は会社の将来性不安が22.2%で、各年代最も割合が多いことが分かりました。
転職活動を開始した公認会計士の直近の勤務先は、年代が上がるにつれて監査法人の割合が減り、インハウスの割合が増える傾向があります。20代の多くは監査法人に就職し、インハウスへのキャリアチェンジで転職活動を始めていると考えられます。30代、40代になると一定の監査業務経験を積んだ上で、+αのスキルを身につけたいという理由で転職を考えていると予想されます。
公認会計士の転職活動(転職決定までの)期間
上の図は、「公認会計士の転職活動(転職決定までの)期間」のグラフです。
転職活動期間は、31日〜60日が36.1%と最も割合が多く、30日以内と合わせると、半分以上が2か月以内に転職決定していることが分かります。
また、勤務先別の平均転職活動期間は、監査法人・会計事務所・コンサル系が約74日、インハウスが約105日、転職活動期間の中央値は、監査法人・会計事務所・コンサル系が約41日、インハウスが約68日とそれぞれ、1か月程インハウスの方が長いことが分かります。
監査法人の主な業務は監査であるのに対して、インハウスで公認会計士に求められるスキルやポジションは様々であるため、選択肢の広さからインハウスの方が長い転職活動期間になっていると考えられます。
調査概要
2023年1月1日~2023年12月31日に人材紹介サービス「MS Agent」にご登録いただいた公認会計士及び、「MS Agent」を通してご転職先が決定された公認会計士
調査主体:株式会社MS-Japan(https://www.jmsc.co.jp/)
※本調査のグラフ内の構成比は、小数点以下第2位を四捨五入しているため、合計しても必ずしも100とはならない場合がございます。
■■本リリースの転載・利用に関するお願い■■
本調査結果を掲載・利用される場合は、出典「MS-Japan調べ(https://www.jmsc.co.jp/knowhow/topics/12449.html)」
と明記をお願いいたします。
まとめ
以上、MS-Japanの独自データに基づいた2023年の公認会計士の転職市場と、2024年の転職市場予測でした。
弊社MS-Japanでは、公認会計士をはじめとした士業や管理部門に特化した転職エージェント「MS Agent」を提供しています。監査法人だけでなく、インハウスへ転職したいという場合でも、経理や経営企画などの公認会計士を活かすことの出来る求人をご紹介可能です。
また、求人紹介だけでなく、キャリアカウンセリングや選考状況に合わせた書類・面接対策など幅広い転職サポートを行っていますので、まずはキャリアの相談をしたいという方でもお気軽にご相談下さい。


この記事を監修したキャリアアドバイザー

大学卒業後、大手出版系企業を経て現職へ入社。
主に大手・新興上場企業を対象とする法人営業職を4年、キャリアアドバイザーとして10年以上に及ぶ。
経理・財務 ・ 人事・総務 ・ 法務 ・ 経営企画・内部監査 ・ 会計事務所・監査法人 ・ コンサルティング ・ 役員・その他 ・ IPO ・ 公認会計士 ・ 税理士 ・ 弁護士 を専門領域として、これまで数多くのご支援実績がございます。管理部門・士業に特化したMS-Japanだから分かる業界・転職情報を日々更新中です!本記事を通して転職をお考えの方は是非一度ご相談下さい!
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MS-Japanの転職サービスとは
大手上場企業や監査法人、会計事務所(税理士法人)など、公認会計士の幅広いキャリアフィールドをカバーする求人をもとに、公認会計士専門のキャリアアドバイザーがあなたの転職をサポートします。
キャリアカウンセリングや応募書類の添削・作成サポート、面接対策など各種サービスを無料で受けることができるため、転職に不安がある公認会計士の方でも、スムーズに転職活動を進めることができます。

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会計士の転職・キャリアに関するFAQ
監査法人から事業会社への転職を考えています。MS-Japanには、自分のような転職者はどのくらい登録されていますか。
具体的な人数をお知らせする事は出来ませんが、より直接的に企業に関わりたい、会計の実務経験を積みたいと考えて転職を考える公認会計士の方が大多数です。 その過程で、より多くの企業に関わりたいという方は、アドバイザリーや会計事務所への転職を希望されます。当事者として企業に関わりたい方は事業会社を選択されます。 その意味では、転職を希望する公認会計士の方にとって、監査法人から事業会社への転職というのは、一度は検討する選択肢になるのではないでしょうか。
転職活動の軸が定まらない上、求人数が多く、幅が広いため、絞りきれません。どのような考えを持って転職活動をするべきでしょうか。
キャリアを考えるときには、経験だけではなく、中長期的にどのような人生を歩みたいかを想定する必要があります。 仕事で自己実現を図る方もいれば、仕事以外にも家族やコミュニティへの貢献、パラレルキャリアで自己実現を図る方もいます。ですので、ご自身にとって、何のために仕事をするのかを一度考えてみることをお勧めします。 もし、それが分からないようであれば、転職エージェントのキャリアアドバイザーに貴方の過去・現在・未来の話をじっくり聞いてもらい、頭の中を整理されることをお勧めします。くれぐれも、転職する事だけが目的にならないように気を付けてください。 今後の方針に悩まれた際は、転職エージェントに相談してみることも一つの手かと思います。
ワークライフバランスが取れる転職先は、どのようなものがありますか?
一般事業会社の経理職は、比較的ワークライフバランスを取りやすい為、転職する方が多いです。ただ、昨今では会計事務所、税理士法人、中小監査法人なども働きやすい環境を整備している法人が出てきていますので、選択肢は多様化しています。 また、一般事業会社の経理でも、経理部の人員が足りていなければ恒常的に残業が発生する可能性もございます。一方で、会計事務所、税理士法人、中小監査法人の中には、時短勤務など柔軟に対応している法人も出てきています。ご自身が目指したいキャリアプランに合わせて選択が可能かと思います。
監査法人に勤務している公認会計士です。これまで事業会社の経験は無いのですが、事業会社のCFOや管理部長といった経営管理の責任者にキャリアチェンジして、早く市場価値を高めたいと考えています。 具体的なキャリアパスと、転職した場合の年収水準を教えてください。
事業会社未経験の公認会計士の方が、CFOや管理部長のポジションに早く着くキャリアパスの王道は主に2つです。 一つは、IPO準備のプロジェクトリーダーとして入社し、IPO準備を通じて経営層の信頼を勝ち取り、経理部長、管理部長、CFOと短期間でステップアップする。 もう一つは、投資銀行などでファイナンスのスキルを身に着けて、その後、スタートアップ、IPO準備企業、上場後数年程度のベンチャーにファイナンススキルを活かしてキャリアチェンジすることをお勧めします。近年はCFOに対する期待が、IPO達成ではなく、上場後を見据えた財務戦略・事業戦略となってきているため、後者のパターンでCFOになっていく方が増えています。 年収レンジとしてはざっくりですが800~1500万円くらいでオファーが出るケースが一般的で、フェーズに応じてストックオプション付与もあります。
40歳の会計士です。監査法人以外のキャリアを積みたいのですが、企業や会計事務所でどれくらいのニーズがあるでしょうか。
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