2023年04月01日

公認会計士が総合商社に転職する魅力は?

総合商社は会計士の需要が比較的高く、また年収の維持も期待できることから、監査法人などから転職する会計士は少なくありません。
この記事では、公認会計士が総合商社に転職する理由や求められるスキルなど、商社への転職について詳しく解説していきます。

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1.公認会計士が総合商社に転職する理由

公認会計士が総合商社に転職する理由は、まず年収の維持が期待できること、および会計士の需要が高いことです。

1-1.年収アップができる

監査法人から総合商社へ転職した場合には、年収アップが期待できます。

一般に監査法人から事業会社へ転職すると、年収が下がると思う方が多いと思います。
しかし、事業会社での会計士需要が高まっている昨今、監査法人から事業会社への転職でも年収を維持、または年収を上げることができる可能性があります。
実際に2023年にMS-Japanが運営する「MS Agent」を利用して転職決定した公認会計士の勤務先別の平均オファー年収を見てみると、監査法人・会計事務所・コンサル系が701万円なのに対して、事業会社は823万円と約100万円以上も高いことが分かります。
特に、総合商社は事業会社の中でも年収が高いため、総合商社への転職で年収が上がる可能性が高くなります。

1-2.会計士の需要が高い

会計士の需要が比較的高いことも、会計士が総合商社へ転職する大きな理由となっています。

一般に総合商社は、転職での入社は経歴が良くても厳しいことが多いです。
ところが、会計士については比較的スムーズに転職できるケースが多くあります。
なぜならば、総合商社では専門性の高い人材が育ちにくいからです。

後述のとおり総合商社では、経理・財務部門あるいはM&Aについての部門などで、会計士としての高い専門性を活かすことが可能です。
そのため会計士に関しては、転職の採用枠が広く取られるケースも多くあります。

とはいっても、そもそも中途採用自体が少ない総合商社に転職できるのは、会計士でも一握りとなります。
総合商社への転職に求める要素次第では、別の業界でも希望のキャリアを十分積むことができるでしょう。

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2.公認会計士が総合商社で携わる仕事

公認会計士が総合商社で携わる仕事を見ていきましょう。

2-1.経理・財務

会計士が総合商社で携わる仕事として圧倒的に多いのは、経理・財務に関するものです。
会計士に向けた総合商社の求人も、経理・財務部門のものが最多となります。

総合商社の経理・財務部門には「コーポレート経理」と「営業部・事業部経理」の2種類があります。
それぞれの仕事内容は以下のとおりです。

コーポレート経理

コーポレート経理の仕事内容は、国際会計基準での連結決算や財務諸表作成、監査法人対応、内部監査、全社の予算管理、税務申告や税務調査対応、資金戦略の企画・立案などとなります。
総合商社は連結子会社が多く、また国際会計基準を適用しているため、決算のレベルは高いです。

事業部経理

総合商社は事業部ごとに独立採算制を取っているケースが多く、経理・財務も事業部ごとに行われます。
事業部経理では現場と密接にやり取りしながら、日常の会計処理や資金調達、監査法人対応、税務調査対応、関連子会社の経理支援・指導などの仕事を行います。

2-2.M&A案件

経営企画などの部門でM&A案件に携わることも、会計士の場合には多くあります。
総合商社は近年では、卸売業というよりも、さまざまな会社に投資を行う投資会社としての側面が強くなっているからです。

具体的な仕事内容は、M&A案件の情報収集や企業価値の算定、あるいは投資スキーム構築やDD、PMIなどの支援となります。
総合商社でM&A案件に携わる場合には、監査法人から直接の転職より、監査法人からFASなどへ転職した会計士が向いているかもしれません。

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3.公認会計士が商社に転職するうえで求められるスキル

公認会計士が商社に転職するうえで求められるスキル

公認会計士が商社に転職するうえで求められるスキルを見てみましょう。

3-1.英語力

会計士の総合商社への転職は、英語力があると大きく有利に進められます。
総合商社の業務には、かならずしも高い英語力が必要とされない国内業務も多くあります。
しかし、それら国内業務であっても、海外の事例調査や海外監査法人との連携、国際会計基準導入などで英語力が必要となる場合もあります。

公認会計士は一般に英語力が高い人は少ないです。
したがって、公認会計士の転職で、英語力は自らを差別化できる有力な要素となります。
TOEICの点数は、国内業務なら700点以上、国際業務を希望するなら800点以上が必要でしょう。

3-2.英文会計

英文会計に関するスキルも、会計士が商社へ転職するうえでは重要です。
総合商社はもともと米国会計基準(USGAAP)を使用しており、そこからさらに国際会計基準(IFRS)任意適用への変更もしています。
英文会計のスキルがあれば、英語力と同様に自らを差別化できます。
英文会計スキルの証明には、米国公認会計士(USCPA)を取得するのがよいでしょう。

公認会計士の資格取得は数千時間の勉強時間が必要とされるのにたいし、USCPAは1,000時間程度の勉強時間で合格できるといわれています。
公認会計士資格をすでに取得している人なら、英語力が必要になるとはいえ、比較的容易に取得できるのではないでしょうか。

3-3.経営戦略・金融関連の実務

経営企画などの部門へ転職希望の場合には、経営戦略・金融関連の知識および実務スキルが求められます。
これらのスキルを身に付けるためにはMBAの取得がよいでしょう。

MBA取得で得られる企業経営に関する知識は、会計士として監査・決算業務だけでなく、コンサルタントとしてのキャリアを志望する場合には大きく役立つことになります。
また、スクールに通うことでさまざまなビジネスパーソンとの幅広い人脈も作れるでしょう。

ただし、MBA取得のためには1~2年間ほどビジネススクールへ通わなくてはなりません。
働きながら通うためには、講義やゼミを土日に集中的に行うスクールを選ぶとよいでしょう。

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4.商社に転職するメリット

会計士が商社へ転職するメリットはどのようなものがあるのでしょうか?

4-1.ビジネスの渦中に身を置ける

メリットとしてまずあげられるのは、商社ではビジネスの渦中に身を置けることだといえます。
会計士として監査法人に勤務すると、企業活動にかかわるのは、基本的に監査業務を通してのみとなります。業務がルーチンワークになりがちで、人によっては退屈することとにもなりかねません。

しかし、商社の社員として勤務すれば、チームの一員として会社のビジネスに自分も貢献していくことになります。
ダイナミックなビジネスの渦中に身を置くことができるわけです。 業務の幅は監査法人にいるときより、はるかに広がることになるでしょう。

4-2.経理のスキルを磨ける

経理のスキルを磨けることも、会計士が商社へ転職するメリットだといえるでしょう。
会計士の業務は本来、監査と経理が両輪となるものです。
しかし、監査法人で勤務しているときには、実際に経理を行う機会はまずありません。

商社の経理部門に転職すれば、実践的な経理スキルを磨いていくことができます。自分の市場価値をさらに高めることもできるでしょう。

4-3.福利厚生が充実している

総合商社は大企業ですから、福利厚生が充実していることも転職のメリットだといえます。
多くの商社は、基本給以外にさまざまな手当がつくうえに、金銭以外の手当も充実しています。仕事だけでなく生活の充実もさせやすいといえるでしょう。

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5.商社に転職するデメリット

商社に勤務するデメリットとしてあげられるのは、監査法人時代より年収がダウンするケースがあることです。
大手商社なら大手監査法人と同等の年収が期待できますが、中堅あるいは専門商社の場合には、ダウンするケースがあります。

また、監査法人は原則として転勤はありません。
それに対して商社では、海外赴任も含めて転勤の可能性がありますので、転職を検討する際には事前の確認が必要でしょう。

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6.監査法人から商社への転職事例

公認会計士から商社への転職事例を見てみましょう。

6-1.大手監査法人から準大手総合商社への転職

大手監査法人に勤務していた20代後半の男性Aさんは、大学在学中に公認会計士試験に合格し、ごく自然に大手監査法人に就職しました。
就職後数年経ってインチャージも経験し、キャリアを順調に積み重ねていましたが、ふと「自分はこのままでいいのか」と疑問を抱くことになります。
なぜならば、将来にわたるキャリアイメージや中長期的なワークライフバランスを全く考えないまま、ここまで来てしまったからです。

そこで、Aさんはこれからの自分の方向性を確認するため、弊社にご登録されました。
弊社キャリアアドバイザーと相談しながら自分の将来について考え、総合商社への転職を決意します。

ただしネックとなったのは、総合商社の多くが採用にあたって必須としている英語が、Aさんは苦手だったことです。
そこでAさんは英語の猛勉強をはじめ、当初は500点台だったTOEICの点数を、8ヶ月で800点近くにまで上げることに成功しました。
その結果、準大手の総合商社への転職を、年収600万円台をほぼ維持しながら、成功させることができました。

6-2.大手監査法人系FASから大手商社への転職

監査法人系FASへ勤務していた30代女性のBさんは、キャリアの幅を広げること、および年収アップを目的とし、大手商社への転職を決意します。
過去に大手監査法人からFASへ転職し、海外勤務経験もあったBさんは、日本会計基準や米国会計基準、IFRS、M&Aに関するスキル、英語力など、大手商社の経理・財務部門が求めるスキルをすべて兼ね備えていたからです。

ただし、面接にあたっては、謙虚さをアピールすることがポイントとなりました。
たしかに大手商社への転職には、公認会計士の資格保持が重要な要件です。
しかし、入社して経理部門に配属された場合には、資格云々より業務に対応する際の柔軟な姿勢が求められることになるからです。

そこで、Bさんは弊社キャリアアドバイザーによるサポートのもと、面接対策に取り掛かります。
商社の面接での成功事例や失敗事例の情報を入手し、想定問答集も作成して、複数回の面接を無事にクリアできました。
年収は、当初の900万円から1,300万円への大幅アップとなりました。

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7.まとめ

公認会計士はキャリアを活かし、商社にスムーズに転職できるケースが多くあります。
年収も、大手総合商社なら、維持かアップが期待できます。
「より幅広いキャリアを身に付けたい」
「ワークライフバランスを充実させたい」
などの場合には、商社への転職を検討されてはいかがでしょうか。

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この記事を監修したキャリアアドバイザー

窪塚 勝則

大学卒業後、大手出版系企業を経て現職へ入社。
主に大手・新興上場企業を対象とする法人営業職を4年、キャリアアドバイザーとして10年以上に及ぶ。

経理・財務 ・ 人事・総務 ・ 法務 ・ 経営企画・内部監査 ・ 会計事務所・監査法人 ・ コンサルティング ・ 役員・その他 ・ IPO ・ 公認会計士 ・ 税理士 ・ 弁護士 を専門領域として、これまで数多くのご支援実績がございます。管理部門・士業に特化したMS-Japanだから分かる業界・転職情報を日々更新中です!本記事を通して転職をお考えの方は是非一度ご相談下さい!

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MS-Japanは、公認会計士やUSCPAなどの有資格者や企業の管理部門に特化した転職エージェントです。
大手上場企業や監査法人、会計事務所(税理士法人)など、公認会計士の幅広いキャリアフィールドをカバーする求人をもとに、公認会計士専門のキャリアアドバイザーがあなたの転職をサポートします。
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会計士の転職・キャリアに関するFAQ

監査法人から事業会社への転職を考えています。MS-Japanには、自分のような転職者はどのくらい登録されていますか。

具体的な人数をお知らせする事は出来ませんが、より直接的に企業に関わりたい、会計の実務経験を積みたいと考えて転職を考える公認会計士の方が大多数です。 その過程で、より多くの企業に関わりたいという方は、アドバイザリーや会計事務所への転職を希望されます。当事者として企業に関わりたい方は事業会社を選択されます。 その意味では、転職を希望する公認会計士の方にとって、監査法人から事業会社への転職というのは、一度は検討する選択肢になるのではないでしょうか。

転職活動の軸が定まらない上、求人数が多く、幅が広いため、絞りきれません。どのような考えを持って転職活動をするべきでしょうか。

キャリアを考えるときには、経験だけではなく、中長期的にどのような人生を歩みたいかを想定する必要があります。 仕事で自己実現を図る方もいれば、仕事以外にも家族やコミュニティへの貢献、パラレルキャリアで自己実現を図る方もいます。ですので、ご自身にとって、何のために仕事をするのかを一度考えてみることをお勧めします。 もし、それが分からないようであれば、転職エージェントのキャリアアドバイザーに貴方の過去・現在・未来の話をじっくり聞いてもらい、頭の中を整理されることをお勧めします。くれぐれも、転職する事だけが目的にならないように気を付けてください。 今後の方針に悩まれた際は、転職エージェントに相談してみることも一つの手かと思います。

ワークライフバランスが取れる転職先は、どのようなものがありますか?

一般事業会社の経理職は、比較的ワークライフバランスを取りやすい為、転職する方が多いです。ただ、昨今では会計事務所、税理士法人、中小監査法人なども働きやすい環境を整備している法人が出てきていますので、選択肢は多様化しています。 また、一般事業会社の経理でも、経理部の人員が足りていなければ恒常的に残業が発生する可能性もございます。一方で、会計事務所、税理士法人、中小監査法人の中には、時短勤務など柔軟に対応している法人も出てきています。ご自身が目指したいキャリアプランに合わせて選択が可能かと思います。

監査法人に勤務している公認会計士です。これまで事業会社の経験は無いのですが、事業会社のCFOや管理部長といった経営管理の責任者にキャリアチェンジして、早く市場価値を高めたいと考えています。 具体的なキャリアパスと、転職した場合の年収水準を教えてください。

事業会社未経験の公認会計士の方が、CFOや管理部長のポジションに早く着くキャリアパスの王道は主に2つです。 一つは、IPO準備のプロジェクトリーダーとして入社し、IPO準備を通じて経営層の信頼を勝ち取り、経理部長、管理部長、CFOと短期間でステップアップする。 もう一つは、投資銀行などでファイナンスのスキルを身に着けて、その後、スタートアップ、IPO準備企業、上場後数年程度のベンチャーにファイナンススキルを活かしてキャリアチェンジすることをお勧めします。近年はCFOに対する期待が、IPO達成ではなく、上場後を見据えた財務戦略・事業戦略となってきているため、後者のパターンでCFOになっていく方が増えています。 年収レンジとしてはざっくりですが800~1500万円くらいでオファーが出るケースが一般的で、フェーズに応じてストックオプション付与もあります。

40歳の会計士です。監査法人以外のキャリアを積みたいのですが、企業や会計事務所でどれくらいのニーズがあるでしょうか。

企業であれば、会計監査のご経験をダイレクトに活かしやすい内部監査の求人でニーズが高いです。経理の募集もございますが、経理実務の経験が無いことがネックになるケースがあります。 会計事務所ですと、アドバイザリー経験の有無によって、ニーズが大きく異なります。また、現職で何らかの責任ある立場についており、転職後の顧客開拓に具体的に活かせるネットワークがある場合は、ニーズがあります。

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