事業再生コンサルの仕事内容は?業界構造や評価されるスキルについても解説

経営が困難になった事業に入り込み、事業再生に努める「事業再生コンサルタント」をご存知ですか。
新型コロナウイルスの影響による事業再生ニーズの高まりなどもあり、事業再生コンサルタントは今後さらに需要が拡大していくと予想されます。
本記事では、事業再生コンサルティング業界に興味がある方や転職を考えている方に向けて、仕事内容や事業構造について解説します。
未経験から事業再生にキャリアチェンジする方法もご紹介します。
事業再生コンサルタントとは
事業再生コンサルタントとは、名前の通り事業を回復・再生させるコンサルタントです。
資金繰りや収益面に問題を抱えた企業に対し、事業・財務・組織・人材など多面的にアプローチして改革や再成長させることが使命です。
対象が1つの事業であれば事業再生、対象が企業であれば企業再生と呼ばれます。
<コンサルティング例>
・事業計画、再生計画の立案
・資金マネジメント
・経営診断、経営継続が可能か予備調査
・M&A、カーブアウト、PMI
・商品と価格最適化
・運転資金マネジメント
・設備投資
事業再生業界の構造は?
様々な要因から資金繰りが悪化し、不採算の事業部門を抱えている企業に対して財務や業務のデューデリジェンス(事前調査)を行って実態を明らかにします。
主に、事業再生コンサルティングの依頼主は下記の4つです。
①銀行などの金融機関債権者
②中小企業再生支援協議会などの公的機関
③不採算部門を保有している企業、または株主
④PEファンド
事業再生コンサルティングは、どこの依頼主、どんな業種業態、どれくらいの規模の再生案件を受けているのかにより特徴が異なります。
債権者と債務者の間だけで行われるデューデリジェンスの場合、私的整理の再生案件が多いため事業再生コンサルタントは両者の利害調整に務めます。
銀行からの借入れだけでは資金がもたないケースは、PEファンドによる資本提携やエクイティ投資を受けることもあります。
事業再生コンサルタントの仕事内容
事業再生業務の主な流れは下記の通りです。
財務・事業デューデリジェンス
財務デューデリジェンスは、決算書、税務申告書、勘定科目明細、総勘定元帳、試算表など財務・会計資料と帳簿を精査します。
流れとしては、まず事業の実態を把握し、対象となる企業と事業の全ての勘定科目をチェックして債務超過額を明確にします。
また、対象となる企業の環境調査を行い、正常収益力(稼ぐ力)があるのか分析します。
非上場企業の再生では、企業自身が自覚なく問題を起こしていることが多いため、デューデリジェンスから要因を探ります。
事業再生計画策定と金融機関などの利害関係者と調整
BKMTG(バンクミーティング)では、金融機関に返済スケジュールの見直しと利害調整を行います。
実現できる計画を立て、債権者からの同意を得られるよう努めます。
モニタリング
財務・事業デューデリジェンス、BKMTGで報告した事業計画書を作成します。
貸借対照表、損益計算書、キャッシュフロー計算書、株主資本等変動計算書の財務4表をもとに、クライアント企業の経営陣と議論し現実的な数値に落とし込みます。
定期訪問にて経過状態を調査します。
実行支援(現場支援)
事業計画や経営計画がどの程度実行されているかモニタリングしつつ、ケースバイケースで実行支援に対応することもあります。
再生コンサルティングの特徴
事業再生コンサルティングとは、経営不振に陥った事業を立て直すことです。
計画を立案しアドバイスをするだけでなく、黒字化するためにクライアント企業や事業の一員となりサポートしなければなりません。
主なプロジェクトの順番は「結果を生む」→「継続的に結果が出せる仕組みを作る」→「仕組みをクライアントに落とし込む」→「目標達成を見届けて撤収」という流れで進みます。
1)キャッシュフローを見直す
資金繰りの改善を目指します。
入金・返済スケジュールのリスケ、支払いの繰延べ、短期資金調達、不要な支出をカットするなど、企業が資金ショートを起こさないように防いで管理します。
2)バランスシートの改善
経営するためには弱くなってしまった財務諸表を改善します。
PEファンドや銀行などの金融機関からの資金調達と同時に債務カットや事業売却により企業の体質を強くします。
3)黒字化を目指し収益性を改善
バランスシート(貸借対照表)を改善し、不採算事業や債務を取り除き、残った要となる事業の収益性を改善します。
安定して黒字が出せるように事業の本質改善を目指します。
事業再生コンサルティングに求められるスキル・経験
事業再生コンサルタントとして求められるスキルや経験について解説します。
事業再生業界は経験者が少ないため、採用時は業界未経験者が多いといわれています。
そのため、下記のうち1)〜4)のいずれかの基礎知識や経験があり、下記5)〜7)があれば採用されやすいといえるでしょう。
もし、公認会計士や日商簿記1級などの資格があれば、ライバルが多い場合は有利にはたらきます。
事業再生コンサルティング業界に求められるスキルと経験
1)財務デューデリジェンスの基礎的な知識
2)事業デューデリジェンスの基礎的な知識
3)財務・事業デューデリジェンスの分析しレポート資料を作成するスキル
4)金融機関などの債権者・経営者・株主・社員など利害関係者との調整力
あるとさらに評価されやすいスキルや経験
5)コンサルティングの経験・知識
6)特定の業界や業種に関する深い知識と理解
7)戦略策定、オペレーション、現場業務などの経験
以上のことを念頭に、未経験から事業再生コンサルタントには、財務や会計から経営戦略、事業戦略、ビジネス全般の幅広い知見が求められます。ただ、最初からこれら全てを身に着けている方はいません。
特定の分野の知見を武器に事業再生コンサルティングに携わっていくことが一般的です。
そのため、未経験から事業再生コンサルティングを目指すのであれば、会計や財務、金融、経営・事業戦略のいずれかで、専門分野を作りましょう。
具体的には、監査法人、会計系コンサルティングファーム、戦略系コンサルティングファーム、金融機関で経験を積むところから始めるのが一般的です。
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まとめ
これまで解説したように事業再生コンサルティングは、窮地に陥った事業にテコ入れをして、もう一度事業としてうまく回るように立て直すことが仕事です。
事業や企業を潰さないためにスピード感が求められるため、他のコンサルティング業界にはない鬼気迫るものがあります。
短期的にハードな事業再生案件をこなすこともあるため、その分得られる経験値量も多く、急成長したい方にとってはやりがいのある仕事でしょう。
事業再生コンサルティング業界は、個人の能力の高さも必要ですが、経営者と向き合う姿勢や気質も重要です。
コンサルタントの中でも事業再生は泥臭い部分が多いため、目指す方はあらかじめ理解しておくとギャップを感じにくいでしょう。
また、未経験から事業再生業界へ転身する場合、とくに、コンサルタントとしての素養が求められます。
ハードながらやりがいが感じられる事業再生コンサルタント業界に興味がある方は、本記事でお伝えしたポイントを参考にして挑戦してみてはいかがでしょうか。


この記事を監修したキャリアアドバイザー

大学卒業後、大手信用金庫に入庫。個人・法人営業及びビジネスマッチング等に従事。
MS-Japanに入社後は、横浜支社の立ち上げに加え、経理・人事・法務・経営企画・公認会計士・税理士等、幅広い職種のマッチングに従事。
2021年より東京本社へ異動後は、公認会計士・税理士・弁護士・社労士等の士業を専門とするJ事業部の管理職を務める傍らプレイヤーとしても従事。
会計事務所・監査法人 ・ 公認会計士 ・ 税理士 ・ 税理士科目合格 ・ USCPA を専門領域として、これまで数多くのご支援実績がございます。管理部門・士業に特化したMS-Japanだから分かる業界・転職情報を日々更新中です!本記事を通して転職をお考えの方は是非一度ご相談下さい!
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公認会計士が外資系企業に転職するメリットは何ですか?
公認会計士が外資系企業に転職するメリットは、「自分のペースで仕事ができる」「日系企業に比べて年収が高い」の2つです。 外資系企業は良くも悪くも実力主義のため、成果を出すことができていればプライベートの時間も確保しながら仕事をすることができます。 また、日系企業に比べて年収が高い傾向がありますが、福利厚生は日系企業の方が充実しているため、年収と福利厚生のどちらを重視するかを検討する必要があります。
公認会計士は外資系企業でワークライフバランスを重視した働き方が出来ますか?
外資系企業は日系企業に比べて実力主義な傾向が強いため、自分で労働時間を管理することができます。 また、今では日系企業でもリモートワークを採用している企業が多いですが、外資系企業は日系企業よりもリモートワークが普及しているため、働き方という意味でも外資系企業ではワークライフバランスよく働くことが可能です。
公認会計士は外資系企業でどのような部門に配属されることが多いですか?
公認会計士が外資系企業に転職する場合、「アカウンティング部門」もしくは「ファイナンス部門」のいずれかが有力な選択肢となります。 アカウンティング部門は、日系企業でいう経理部に当たり、ファイナンス部門は日系企業でいうと予算管理部門と経営企画部門のちょうど間ぐらいの立ち位置になります。
公認会計士が外資系企業で働くにはどのようなスキルが求められますか?
公認会計士が外資系企業で働くには、本国の経営陣や従業員とビジネス的な会話ができるレベルの語学力が必要です。 また、本国の所在地にもよりますが、US-GAAP、IFRS/IASといった海外の会計基準と日本の会計基準の違いをしっかりと理解しておく必要があります。 日本の公認会計士だけでなく、USCPAなどを取得しておくと外資系企業への転職には有利になります。
公認会計士が外資系企業に就職・転職するハードルは高いですか?
公認会計士が外資系企業に就職・転職するハードルは決して低くはありませんが、IFRS(国際財務報告基準)に関する知識と経験がある方には転職のチャンスがあります。 また、一定の英語スキルも必要にはなりますが、入社時に極端に高い語学力が求められるわけではありません。 尚、管理職を目指す場合は本国や他国の拠点とやり取りをするためにも、英語力は必須となります。
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